矢護山(942m) 鞍岳(1119m)


2005年3月26日  晴れ  無風


うち
家のバカ息子が春休みになり、昨日から友達の家に泊り掛けで遊びに行っているので、今日は朝早くから出発できた。

だから今日は少し遠方で、まだ登った事の無い山に登る事にした。

それで昨夜の内にサミット会議を開き、今日の登山は 『矢護山〜鞍岳〜ツームシ山』 を縦走する事に内定していた。

『鞍岳』 と 『ツームシ山』 は8年前に子供と一緒に登っているが、私はもう殆んど忘れていた。



『矢護山』 の登山口である 『陽の原キャンプ場』 に着くまでに一度道に迷い、畑仕事の人に聞いたりして 『 陽の原キャンプ場』 の駐車場に着いたのは9時50分。

既に車2台が駐車していた。

        出発の橋からスタート






 身支度を済ませ、駐車場前にある写真の 『出発の橋』 をスタートしたのが10時5分で、林道を歩き始める。









          心構えの広場

 その林道には新しいタイヤの跡が有り、10分ほど歩くと写真の 『心構えの広場』 に着いた。

 『心構えの広場』 にはテーブルと椅子が有り、1台の車が駐車していた。

 私は既に登山の心構えは出来ていたが、折角の親切なのでもう一度身なりを整えて用具の点検をし、

 深呼吸などをして心構えをし直す。

 ちなみに私は身支度時に登山靴に履き替え、靴紐をグッと締めた時に足の甲等が少し絞まる感覚が好きである。

 この時に 『今から山に登るぞー!』 と言う気持ちの引き締まりと、気力の高揚が体内に湧き上がるように思える。










 『心構えの広場』 には写真のような案内板があった。









石造りの標識 (左道が鞍岳、右道が矢護山)



 尚、この 『心構えの広場』 で道が分岐していて、左の道を行くと 『鞍岳』 で、右の道を行くと 『矢護山』 である。


 左の 『鞍岳』 への道にはまだ新しいタイヤの跡が続いていたので、誰かがまだ先の方まで車で行っているのだろう。


 私達は右の 『矢護山』 への道に入った。






『矢護山』 への道沿いには、最初は下・左写真のように赤い実を付けたアオキが多く有った。

しかし、それらの枝は右写真のように鋭い刃物で沢山切り落とされている。

その様な枝の切り落としはその後も山頂近くまでの登山道上にずっと続いていた。

中には少し切り過ぎでは?と思うような所もあった。

刃物と車のハンドルを持つと性格がガラッと変わる人がいるらしいので、そんな人が前を行っていなければ良いなー!と少し不安になる。

特に樹の芽時は危ないらしいので・・・皆さんもご注意を!

しかし、枝の切り口を良く観察すると今切ったばかりでは無く、1〜2日前の様なので少し安心する!

アオキの赤い実
切り落とされていた枝


登山道の途中からは下写真のようにキツネノカミソリの新しい青々した葉が、登山道沿いにずーっと沢山生えていた。

今後 『矢護山』 に登ってみようと思う方は、キツネノカミソリの花が咲く7月下旬〜8月上旬に登れば、綺麗な花を観ながら登山できると思います。

蛇足かも知れませんが、キツネノカミソリの名前の由来は葉の形がカミソリに似ていて、花が咲く頃にはその葉は全部枯れてしまい、

地面から茎が1本だけスッと伸び、その先に花が咲くその特異性と、その花の色がキツネの毛の色に似ているからだそうです。

尚、九州北部での(オオ)キツネノカミソリの群生地は 多良岳(佐賀/長崎県) と 井原山(福岡/佐賀県)等が良く知られている。

登山道沿いに有るキツネノカミソリ
キツネノカミソリの葉のアップ


登山道の途中から 『心構えの広場』 に有った様な石の標識がまた出て来るが、その裏面には下写真の様にこの山に住む動物達の足形が原寸大で紹介されていた。

テンの足形
アナグマの足形


ノウサギの足形
キツネの足形


タヌキの足形
イノシシの足形 (山頂標識の裏面)


そのような登山道を登っている時に、谷向こうの山で数台のチェーンソーの音と、時々人の叫ぶ声や笛の音等が聞こえて来ていた。

林業関係の方達が間伐作業をしているのだろう?

キツネの足形の有る標識からは右折して急坂になり、掴まりながら登れる様に両側にロープが張ってあったが、そこから10分程で 『矢護山』 の山頂に着いた。

山頂は平坦でかなり広く、テーブルや椅子等も置かれていた。

山頂からの展望は西方向のみで、他方向は樹間から少しづつコマ切れに景色が見える程度である。

山頂から西方向の景色で、菊池平野
女岳(左)と鞍岳(右)が樹間に見えた

        矢護山の山頂標識

 写真が矢護山の山頂標識である。

 それから大した事では無いが、山頂で少し気になった事があった。

 国土地理院・九州地方測量部が公表している標高や、熊本日日新聞社発行の 『熊本百名山』 の本に紹介されている

 『矢護山』 の標高は942mである。(945mと記載してある他の本もある)

 しかし 『矢護山』 の山頂に設置されている標識(下写真)では935mになっている。

 どれが本当なのだろうか?(多分、国土地理院の942m)




今日はこの 『矢護山』 から 『鞍岳』〜『ツームシ山』 に縦走する予定でなので、『矢護山』 山頂では15分ほど休憩し、上・右写真に見える 『鞍岳』 に向かって出発した。

時刻は11時50分だった。

昼食を取っても良い時刻だが、腹一杯になると余り動きたくないし、まだ今日の予定の半分も行っていない。

昼食は今日の行動にある程度の目途が付いてから、鞍岳山頂等でゆっくり食べようと思っていた。

それでキツネの足形の標識まで戻り、右折した登山道を歩き始めた。


          崖崩れの現場

 その道は最初は広くて良かったが、段々細くなってきて途中では写真の様に崖崩れした急斜面が数ヶ所あった。

 そんな登山道を20分程?歩いた所で4人の方達が昼食中の所に出くわした。

 私達は登る時にチェーンソーの音を聞いていたので、その方達だろうと思って別に驚かなかったが、

 その方達は私達を見てかなり驚いた様であった。

 その方達はこの付近の県有林や国有林を整備する方達で、『何処に行くのか?』 と尋ねられた。

 それで地図を見せ、『鞍岳』 へ行く途中である旨を告げる。




一人の方が 『そんな道が有ったかなー?』 と言われたが、別の人が 『この先の方に有る大きなケヤキから右折する道があったような気がするが、

この頃は誰もそんな道は通らないよ!』 と言われる。

別の方は 『矢護山に戻り、阿蘇牧場に下りてそこから登った方が良いのでは?』 と言われる。

しかし今まで歩いてきた登山道にも要所要所にテープがあったし踏み跡もしっかりしていたので、『山慣れしていますので、多分大丈夫でしょう!』 と言って歩を進めた。



しかし、そこからしばらく歩いた場所からテープも踏み跡もプッツリと無くなってしまった。

それで、その場所から次のテープを探して色々な方向へ少しづつ進んでみる。

しかし次のテープが見つからない。

獣道のような踏み跡があるのでその道も行ってみるが、テープも登山道らしい道も見当たらない。

その都度、最後のテープの場所に戻り、他の方向に進んでみる。 

そんな時には、自分達の帰り道が分からなくなるとまずいので、自分で要所要所にテープを付けて進む。

そしてその道が違うと分かり元の場所に戻る時は、自分で付けたそれらのテープは外して戻って来る。



最後は獣道のような所を強引に下りて行ったら崖のような所に出、谷下の方に砂防ダムが見えていた。 それで諦め、大変苦労して登り返した。

また最後のテープの場所まで戻り、緊急サミット会議を開く。

議論伯仲の末、サミット会議の結論は不本意ながら 『もと来た道を引き返す!』 だった。

先程の方達とまた会うのは 『山慣れしていますので、多分大丈夫でしょう!』 と言っていた手前、少し体裁が悪かったが仕方が無いので引き返した。

先程の方達は既に作業中で、私達を見ると笑いながら 『キャンプ場まで引き返して、車で鞍岳の登山口まで行ったが良いよ!』 とアドバイスしてくれた。

それで登って来た道を下りる事にした。 



    谷向こうの、道が無くなった地点?



 その道を下りる途中に砂防ダムの場所で向こうの山を見ると、

 先程最後に出たと思える崖の様な所が谷の向こう側に見えていた。


 谷を挟んで 『⊃の字状』 に戻って来たみたいである。







       夫婦杉と昼食した涸れ沢


 写真の夫婦杉まで戻り、涸れ沢で休憩しながらここで遅い昼食を食べる事にした。

 お湯を沸かし、卵スープを飲みながら弁当を食べる。

 今日もこれまで登山者には一人も会わないので駐車していた人達は皆、鞍岳の方に登ったんだなー!等と話す。

 まだこの後2つの山に登る積もりなので、食後のコーヒーを一杯飲んだら直ぐに出発した。

 キャンプ場の駐車場に戻り着いたのは15時30分だった。





          鞍岳への登山口



 キャンプ場から車で綺麗な舗装林道を走り、『鞍岳』 の駐車場に着いたのが16時5分。


 駐車場には1台の車が駐車していた。


 飲み物と行動食だけをサブザックに入れ、写真の登山口から登り始める。






途中で下りて来る人の声が、女児がはしゃぐような声に聞こえたので、駐車場に停めている人達が家族連れで下りて来ているのだろうと思っていた。

そしたら手を繋いだ若い手ぶらのバカップルで、擦れ違う時に私が 『今日は!』 と挨拶したら、驚いたようにして黙ったまま慌てて横を通り過ぎて行った。

時間が遅いのでもう誰も登って来ないと思い、イチャツキながら下りて来ていたのだろう。(バカ!、アホ!、恥を知れ!、手を離せ!、もっと離れろ!)

          途中の標識(1)






 そこから少し登った所に写真の標識が有ったので、『鞍岳』 の方向に向かう。









      開花直前のアセビのつぼみ






 登山道は滑り易い粘土質で、両サイドには写真のようなアセビの樹が多く、開花直前だった。









          途中の標識(2)






 先程の標識から少し登った所に、また写真のような標識が現われたので 『女山』 から先に登る事にした。









         女山頂上の景色




 上の標識からは5分位で 『女山』 の山頂に着いた。


 山頂には写真のような電波反射板と太陽電池パネルが有ったが、三角点や山頂標識は見当たらなかった。








         女山からの展望






 今日は霞んでいてハッキリ見えないが、眼下には写真のように菊池平野の広がりが薄く見えていた。









女山の山頂からは直ぐ近くに見えている 『鞍岳』 に向かった。

           鞍岳の山頂




 『鞍岳』 には5分位で着いた。


 『鞍岳』 山頂からは360度の展望で、写真のように霞んでいるが 阿蘇山の噴煙等も薄っすらと見えた。








この山には8年前に子供と一緒に登った事が有った。

景色等を見ている内にオバさんが、子供と一緒に登った時の登頂記念板がまだ有るかも知れない?と言い始めた。

そして山頂の少し下の樹に結び付けた小さな記念板をオバさんが発見した。(オバさんは子供の事だったら小さな事まで本当に感心する程覚えている!、学生時代に

                                               それ位勉強を覚えていれば、今頃はノーベル賞だったと思う!・・・とてもオシイ!!)

自分で作った記憶のある、山の形をした記念板がボロボロになり、字は消えて読めずに形だけを残していた。(私はスッカリ忘れていた、ボケが少し不安である!!)



それから、山頂にはほんの今散らかしたばかりの状態で、スナック菓子の空き袋、ジュース缶、紙くず等が散乱していた。

恐らく、先程擦れ違ったバカップルの仕業だろう。(大バカタレ共めが!、滑ってコケロ!、ケンカして早く別れろ!!)



山頂には5分程いただけで、直ぐ 『ツームシ山』 に向かった。

この登山道には記憶があり、途中では日本庭園の様に風情のある所を通る。

  ツームシ山・山頂 (後ろの山は阿蘇五岳)



 『鞍岳』 からは身軽の勢もあり、15分程で写真の 『ツームシ山頂』 に着いた。

 尚、『ツームシ』 とは何語か知らないが 『玉虫』 の事だそうである。

 この山頂からの展望はほとんど 『鞍岳』 と同じだが、一部樹木で見えない部分があった。

 この山頂にも5分程いただけで、直ぐ下山する事にした。






下山途中に山小屋経由の標識が有ったので、何処にどんな山小屋があるのだろう?と思い、そちらの方に下りる事にした。

山小屋は登山道からかなり下りた、林道近くに建っていた。

その山小屋は県有林の管理小屋で一般の登山者が使える訳では無く、施錠がしてあった。

その山小屋からは仕方なく、味気ない舗装林道を歩く事になった。

そしてその舗装林道を約30分程?歩いて車に帰り着いた。

到着時刻は18時少し前で、万歩計は本日の通算で26238だった。

少し疲れていた。



 『鞍岳』 の中腹、標高500mの所に大きな温泉施設 『四季の里・旭志』 がある。

 帰路そこに寄り、温泉に浸かって疲れを癒しながらゆっくりし、自宅に帰り着いたのは23時半を過ぎていた。

 そして自宅に着いてからビール等を飲み始め、床に就いたのは1時に近かった。

 『こんな事をしていて山登りは本当に健康に良いのだろうか?・・・』 等と酔った頭で考えていたら、

 いつの間にか爆睡していた。




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