ハナグロ山 〜 酒呑童子山


2009年(平成21年)12月2日   晴れ   無風


今回は大分県と熊本県との県境付近で、津江地方にある 『ハナグロ山』 と 『酒呑童子山』 の山歩きに行く事にした。

両山ともかなり前に登った記憶があったので過去の記録を調べてみると、酒呑童子山は12年前(1997年)に、ハナグロ山は10年前(1999年)に子供と一緒に登っていた。

その時はそれぞれの登山口から山頂をピストンしていたので、今回は両山を縦走する計画を立てた。



しかし酒呑童子山からの下山時に、下のコース概念図で緑色の部分(カシノキズル峠〜穴川峠=約5km)を1時間以上も

舗装林道(奥日田グリーンライン)歩きするのはいやだな〜!と思いながら見ている時に、突然或る考えがひらめいた。

それは緑色の始点である 『カシノキズル峠の標高=約1060m』 から 『県道133号線との出合い標高=約670』 までは約4.6kmあるが、

地形図を見るとその区間はずっと下り一辺倒だったので、『そこを自転車で下ろう!』 と思ったのである。

コース概念図 (赤色の点線=歩いたルート 、 緑色の点線=自転車で下りたルート 、 黄色の矢印=順路)

折り畳み自転車も一応ひさしの下に置いているが、普段は自転車カバーも掛けていないので、もう長い事(2年位?)雨ざらし日ざらし状態である。

その折り畳み自転車を診てみると、タイヤはペチャンコで、方々が赤錆びだらけだった。

それで、まずタイヤに空気を入れてみたら、空気漏れは無かった。(ホッ!)

その後、全体を清掃後に試し乗りをしてみると、短距離の走行ならば別に支障は無さそうだった。(またホッ!)

翌朝、その自転車を折り畳んで車の後部に積み、自宅を出発した時刻は7時40分だった。


 今朝、起きた時刻(6時頃)には久留米市内にも濃霧が掛かっていた。

 その濃霧は出発時には消えて晴れていたが、途中で通る黒木町や矢部村の山間の一部にはまだ霧が残っていた。


 写真は 『道の駅・鯛生金山』 の様子だが、この付近も写真の様にまだ霧が残っていた。

 この道の駅に着いた時刻は9時5分だった。

 トイレ休憩のついでに農産物を見ようと思ったら、開店は10時からの事だったので帰りに見る事にした。






 写真がカシノキズル峠にある、『酒呑童子登山口』 の駐車場である。


 駐車場は写真の様にかなり広く、数十台が駐車可能である。


 到着時刻は9時半で、64kmの距離を1時間50分も掛かっていた。(途中、2ヶ所で道路工事中だった為もある)


 私達がこの駐車場に着いた時は写真の様に既に1台の車が駐車していて、同年代で単独男性の方が準備中だった。






 写真は上写真に写っている、奥の方の案内板に自転車をくくり付けたものである。

 折り畳み自転車には鍵が無いので(何しろ安かったからネ〜!)、小さなワイヤー錠でタイヤをロックし、

 大きなワイヤー錠でフレームを案内板の柱にくくり付けた。

 計画時は 『地蔵越登山口』 に自転車をデポしようと思っていた。

 しかし実際に現地に来てみると、『地蔵越登山口』 から 『酒呑童子登山口』 まではずっと登りの連続だった。

 しかもその距離は1km近くもあったので、その間を変速ギヤの無い折り畳み自転車で(何しろ安かったからネ〜!)

 登るより歩いた方が楽に思われた。 それで急きょ予定を変更して酒呑童子登山口にデポする事にしたのである。


単独男性(中津江村在住)の方は、まず酒呑童子山に登った後にハナグロ山に登る予定との事で、写真の登山口から出発して行かれた。



私達は車で県道133号線まで下り、ハナグロ山登山口のある霧越林道の起点まで移動した。

下写真が霧越林道の起点部だが、その入口には写真のようにチェーンが張ってあり、車は進入禁止になっていた。

10年前に来た時はチェーンは無く、ハナグロ山登山口まで車で行った記憶が有る。

写真のように林道の入り口部は非常に狭いので、私は左端の土手に少し乗り上げて駐車し、トラックでも通れるようなスペースを空けて駐車した。

写真の場所から歩き始めた時は、10時15分にもなっていた。

県道133号線沿いにある霧越林道の起点部
左写真のUP




 霧越林道を5分強進むと林道が大きく右にカーブする所がある。


 そこには写真のような案内板があり、その周辺の樹の枝には赤テープが幾つも付いている。


 そこがハナグロ山登山口である。











 霧越林道側からの登山道は最近は登る人が少ないのか?、踏み跡もかなり薄くなっている所もあったが、

 写真のような赤テープがずっと付いていたので、それを目印にすれば迷う所は無かった。













 登山道は写真のように、左側が自然林で、右側が植林地の所を歩く事が多かった。














 今の時期は登山道脇で見掛ける花は殆んど無く、ここでは写真のようなシキミの赤い実が良く目に着いた。



 そして登山道は、ふくら脛やアキレス腱が少し痛くなるような急坂も所々にあった。









 ハナグロ山登山口から30分ほど登ると、左側に写真のような小さな鳥居と石の祠があった。


 これが、忠犬ハナグロの御墓である。


 猟犬ハナグロは自らの命を投げ出してまで、飼い主を猪から護ったそうで、

 今でも猟師達からの信仰が厚いとの事である。









 ハナグロ犬の祠から10分ほど進むと尾根道に出た。



 その尾根道は写真のような自然林部が多かったように思う。







その後の登山道では下写真のように、猪が地面を掘り返している部分が多かった。

方々の山でこの様に猪が地面を掘り返した跡を見掛けるが、一体猪は何を探しているのだろうか?(山ミミズや虫かな〜?)

それにしてもこの登山道には猪が地面を掘り返した跡が大変多かったので、この山には猪が沢山生息しているのかも知れないな〜?と思った。

猪が掘り返した跡−1
猪が掘り返した跡−2
猪が掘り返した跡−3







 ハナグロ山登山口から50分ほど登った所には、写真のような大きなブナの樹があった。



 ここまでの登山道には、大小のアップダウンが幾つもあった。










上写真の大きなブナの樹から5分強登った所が、下写真のハナグロ山山頂(1086m)だった。

駐車した霧越林道起点から歩き始めて、1時間5分が経っていた。

山頂部は狭く、また周囲は樹木に覆われている為に展望は無いが、1ヶ所樹木の無い所からは遠くに阿蘇五岳が見えていた。

私達はこの山頂では喉を潤おして5分ほど休憩しただけで直ぐ歩き始めた。

山頂(後方の登山道から登って来た)
南東方向の景色で、遠くに阿蘇五岳

 小鈴山         酒呑童子山
   ↓              ↓






 写真は下り始めて10分弱した所で、右側の樹木の間に見えていた景色を写したものである。













 その後の登山道には写真のようなシャクナゲの樹が多かった。



 その付近ではかなりのシャクナゲの樹を見掛けたので、満開時は綺麗だろうな〜?と思った。







シャクナゲの多い所を過ぎると、今度は高さが2m位あるスズタケの中を歩く登山道が数百メートル続いた。

下写真はそのスズタケに覆われた登山道の様子である。

スズタケの中の登山道−1
スズタケのトンネル
スズタケの中の登山道−2







 スズタケ部を過ぎて5分位した所でふと左後方を見たら、樹間から写真のようにハナグロ山の山頂部が見えていた。













 その後の登山道には、写真のような気持ちの良い尾根道を歩く所もあった。



 下りの登山道にも大小のアップダウンが数回あった。







山頂から下り始めて35分程で下写真のようなスーパー林道(奥日田グリーンライン)に出た。

この林道を右に約800m下ると 『地蔵越登山口』 に着き、左に緩やかな登りの道を100m強進むと、下方の写真でカシノキズル峠の 『酒呑童子登山口』 に出る。

林道に出た所
左写真のUP

下・左写真が今朝、穴川峠に移動する前に自転車をデポしたカシノキズル峠の駐車場である。

私の自転車は右写真のように、案内標識にくくり付けたままの状態で無事にあった。(ホッ!)

もっとも、方々が赤錆びだらけのこんなボロ自転車は鍵が掛けて無くても盗む人はいないと思うけどネ。(何しろ安かったからネ〜!)

カシノキズル峠の駐車場
無事だった自転車

酒呑童子への登山道は上・右写真にも少し写っているが、最初からいきなりコンクリートで作った疑似木の階段で始まる。

そしてその階段は下写真のように1段1段の段差が高いので、登るのがかなり辛かった。

登山道の様子−1
     登山道の様子−2


 この写真が酒呑童子登山口から15分弱で着いた 『小鈴山=おすずやま=1142m』 の山頂である。


 尾根道の途中に山頂標識が立っているような感じで、周りは写真の様なスズタケばかりで展望は何も無かった。


 尚、酒呑童子登山口からこの山頂までの登山道の7〜8割?は、上写真のような階段の連続だった。


 小鈴山の山頂ではこの写真を1枚撮っただけで通過した。











 山頂を少し過ぎると前方にこれから目指す、酒呑童子山の山頂?が見えて来た。









その後は下写真のように平坦で気持ちの良い登山道が数百メートル続いた。

平坦で気持ちの良い登山道−1
平坦で気持ちの良い登山道−2

しかし坂道に掛かると下写真のような鎖場もあった。

鎖場−1
鎖場−2








 鎖場の後には又、写真のような疑似木階段が現れたが、

 そこからは写真のように酒呑童子山の手前にあるピーク(コース概念図で、標高1141m地点)が見え始めた。











小鈴山の山頂から10分強下りると、地蔵越(又は小鈴越)と呼ばれる、小鈴山と酒呑童子山との鞍部に着いた。

この地蔵越には右写真のように、お地蔵様が祀られていた。

私達は酒呑童子山に登った後はまたこの地蔵越まで下り、そして左写真の標識にあるスーパー林道(奥日田グリーンライン)に下りる予定である。

小鈴山から下りて来た方向の様子
酒呑童子山へ登る方向の様子







 酒呑童子山への登山道にも、写真のような疑似木階段が何ヶ所もあった。









しかし下写真のように広く整備された登山道部分が多かった。

登山道の様子−1
登山道の様子−2
登山道の様子−3












 地蔵越から上写真のような登山道を20分ほど進むと、左写真のような鎖場が30〜40m位?も続いていた。

















 上の鎖場を登り切った所が 『酒呑童子山=しゅてんどうじやま=1181m』 の山頂だった。


 山頂はかなり広く、南方向だけが樹木の為に眺望は無いが、他の方向は大体見渡せた。


 山名の由来は大江山(京都府)や伊吹山(滋賀/岐阜県)と同様に、悪戯鬼伝説の様である。


 私達は誰も居ない山頂に傘シートを広げて腰掛け、お湯を沸かしてインスタント味噌汁を

 啜りながら弁当を食べた。


 そして食後はデザートやコーヒーを楽しみながら周りの景色を見渡し、

 地図を広げて山座同定しながら写真に撮った。




    由布岳 鶴見岳    湧蓋山      くじゅう山群
       ↓ ↓         ↓          ↓




 写真は東方向の景色である。



 写真では良く見えないが、今日は無風の為にくじゅう山群の中にある、

 硫黄山の噴煙は真っ直ぐ上がっていた。



 又、写真では良く見えないが、写真の左側に由布岳や鶴見岳が薄く見えていた。









  雲仙普賢岳   ハナグロ山    八方ヶ岳
        ↓      ↓          ↓






 写真は西方向の景色で、彼方には薄く雲仙普賢岳も見えていた。









    御前岳 釈迦岳         渡神岳
      ↓   ↓            ↓


 写真は北方向の景色である。



 尚、写真は割愛したが他方向で確認できた山には、万年山、亀石山、国見山、三国山、前門岳・・・等があった。



 誰も居ない静かな山頂で私達は1時間20分程も昼食休憩してから下山に掛かった。






 写真は酒呑童子山と地蔵越の中間付近のピーク部(コース概念図で、標高1141m付近)を歩いていると、

 20m位前方の竹藪から大きな猪が右から飛び出して左側に一気に駆け抜けて行くのが見えた。


 私達がその飛び出した地点まで進むと、右側からまだ小さくガサガサと動く音がするので、

 もしかしたら子供が逃げ遅れているのでは?と思って、二人ともかなり緊張した。


 そして子供を護る為に先程の母猪が引き返して来たらまずい!と思い、二人で咳払いをして鈴を強く鳴らした。

 そうしたら逃げ遅れていた猪が反対方向に逃げる音がしたので、二人ともホッ!としたのだった。


もし子供を護る為に先程の母猪が引き返して来れば、ハナグロ犬のように命を投げ出してまで大猪と戦ってくれる忠犬はここにはいない。

それで私は、『大猪に襲われて、私の人生はこの場ではかなく終わるのかな?!』 と覚悟したりもした。(笑)



 写真は地蔵越に着き、スーパー林道側に少し下りた所から地蔵越の景色を写したものである。


 或るガイド本に依ると以前、この地蔵越は十字路だったそうである。


 スーパー林道とは反対側に 『酒呑童子キャンプ場』 があるそうで、そこからこの地蔵越への登山道もあるとの事だが

 今はそこからは登る人がいないのか?、その方向の登山道は写真のように藪化していた。









 地蔵越からスーパー林道に下りる登山道は、写真のように余り手入れされていない植林地の中にあった。



 そこの階段は木製だったが、かなり昔に作られたようで朽ち掛けた階段が多かった。








 写真が地蔵越から5分程で着いた、『地蔵越登山口』 である。

 自宅での計画時は、この場所に自転車をデポする積もりでいた。


 しかし実際にこの場所に来て確かめてみると、『地蔵越登山口』 から 『酒呑童子登山口』 迄はずっと上りの連続で、

 そして1km近くもあった。


 その上り坂を変速ギヤの無い折り畳み自転車で(何しろ安かったからネ〜!)、尻を持ち上げながらペタルを回すより

 歩いた方がずっと楽と思い、自転車を 『酒呑童子登山口』 にデポし直したのである。


          カシノキズル峠
              ↓


 写真は『地蔵越登山口』 から 『酒呑童子登山口』 へ、スーパー林道を歩いている時に

 前方にカシノキズル峠が見え始めたので写したものである。


 写真でも分かるように、この区間のスーパー林道はずっと上りの連続なので、

 変速ギヤの無い自転車よりも歩いた方が断然楽だ!と思う。






上写真のようなスーパー林道(奥日田グリーンライン)を10分強歩いたら、カシノキズル峠の駐車場に着いた。

その駐車場には今朝会話した登山者の方が車の中に居られた。

その方は穴川峠からはまだハナグロ山には登った事は無いとの事だったので、今日登った登山道の様子や所要時間等の情報を伝えた。



そしてその後私は折り畳み自転車に跨り、下写真のような登山道を下って行った。

カシノキズル峠の標高が約1060mで、県道133号線との出合いの標高は約670m位である。

その標高差は約400mで、その区間の距離は約4.6kmだが、その区間は下り一辺倒で上り部分は全く無かった。



途中にはかなりの急坂部分もあり、強くブレーキを掛けないと怖い位のスピードが出た。

それで私は途中からずっと前後輪のブレーキを強く握り締めたままだったが、長い間その自転車に乗ってなかった勢なのか?、

或いはブレーキのゴムが劣化したのか?、兎に角ブレーキを掛けるとキーキー!と云った高い音が連続して発生した。(くどいけど、何しろ安かったからネ〜!)

その音を聞いて、新種の鳥が侵入して来た!と勘違いしたのか?、カラスや他の鳥達が林の中でギャーギャー!と騒いでいた。(笑)

自転車で下った林道の様子−1
自転車で下った林道の様子−2
自転車で下った林道の様子−3


 写真が県道133号線に出た所の景色だが、約4.6kmの距離を15分弱も掛かっていた。


 この県道133号線までのスーパー林道は全部下りの連続だったが、

 写真地点から車を駐車している穴川峠までは約400mあり、そこは緩やかな上り坂である。


 たった400m位の緩やかな上り坂だが、変速ギヤの無い折り畳み自転車では少しの上り坂も辛いので

 私は自転車から下り、自転車を押しながらそこを登って行った。




穴川峠に着いたら早速自転車を折り畳んで車に乗せ、上写真地点から右折してオバさんが待っているカシノキズル峠に向かって上って行った。

カシノキズル峠から穴川峠までの往復時間は35分位だったと思うが、その間1台の車にも擦れ違わなかった。

オバさんは私が車で戻って来るまで、カシノキズル峠で風景画を描いていた。



今日の山歩きをまとめると

     カシノキズル峠に自転車をデポ(9:55)〜10分(車で移動)〜穴川峠(10:05/10:15)〜5分〜ハナグロ山登山口(10:20)〜

               30分〜忠犬ハナグロの祠(10:50)〜30分〜ハナグロ山山頂(11:20/11:25)〜40分〜酒呑童子登山口(12:05)〜

               15分〜小鈴山(12:20)〜10分〜地蔵越(12:30)〜20分〜酒呑童子山山頂(12:50/14:10)〜15分〜地蔵越(14:25)〜

                5分〜地蔵越登山口(14:30)〜10分〜酒呑童子登山口(14:40/14:55)〜20分(自転車で下山)〜穴川峠(15:15/15:20)〜

               10分(車で移動)〜酒呑童子登山口(15:30)で、万歩計は17287(歩き始めた穴川峠から下山した酒呑童子登山口までの歩数)だった。



帰路に今朝はまだ開店していなかった 『道の駅・鯛生金山』 に立ち寄った。

この道の駅の店舗面積は今迄に行った道の駅の中では1番小さく、他の道の駅の店舗面積に比べると 『5分の1〜10分の1』 位しかなかった。

そしてレジに女性が1人居るだけで、客は1人も居なかった。

しかし、売られている農産物は大変安かった。

私達は、生椎茸1パック(158円)、ニンジン5本(100円)、大粒のギンナン1袋(200円)、キウイ8個(100円)、ミカン1ネット(100円)、リンゴ5個(200円)を買って帰った。



今回の山歩きでは移動手段として初めて自転車を使用したが、今回のように縦走したい時や、他の登山口に下りたい時等には大変有効な手段だと思った。

このように今回の山歩きで 『自転車下りの味』 をすっかり占めてしまった私は現在、『今後は積極的に自転車下りを活用しよう!』 と思っているところです。

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