御手洗の滝〜石谷山〜九千部山


2011年(平成23年)1月5日  曇り一時雪  微風


昨年末から元日に掛けて九州地方は天気に恵まれず、私達は今年の初日の出も見ずに終わった。

年が明けてからも空模様はスッキリせず、グズついた天気が続いていた。

私達は天気予報に注意していたが、5日の降水確率が低かったので山歩きに出掛ける事にした。

登る山は九千部山と決めていたが、どこの登山口から登るか?迷っていた。

と言うのも、登山口に行くまでの路面凍結が怖かったからである。

九千部山への登山口は幾つもあるが、色々と検討した結果、自宅から近くそして途中の路面凍結が少ないと思える、『御手洗の滝登山口』 から登る事にした。



自宅からも見える九千部山は、年が明けてからも何度も雪雲に覆われていたので、登山道にはかなりの積雪が予想された。

それで今回の全所要時間は 『普段の倍近く掛かるかも?』 と予想していた。

しかしあまり早朝に行くと途中の路面凍結が怖いので、登山口には9時半頃に着く時刻に自宅を出発した。


 写真が、『御手洗の滝登山口』 の駐車場である。


 この登山口には20台位が駐車可能だが、ここ迄は予想通りに路面凍結部も全く無くスムーズに来れた。


 私達がここに付いた時は、単独の中年男性がちょうどスタートして行くところだった。


 私達は時間を掛けて冬山の身支度をし、この駐車場を出発した時刻は9時40分だった。











 駐車場を出発して5分位するとキャンプ場の中を通るが、そこは写真のように2〜3cmの積雪だった。














 上写真から10分弱登ると、写真のような 『御手洗の滝=おちょうずのたき』 に着いたが、

 滝には凍結部分は全く無く、ゴウゴウ!と何時もの滝音を響かせて流れ落ちていた。












 御手洗の滝を少し過ぎた所の雪上には、写真のようなタヌキと思える足跡があった。



 尚、動物の足跡に付いては 『2005年3月26日の矢護山・鞍岳』 を参考にされて下さい。












 御手洗の滝から25分ほど歩くと写真のような道標があったが、ここまで登って来ると身体がポカポカ!と温まり

 少し汗を掻き始めたので、私達はレインウェアーの上着だけを脱ぐ事にした。










 それから暫らく登ると写真のような林道に出たが、その時刻は10時45分でそこ迄の所要時間は1時間5分だった。


 その所要時間は無雪期時とあまり変わらなかったので、九千部山には12時半頃には着けるだろうなー?と

 オバさんと話しながら歩いていた。


 尚、この林道付近の積雪は写真のように5cm位でまだ大した事は無く、歩行にも別に何の支障も無かった。






 しかし林道を少し過ぎた辺りから積雪量は徐々に増えて行った。


 写真はその付近で写した前方の登山道の様子であるが、私達より15分位前に出発した単独男性の靴跡が

 写真のように続いていた。


 暫らくはその靴跡を辿っていたが、少し進むとその単独男性が少し離れた林の中を引き返している姿を見掛けたので

 途中からは前方の登山道には靴跡が無くなってしまった。









 写真は上掲写真の林道から40分ほど登った所で見掛けた、

 九州の方々の山でお馴染みである、『人吉かめさんの山頂まで5分』 の標識である。









上写真付近まで登って来ると30cm近い積雪があり、下写真のような動物の足跡が登山道にずっと続いていた。

鳥?の足跡
野ウサギの足跡







 写真はその付近で写した私の靴跡だが、1歩1歩が写真のように30cm位は抜かり込んでいた。










 写真が石谷山の山頂だが、帰宅してからこの写真の撮影時刻を見ると11時35分だった。

 その時は林道への到着時刻が殆んど予定通りだった事もあって時刻の事は全く気にせず、

 この写真を1枚撮ったら直ぐに歩き始めた。

 帰宅してから、登山口からの所要時間を計算してみると1時間55分にもなっていた。

 無雪期時に同じ登山口から登った時の所要時間を調べてみると、大体1時間20分位だったので、

 ここ迄に約35分多く掛かった事になるが、その殆んどは積雪が多くなった林道以降に費やした時間だと思う。

 またこの山頂には2〜3日前の物と思える、写真のような一人の靴跡があった。





 写真は石谷山から10分弱進んだ所にある、七曲り峠からの登山道と合流する 『三領堺峠』 の分岐地点である。


 石谷山の山頂から続いていた古い靴跡は、この分岐地点から 『七曲り峠登山口』 に下りていた。


 尚、この付近から樹木の積雪が時々頭上に落ちて来るようになったので、私達は再びレインウェアーを着込んだ。







石谷山〜九千部山間の登山道は自然林の中を通りまたアップダウンが少ないので、無雪期時は何時も行き交う登山者の多い人気の縦走路である。

だからその縦走路には九千部山から歩いて来る登山者の靴跡が数多く残っているもの!と私達は思っていた。

しかし予想に反し縦走路には古い靴跡も全く無かった。

下写真は古い靴跡も全く見当たらないそんな縦走路の様子だが、周りはどこを見ても雪の重さで枝が垂れ下がり、至る所でその枝が前方の登山道を塞いでいた。



最初の方は枝に積もっている雪をストックで叩き落としたり、枝先を握って揺り落としたりして進んでいた。

しかしそんな事をすると、その近くの雪がドサーッ!と頭上に落ちて来るのである。

頭には帽子を被った上からレインウェアーのフードを被っているので背中等に雪は入らないが、袖口部分の隙間から手袋の中に雪が入り込んで来て気持ちが悪い。

それで倒木部分や凄く密集して垂れ下がっている部分では、積雪を落とす作業をせずに近くの林に迂回路を探しながら進んでいた。

そのように今回の山歩きでは登山道を迂回して進む所が多かったので、今回の歩行距離は無雪期の時より少し長いと思う。

前方の縦走路の様子−1
前方の縦走路の様子−2
前方の縦走路の様子−3

そのようにしてかなり苦労しながら縦走路を進んでいたが、下・左写真はその後の或る所で縦走路を塞いでいた枝の様子である。

左の枝は雪の重さで地面まで垂れ下がった後に更に雪が降り、枝先が雪の中に埋もれていた。

その場所では適当な迂回路が見当たらなかったので、写真の雪を揺り落として進む事にした。



雪を揺り落としたのが右写真だが、両方の枝とも今までダラーン!と垂れ下がっていた物が、グーン!と伸びたようになり、そしてバネみたいに立ち上がったのである。

その様を見ていると、『それに良く似た現象を若い頃にどこかで?良く見た事が有る!』 ような気がした。

それで 『それが一体何に似ているのかナ〜?』 と私は大分考えたが、何しろ随分昔の事なので私はとうとう思い出す事はできなかった。(ボケ始めたかナ〜?・・・爆)

雪の重みでダラーン!と垂れ下がった枝
左写真の雪を揺り落とすと、グーンと伸びたようになり枝が立ち上がった


 写真は九千部山に大分近くなった所で写した私の足元の様子だが、

 当日は釣り用のスパイク長靴を履き、その上からスパッツを着けていた。

 その足は写真のように膝下近くまで雪に潜っていたので、50cm位の積雪があったと思う。

 このように1歩1歩が雪の中にズボッ!と抜かるので、その足を引き抜く時は少し足に力を入れ

 高く持ち上げてから前方の雪の中に着地しなければならない。

 そのように普段の歩行とは異なる動作をずっと続けていたら、膝の両側部分が段々痛くなって来た。

 普段の歩行では使わない筋肉を多用している為に痛くなって来たようである。


それから私は 『和カンジキ』 や 『スノーシュー』 をまだ使用した事が無いので良く分からないのだが、このように深い新雪の上を歩く場合に効果が有るのだろうか?

それらを着けると、何だか倒木を跨ぐ時や密集した林内や薮等を歩行する時は、返って邪魔になりそうな気がするのだが?・・・。



下写真は九千部山山頂近くにある他の登山口からの合流地点だが、その登山道からも靴跡は全く無かった。

四阿屋からとの合流地点
グリーンピア那珂川からとの合流地点


 写真は山頂部に出る少し前で写したオバさんである。

 オバさんは私の付けた足跡通りに歩くのでかなり楽だと思うが、脚が短いので写真のように膝上まで潜っていた。(爆)


 尚、この付近の無雪期の登山道は溝のようになっているが、その溝は殆んど雪で覆われていた。


 その為にそこに深い段差部分の吹き溜まりがあると脚がズボッ!と股下まで抜かり、

 そこから抜け出すのはとても大変だった。









 写真は山頂手前の車道に出た時の様子だが、新しい靴跡も轍の跡も無く、

 雪上にあるのは写真のように大きな野ウサギの足跡だけだった。













 山頂駐車場には1台の車も無く、STS・佐賀テレビ塔の前には

 今年の干支である兎の頭をした雪ダルマが作ってあった。








下写真が九千部山(848m)の山頂広場の様子である。

登山者は誰も居なかったが、山頂広場には反対側の河内ダム方面から登って来た1人の登山者の靴跡が残っていた。

どうやら5日にこの山頂に登ったのは私達を入れて3人だけのようである。

山頂広場にあるベンチとテーブルの様子
山頂部にある石祠の様子







 この写真は上写真に写っている展望台の最上部から山頂広場を写したものである。



 この時は粉雪が少し降って来たので、遠くの景色は殆んど見えなかったが、

 当日は風が弱かったのでそんなに寒くは感じなかった。












 この写真は展望台の2階部分である。

 私達はこの2階部分のテーブルで昼食休憩をする予定にしていた。

 ところで私達は深い雪の中を進むのに一生懸命で、時刻の事等はスッカリ忘れていた。

 ここに到着してから二人とも初めて時計を見たのだが、驚いた事に14時ちょうどだった。

 石谷山から九千部山までの所要時間は、無雪期時は50分前後である。

 それが今日は同じコースに2時間25分も掛かっていたのである

 何と!無雪期時の3倍近い時間を要していた。

 予定ではこの2階のテーブルで温かいシチュウを食べる積もりだったので、

 オバさんは家で下ごしらえをしたシチュウをタッパウェアーに入れて持ち上がり、

 私は風が強いかも?と風防まで用意して来ていた。




それが到着時刻を見て全てが吹っ飛んだ。

登りの所要時間に4時間20分も掛かっていたので、下山の所要時間にも3時間半位は掛かると予想しなければならない。

それで、『温かいシチュウを優雅に食べているような場合では無い!』 と、この2階で二人とも立ったまま数分で行動食を食べ終え、直ちに下山する事にした。



下写真は下山中に写した前方の登山道の様子だが、そこには登る時に私達が付けた靴跡だけがずっと続いていた。

下山時に写した前方の登山道の様子−1
下山時に写した前方の登山道の様子−2


下山時は当然ながら下りの部分が多かったし、また登る時の靴跡通りに歩けば良かったので、歩行は登る時に比べると割と楽だった。

それに枝に積もった雪を揺り落とす作業も無かったし、迂回路を探さなくても良かったので予想より早く下りれそうだった。

しかし足を高く持ち上げる歩行は続いていたので、途中で私の膝の両側部分は痛さが段々増して来て、遂には両ふくらはぎや太もも部分まで痛くなって来た。

それで私は途中で何回か両足の屈伸運動やストレッチ等をしたりしてゆっくりと下りていた。



暫らくはそんな風にして下りていたが、とうとう膝の両側部分が悲鳴をあげ始め、その上に両ふくらはぎが吊りそうになった。

それで遂にその場で 『雨具のズボン、登山用ズボン、タイツ』 を足元まで下ろし(パンツだけは下ろさなかった・・・爆)、

オバさんから両脚の 『ふくらはぎ〜膝の両側〜太もも』 にエアーサロンパスをシュウ!シュウ!と吹き付けて貰った。



その後暫らくすると、膝の両側の痛みもふくらはぎや太ももの吊りそうな感じも殆んど無くなった。

それでそれ以降は割と速足で下山できたので、登山口には暗くなるほんの少し前の17時40分に到着した。

一時は 『ヘッドランプを点けての下山になるかも?』 と思っていたので、何とか明るい内に下山できた時は本当にホッ!とすると同時に凄く嬉しかった。



今日の山歩きをまとめると

       登山口(9:40)〜林道(10:45)〜石谷山(11:35)〜九千部山(14:00/14:15)〜石谷山(16:25)〜登山口(17:40)で、万歩計は28940だった。



総所要時間はちょうど8時間だったが、今回はその間に休憩時間は殆んど無く、また休憩したくても深い積雪の為に座ったり腰掛けたりする事が出来ないので、

立ったままでほんの数分間だけ歩行を止めるのが休憩だった。

行動食等の飲み食いも立ったままで行っていた。

全所要時間の半分以上の時間は、30cm〜50cmの雪の中を苦労しながら進んでいた時間だったと思う。

また全歩数の半分以上も、深い雪の中で普段とは異なる(抜かった足を高く持ち上げる)歩行だったと思う。

そのような状態が永い時間続いた為に両足が凝り、この山行記を書いている今日(6日)はとにかく両足の筋肉が凄く痛くて、歩行するのも辛い状態です。(涙)

それで今は両足の 『ふくらはぎ、膝の裏側全部、太もも』 に大きな湿布薬をペタペタと貼り付けて痛みを和らげています。



今度は尾籠な話で大変申し訳ないが、普段の私の小便の色は上から見ると無色に近い。

下山時に小便を1回だけしたが、その時の小便の色は濃い山吹色をしていたので、私は相当疲れていたのだと思う。

それからこの事は以前にどこかの山行記で書いた記憶があるが、冬場の私は 『雨具のズボン、登山用ズボン、タイツ、パンツ』 と4枚も履いているので、

とにかく小便するのが大変ですね〜!(笑)

無雪期時の石谷山山頂
 無雪期時の九千部山・山頂広場

今日(6日)、テレビの天気予報を見ていると、『福岡県や佐賀県の山間部では10cm〜20cmの降雪が予想される!』 との大雪注意報が出ていた。

九千部山では既に50cm位の積雪があったので、他の脊振山系の山でも今後は60cm〜70cm以上の積雪が予想できる。

また、『阿蘇、くじゅう、祖母・傾、霧島』 等の高山や九州脊梁の山々ではそれ以上の積雪が予想される。

『今年の積雪は近年に無い記録的なもの!』 との事ですので、もし皆様が今後それらの山々に登られる場合は

十分な 『準備、装備、技術、知識、体力、気力、観察力、判断力、決断力、覚悟』 を持って臨まれて下さい。

それからこれだけ記録的な積雪になれば、もしかしたら九州の山でも雪崩が発生するかも知れません?

ですから上記以外にも、危険と判断したら 『撤退する勇気』 も必要になると思います。



最後に無雪期には道標や踏み跡が見えているので、余程の事がない限り登山道を外す事は無いと思いますが、積雪時にはそれらは全て雪に隠れてしまいます。

その為にそのコースを熟知していないとコースアウトする恐れがかなり有ります。

また積雪量によっては無雪期時の数倍の所要時間が掛かると思いますので、それらの事にも十分に留意され、無事故で下山される事を願っています。

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