大崩の辻(1458m)


2008年6月8日(日曜)   曇り一時小雨   微風


九州南部、四国、近畿、東海、関東甲信地方は10〜7日前位に梅雨入り宣言されたと言うのに、今年は梅雨前線の活動が例年とは少し異なるようで?、

中国地方と私達が住む九州北部だけはまだ梅雨入りしていなかった。(この山行記を書き始めた6月10日に九州北部が、翌日の11日に中国地方が梅雨入りした。)



6月7日(土)夜の天気予報では、8日は曇りで、9日以降はずっと雨予報だった。

しかし8日の朝の天気予報では、当日は曇りのままだったが、9日は曇りのち晴れで、10日以降が雨予報に変わっていた。

私達は現在 『くじゅう連山のミヤマキリシマが見頃!』 との事を知っていたので、見に行きたいなー!と思ってはいたが、雨を押してまで見に行く気持ちは無かった。

それが9日の天気予報が 『曇りのち晴れ』 に変わったので、8日の朝の天気予報を見た直後にオバさんと緊急の巨頭会談を行った。

そして両巨頭は会談を開始してわずか3秒後位には 『こんな絶好のチャンスを見逃す手は無い!、今直ぐくじゅうに行くべし!』 と意見の一致をみたので、

それからは両巨頭ともバタバタ!と山行の準備に取り掛かった。



自宅で少し早めの昼食を済ませ、『くじゅうの牧ノ戸峠=1330m』 に着いたのは14時10分頃だった。

今日の 『牧ノ戸峠駐車場』 は満車だったようで、牧ノ戸峠に着く大分前から道路の広くなった路肩に沢山の車が駐車していた。

しかし私達が 『牧ノ戸峠駐車場』 に着いた時は既に帰った車も多く、私はそこに難なく駐車できた。

私達が到着した時にも、その駐車場には周囲の山々から登山者が続々と下山して来ていた。

天気は、『牧ノ戸峠』 に着く少し前から小雨が降り始めていた。



私達は折角ミヤマキリシマの時期にくじゅうに来たのだから、今までに見た事の無い場所のミヤマキリシマも見てみよう!と思っていた。

少し前に山の専門誌で 『大崩の辻』 のミヤマキリシマも、かなり規模が大きいとの紹介記事を見ていたので、何時か機会が有れば行こう!と決めていた。

小雨が降っていたが、折角ここまで来たし、登らないと時間を持て余してしまう!ので雨具を着て登る事にした。

『牧ノ戸峠』 を出発した時刻は14時25分だった。

まずは 『黒岩山』 に向かって登り始めたが、直ぐ3人の下山者と擦れ違っただけで、それ以降は一人の登山者にも出会う事は無かった。



 『牧ノ戸峠』 から、滑り易い黒土と大小の岩場を30分ほど登ると、写真の 『黒岩山=1503m』 山頂に着いた。


 この山頂に着く迄にも所々にミヤマキリシマが咲いていた。


 ここまでは我慢して雨具を着ていたが暑苦しくて汗を掻いていたし、又ずぶ濡れになるような雨では無かったので、

 火照った身体を冷やそう!と、二人共この山頂で雨具を脱いで歩く事にした。







 その後は熊笹やアセビや岩場等が断続する、小さなアップダウンを繰り返す尾根道歩きとなったが、

 そんな所でも時折 『ミヤマキリシマ』 や 『ドウダンツツジ』 を見掛けた。


 写真はそんな尾根道を 『黒岩山』 から20分ほど歩いた所にあった分岐標識である。


 尚、この付近では雨は上がり、それ以降に雨が降る事は無かった。







 ここまでの尾根道は 『長者原〜泉水山〜上泉水山〜牧ノ戸峠』 の縦走路に当たるので

 登山道はハッキリしていたが、分岐標識から先は歩く人が少ないのか?、

 写真のように熊笹が生い茂り、薄い踏み跡を探しながらの歩行になった。


 尚、後方に見える稜線に今まで歩いて来た尾根道で、右側が 『黒岩山』 方面である。








 上写真の熊笹部分を5分程?歩くと小さな谷に下り始めたが、その谷は薄暗いほど密生している 『シャクナゲ林』 で

 この谷をシャクナゲの時期に訪れれば凄い数のシャクナゲの花を見る事が出来るのでは?と思う。


 写真はそんな 『シャクナゲの谷』 を抜けて少し歩いた所から、その 『シャクナゲの谷』 方面を写したものである。


 尚、写真の山頂部にはミヤマキリシマが見えるが、登山道はそこを通らずに右山裾を巻いていた。











 この写真は上掲写真から少し歩いた所で、『大崩の辻』 の山頂方面を写したものである。













 この写真が 『大崩の辻=1458m』 の山頂である。


 『黒岩山』 からは35分が経っていた。








 写真は 『大崩の辻』 から前方に見えていた小高い山だが、序でにあの山頂まで歩いてみよう!との事になった。

 10分弱で写真の山頂部に着いたが、そこに着く少し前からガスが掛かり始め、周りの景色が全く見えなくなった。

 それでも、そこの山頂標識を二人で少し探したが、とうとう分からなかった。

 その山頂部にいる時にガスが一瞬切れる時があったが、その時には少し離れた北西方向には端正な山容をした

 『涌蓋山=わいたさん=1500m』 が、また遠く離れた北東方向には双耳峰の特徴を持つ 『由布岳』 の山頂部が

 雲海の上に見える時があった。

 私はそれらを写真に撮った積もりだったが、後から見るとボケていて掲載するには至らなかった。(残念!)







 そんな事で 『大崩の辻』 の山頂部周辺を25分ほど散策してから下りる事にした。


 写真は 『大崩の辻』 から下りる途中で 『シャクナゲの谷』 方面を写したものである。








 三俣山         硫黄山  星生山
   ↓            ↓     ↓



 この写真は帰路、 『大崩の辻』 の分岐標識を過ぎ 『黒岩山』 に向かう縦走路から、

 ガスが切れた時に写した南東方向の 『星生山=ほっしょうざん=1762m』 方面である。


 写真のように 『星生山』 の北斜面がピンク色に染まっていた。







『黒岩山』 から滑り易い黒土部分を慎重に下り、牧ノ戸峠に着いた時刻は16時55分だった。



今日の山歩きをまとめると、

         牧ノ戸峠(14:25)〜30分〜黒岩山(14:55)〜20分〜大崩の辻・分岐標識(15:15)〜15分〜大崩の辻・山頂周辺散策(15:30〜15:55)〜

                      60分〜牧ノ戸峠(16:55) で、総所要時間は2時間30分、万歩計は12412だった。



『牧ノ戸峠』 から 『長者原』 に下り、『長者原の靴洗い場』 で泥だらけになった靴を洗い、当夜に泊まる予定の 『男池駐車場』 に着いた時刻は18時半近くだった。

広い駐車場には5台ばかりの車が駐車中で、その中の1組はバーベキューをしながら飲んでいた。

私達が車中泊の準備を終え、車の中でオバさんと盛大な宴会を始めたのは19時頃だった。


 写真が当夜の宴会料理で、全てオバさんが今日の午前中に自宅で準備して持って来た物ばかりである。


 簡単に説明すると、 『ゴーヤの鰹節和え、肉じゃが、破竹の煮物、イカ燻、ソーセージ、とうもろこし』 等である。

 翌朝は早く起きない予定なので、当夜は21時近くまでゆったりと飲んだ。


 しかし上品で少食な私達は、『とうもろこし』 だけは食べ切れずに残してしまい、翌日の朝食時に食べる事にした。

 当夜、私は少し飲み過ぎたようでかなり酔っ払い、21時頃には爆睡したようだった。




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 平治岳(1643m)


2008年6月9日(月曜)  曇りのち晴れ  微風


当朝は6時位に目覚めた。 二日酔いと言う程では無かったが、私は少しアルコールが残っていた。

駐車場を見ると、昨夜は5台位だった車はもう既に40台以上になっていた。

私達はトイレや洗顔を済ませてから、昨夜残した 『とうもろこし』 を食べて朝食にし、熱いコーヒーを飲み終えてから身支度を始めた。



身支度をしている時に、駐車場の中で物凄い夫婦喧嘩が始まった。

私達はその夫婦と少し離れていたので、喧嘩の内容は良く理解できなかったが、どうやら此処へ来る途中で道を間違えた事のようだった?

奥さんの方が大声の早口で一方的に喋り捲り、旦那さんの方はそれに対して一言も喋らず、ただ黙々と身支度をしていた。

駐車場にはかなりの人達がいるにも関わらず、奥さんの口調は激しく、そして大声で捲くし立てるのである。

私は映画やテレビドラマ等でそのような夫婦喧嘩を見た事は有ったが、目の当たりにするのは初めてだったので驚いて見ていた。

家の中だったら多分、多くの物が飛んでいるだろう!と思われる程の迫力だった。



私は途中でトイレに行った帰りに、少し遠回りしてわざとその夫婦の近くを通り、何気ない振りをしながらその夫婦を観察した。

奥さんは40歳代位?で、旦那さんの方は私より少し年配?のように見えたので、かなりの年齢差が有るように思えた。 車は九州ナンバーだった。

その後も暫らく駐車場内に奥さんの大声が響き渡っていたが、その内に声が聞こえ無くなったので何時の間にか出発したようである。

私達は出発するする前にあんな激しい夫婦喧嘩をして、果たして楽しい山歩きが出来るのだろうか?等と話していた。

何とも凄い奥さんがいたものである。(怖い!)







 写真は 『男池登山口』 だが、私達がここを出発したのは7時15分だった。










 上掲の登山口から中に入ると直ぐ原生林の中に入るが、今の季節は写真のように新緑がとても綺麗で、

 それらを見て歩くだけでとても清々しい気持ちになった。


 登山口から2〜3分歩くと写真のような橋を渡るが、下を流れる水は名水百選に選定されている

 『男池=おいけ』 から流れて来る水で、青く澄み切って凄く綺麗である。


 遊歩道は直進しているが、登山道は橋を渡って直ぐ右折である。




登山道に入ると、登山道脇には下写真のような 『バイケイソウの花』 の群落が方々にあった。

バイケイソウの花
  バイケイソウの花のUP





 そんな登山道脇では写真のように幹が大きく二つに割れ、幹の中が空洞になっている樹があった。


 立ち枯れしてるのかなー?と思って上を見ると、上空には写真のように沢山の新緑を芽吹かせていた。

 凄い生命力である。


 この老木を人間に例えれば、私と同じ中高年の仲間のように思えたので、

 私は思わず心の中で 『ガンバレ!樹の中高年!!』 とエールを送った。(笑)











 この写真は 『男池登山口』 から歩き始めて30分弱で着いた 『かくし水』 と呼ばれている湧水で、凄く冷たい。


 この水を汲んで行く登山者も結構多い。












 その後の登山道は大小の岩の間や、写真のような樹の根の階段を登って行く所が殆んどである。


 しかしそんな所の周りも全て原生林ばかりで、今の時期は新緑が本当に気持ち良かった。









 この写真は 『ソババッケ』 と呼ばれているかなり広い湿地の広場で、

 『黒岳』 や 『平治岳』 に向かう登山者はここで休憩する人が多い。


 しかし今朝の広場には写真のように一人の登山者もいなかった。


 私は誰もいないその 『ソババッケ』 を写真に撮ったのだが、

 その時は帰路にまさか!この広場が 『野外ステージ』 になるとは夢にも思わなかった。




『ソババッケ』 を歩き始めて30分位?歩いた所だったと思うが、少し上の方から 『ギャー!』 と言うような?鋭い大声が聞こえて来た。

私達は 『今のは猿か鹿の鳴き声かなー?』 等と話しながら登っていた。

そこから少し歩いたら、前方に駐車場で夫婦喧嘩をしていた夫婦が見えて来た。

私はあんなに気の強い女性は苦手なので、少し離れた所を一気に追い抜こう!と思っていた。

しかし私がその夫婦に近付くと、奥さんの方から 『随分飛ばしてますねー!』 と話し掛けて来た。

私はその奥さんが怒鳴っている様子を見聞きしているので、奥さんのその言葉は私には何だか文句を言われたように聞こえた。

それで私は小さな声で恐る恐る 『今日は先を急いでいませんので、割りとゆっくり歩いている方ですよ!』 と答えた。

そう話した序でに、私はその奥さんに 『先程この近くで猿か鹿が鳴きませんでしたか?』 と聞いてみた。

そうしたらその奥さんは一瞬エッ!とした表情をした後に 『その声だったら先程私が毛虫を見て発した声です!』 と言ってから

『そうか!そうか!、私の声は鹿の鳴き声のように綺麗な声に聞こえたのか!?』 と言って、私を見てニヤリとした。

怖くなった私は早足でその奥さんから離れた。(笑)




 この写真は 『風穴』 との分岐標識である。


 『ソババッケ』 から50分位で着いたが、この付近の登山道は黒土部分が多く、

 その黒土は最近の雨でぬかるんでいて大変滑り易く、とても歩き難かった。







 上の分岐標識から5分弱で 『大戸越=うとんごし=1460m』 と呼ばれる

 『平治岳』 と 『北大船山=1706m』 の鞍部に着いた。

 ここは広場になっていて 『坊ガツル』 から登って来る場合もこの場所を経由する。

 私達がこの場所に着いた時は色々な登山道から登って来た登山者が数十人休憩していた。

 私達もここで少し休憩し、そこから写真の 『平治岳南峰=1625m』 南斜面のミヤマキリシマを写していた。

 この場所からは登山者が多いので、登山道は 『登り専用道』 と 『下り専用道』 に別れている。

 私は写真も撮ったので、登り専用道を登り始めようとした。



そうしたら後ろから 『ジャスト・モーメント!、ちょっと待ったー!』 との声が掛かって来た。

声の方を見ると、登って来る途中で追い越したあの夫婦喧嘩の奥さんが、カメラを手にして直ぐ近くに来ていた。

その奥さんは上掲写真と同じ写真を撮るのに、私が歩き始めたら私が写るので、自分が写真を撮り終わるまで登るのを待て!と言うのである。

私はその奥さんの常識外れで身勝手な言葉に呆れて、咄嗟に返す言葉が出て来なかった。

そしてその奥さんは写真を撮り終わると、『スミマセン!』 との言葉も無く、『もう良いですよ、どうぞー!』 と言うではないか!

私はムッ!と来ていたが、こんな奥さんと言い争いになっても恥を掻くだけだ!と思い、『私が写っている方が一段と写真が栄えますよ!』 とだけ言って後にした。

何とも自分中心の奥さんがいたものである。

たまにこのような常識外れの人に会う事がある。 初対面なのに、嫌味を言ったり、威張ったり、横柄な態度を取ったり、人を見下したり、命令口調で言う、人達である。

このようなタイプの人達は色んな処でその性格が出て、何時かは必ずトラブルを引き起こす 『トラブルメーカー』 である。

私はこのような人と一緒になると不快になるだけなので、出来るだけ距離を置くようにしている。



下の写真は 『平治岳南峰』 に登る途中で写したものだが、左写真は登山道の左側に見えていた風景で、右写真が登山道の右側に見えていた風景である。

      中岳 坊ガツル  硫黄山
       ↓   ↓       ↓
   黒岳(高塚山)
   ↓


 この写真は 『平治岳南峰』 の頂上近くまで登った所で、下の方を写したものである。


 鞍部の所が 『大戸越』 で、私達はそこへは左側に見える登山道を辿って来た。


 尚、右の方からも道が見えるが、それは 『坊ガツル』 から登って来る登山道である。


 又、向こうの山に登る道も見えているが、それは 『北大船山〜大船山』 等への縦走路である。






 この写真は 『平治岳南峰』 山頂部の岩の上から直ぐ前に見えている 『平治岳本峰』 を写したものである。

 『大戸越』 から登り始めてからここまで約45分も掛かっていた。

 それは登る途中で 『下手な鉄砲も数打ちゃ当たる!』 とばかりに方々で立ち止まって写真を撮った勢だろう!と思う。

 それにしても 『平治岳本峰』 の南斜面も写真のようにピンク色に染まっていた。

 この 『南峰』 でも沢山の登山者が写真を撮っていたが、『本峰』 の至る所にも大勢の登山者が見えていた。

 今年の 『平治岳のミヤマキリシマ』 は、3年前(2005年)に匹敵するような当たり年のような気がする?







 この写真が 『平治岳本峰=1643m』 の山頂で、100u位の広さだろうか?


 『南峰』 からこの 『本峰』 までは、ミヤマキリシマの間を通って10分位で着いた。


 私達はこの山頂部の隅の方に傘シートを広げて腰掛け、行動食を食べた。






 中岳          硫黄山 三俣山
  ↓            ↓    ↓
 この写真は2つ前の 『本峰』 写真の左端近くまで行って写したものである。 写真の様に満開のミヤマキリシマに

 囲まれ、素晴らしい景色を眺めながら仲良くお弁当を食べてある或る御夫婦が目に付いた。

 私は、『こんな景色の中で食べるお弁当は普段の何倍も美味しいだろうなー!』、そして 『凄く絵になる風景だなー!』

 と思いながら写真を撮った。 そして私はこの 『本峰』 でも色んな所に移動して写真を撮った。

 写真の御夫婦がお弁当を食べてある場所まで行った時に、その御夫婦と少し会話してみると、

 私達と同年代位?で、静岡県から来たとの事だった。

 『くじゅうは3回目だが、ミヤマキリシマの季節は初めてで、あと2〜3日間九州観光して帰ります!』 との事だった。



 この写真はその御夫婦がお弁当を食べてあった場所から、『本峰の山頂部』 方面を写したものである。

 写真のように続々と登山者が行き来していた。

 それから私は色んな場所で風景写真を撮りながら、そこで一緒に撮影している人達と少し会話をしていた。

 中にはプロ?と思えるような凄いカメラを三脚にセットして撮影されている人も多かった。

 そんな人達の数人に今日の開花状況を尋ねてみると、『今が満開でしょう!』 と言う人が多かったが、或る人は

 『4〜5日遅かったようである!』 と言い、或る人は逆に 『蕾も多いので4〜5日後が満開でしょう!』 と言われる。

 この様に開花状況の見方、感じ方は人によってまちまちなので私は面白いなー!と思った。 



私は今日の開花状況を女性に例えれば、『18〜20歳代では?』 と思った。

(この文を読んでいる女性の方で、そこに該当する方はまず居られないと思いますので、どうか御気を悪くされないで下さい。・・・爆)

 『本峰』 から 『南峰』 に戻っている時に、どこからか?凄く響き渡る声で唄う民謡が聞こえて来た。

 その付近にいる登山者の中には、その場に立ち止まって聞いている人が何人もいた。

 どこで唄っているのか分からないので、私は声を頼りに近付いてみると 『本峰と南峯の鞍部』 でその方は唄っていた。

 そこには3人の方がいて、その中のお一人の方が立って唄ってあった。

 私がその場所に着いた時はちょうど1曲が終わった処だったので、

 私は拍手しながら 『アンコールをお願いしま〜す!』 と言いながら近付いた。

 そうすると仲間の方が、『アンコールは有料になりま〜す!』 等と笑って応じ、次の民謡を唄って頂く事になった。



上掲写真は私のリクエストに応えて民謡を唄う 『Aさん』 である。

Aさんがその民謡を唄い終えると、少し離れた登山道で立ち止まって聴いていた登山者の方達からも拍手が起きた。

唄い終えたAさんや仲間の方と話してみると、Aさんは民謡の九州大会で準優勝した経歴を持つ方で、

東京の 『日本武道館』 での 『全国民謡大会』 でも唄われた程の実力者だった。

今年の九州大会は私達が住む 『久留米市民ホール』 でつい先日の5月末に行われたとの事で、その大会でも上位入賞したとの事だった。

他にも色々と話していると、Aさん達も私達と同じ 『男池駐車場』 に駐車しているとの事だった。

それなら一緒に下山して、途中に通る 『ソババッケ』 でこの続きの民謡ショーをしよう!との事に話がまとまった。

 この写真はAさん達と一緒に 『南峰の下り専用道』 を下りながら、鞍部の 『大戸越』 を写したものである。

 写真は小さくて良く見えないが、『大戸越』 には大勢の登山者がいた。

 それからここを下りる時に駐車場で夫婦喧嘩をしていた夫婦の話が出た。

 Aさん達はあの夫婦と前後して登っていたとの事で、その時にも奥さんの大声による物凄い口攻撃は止まず、

 見兼ねたAさんが仲裁に入り、仲直りをさせたとの事だった。 中部地方から来た夫婦との事だったが、

 やはり駐車場の後も、あの奥さんの怒りは治まっていなかったのである。(何とも怖ろしい!)

 それからあの夫婦はレンタカーで来ているとの事だった。




 『大戸越』 に下りると、そこでは大勢の登山者が休憩したり昼食を食べたりしていた。


 私達も 『大戸越』 で少し休憩する事にした。


 この写真はその時に 『平治岳南峰』 を写したものである。


 写真では小さくて良く見えないが、『登り専用道』 も 『下り専用道』 も、かなりの人数の登山者が歩いていた。





ところで私達は、今日(9日=月)は平日だし、前日に急に好天気の予報になったので、登山者は少ないだろう!と思っていた。

しかし、そんな私達の考えは甘かった。

私はここに来るまで、撮影中や休憩中に一緒になった人達に、何処から見えたのですか?と尋ねていた。

そうしたら九州各県からだけでは無く、関東・中部・関西等、本当に日本全国からこの 『平治岳のミヤマキリシマ』 を見に来てあり、

つい最近の天気予報等は余り関係無いようだった。

その方達は、個人、御夫婦、家族、グループ、登山ツアー等、形態はまちまちだったが、中には外国人の方も数人見掛けた。

一緒になった方の話では、最近は韓国、台湾、中国等からの登山ツアーも大変多くなっているとの事であった。

そして7日(土)と8日(日)のこの 『平治岳』 は、大勢の登山者で混雑し、登山道はかなり渋滞したとの事だった。

 私達は 『大戸越』 で15分ほど休憩してから再び下山し始めた。

 3人の中の御一人(Bさん)は、Aさんから民謡を習ってあるようで、その方も時々老人ホーム等に唄の慰問に行くとの事だった。

 一緒に下山している時には、その方が唄う 『黒田節』 や 『長持ち唄』 等の唄を数曲聴きながら下りた。

 下山道には岩場や滑り易い急坂部分も多く、そんな所を歩く時は私達は息が乱れるのだが、

 Bさんはそんな所を唄いながら下りる時も全くリズムやメロディが乱れない。

 不思議に思った私が尋ねると 『腹式呼吸』 しながら発声しているとの事だった。

 又、Aさんは腹式呼吸しながら発声するためには腹筋の強化が欠かせないとの事で、

 毎朝のジョギングを始め、1日に数百回の腕立て伏せや腹筋運動をしているとの事だった。

 やはりそのようなレベルに達する方達は、人が見ていない処でも日頃から弛まぬ努力をしてあるようである。




私達はそんな風にして皆で話したり唄ったりして、賑やかに下りていた。

その時刻は既に12時を過ぎていたのだが、そんな時刻でもまだ登って来る大勢の登山者と擦れ違った。



『ソババッケ』 に着き、この広場を即席の野外ステージにして、いよいよAさんの本格的な 『民謡ショー』 が始まった。

やはりAさんの声は、下写真のように周りを原生林で囲まれた大自然の中でも朗々と響き渡り、素晴らしい唄いっぷりだった。

この 『ソババッケ』 の木陰で昼食中だった人達や、ここを通って登下山する人達も立ち止まって 『無料の民謡ショー』 を聴いていた。

その数は私達も含めて20人近くになり、その皆さん方もAさん達を写真やビデオに撮っていた。

AさんとBさんで合計6〜7曲?唄われたように思う。

私が知っている曲は 『宮崎民謡の刈干切唄』 と 『宮城民謡の長持ち唄』 だけだったが、その他の曲も本当に素晴らしかった。

『刈干切唄』 を唄うAさん

『長持ち唄』 の1番をBさんが、
2番をAさんが唄っているところ
平治岳に向かって唄うAさん


『ソババッケ』 で、30分近い 『無料民謡ショー』 が終わり、私達は再び 『男池』 に向かって一緒に歩き始めた。

下写真はその後の下山中にも、Bさんが時々歌う 『千の風になって』 等の曲を聴きながら写したものである。


下写真は 『男池』 の直ぐ近くにある、珍木?である。

岩を5本の指で掴んだような木
大きな岩の上に立っているケヤキの大木








 『名水百選』 である 『男池』 の湧水を汲むAさん達。













 これは 『男池登山口』 の直ぐ近くにあった温度計と湿度計である。


 写真のように 『気温は24℃』 で 『湿度は約60%』 で、とても快適な気候だった。









今日の山歩きをまとめると


         男池登山口(7:15)〜50分〜ソババッケ(8:05/8:10)〜50分〜大戸越(9:00/9:05)〜60分〜平治岳山頂部(10:05/10:45)〜

                        40分〜大戸越(11:25/11:40)〜50分〜ソババッケ(12:30/13:00)〜45分〜男池登山口(13:45) で、

         総所要時間は6時間30分、万歩計は20813だった。



私達の山歩きは、色々な花や素晴らしい景色との出合いを期待しながら、自然に親しみ、自分達の健康を維持する為に続けているのであって、

決して人との出会いを求めている訳では無いのだが、今回の山歩きでも色んな素敵な出会いがあった。(今回は反面教師もいたが・・・)

このように、山歩きをしていると色々な事を体験したり見聞き出来るので、本当に楽しいのである。

私達は多分、歩ける間は山歩きを続けるだろう!と思う。


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 下山後


私達は行動食は何度か食べていたが、昼食はまだ食べていなかった。

それで 『長者原』 まで戻り、今日も泥だらけになった靴を昨日も洗った靴洗い場で洗ってから、『長者原』 で昼食を食べる事にしていた。

それで早速、『長者原の靴洗い場』 に行ったのだが、そこでビックリ!した。


   長者原のタデ原(去年の11月に撮影)

 その靴洗い場に 『タデ原』 の方から、ナ、ナ、なんと!!、あの喧嘩夫婦が歩いて来て、

 靴洗い場の前にあるベンチに腰掛けたのである。

 あの喧嘩夫婦とは最後に 『大戸越』 で会ったが、その後は何処をどう歩いて来たのか?分からないが、

 兎に角 『長者原』 に下りて来たのである。

 私達が 『男池駐車場』 に戻った時は、あの夫婦の車はまだ停まっていたので、

 これからどのようにして 『男池駐車場』 まで戻るのだろうか?




私は不思議に思ったので、聞いてみようかな〜?と一瞬思ったが、あの奥さんには関わらない方が自分の身の為だと思い直し、奥さんに背を向けた格好で屈まり、

『もしかしたら文句を言って来るのでは?』 とドキドキ!しながら、下を向いたまま、絶対にあの奥さんとは目を合わせないようにしていた。(笑)


   長者原にある銅像(去年の11月に撮影)
 しかし先程、歩いて来る処をチラッと見た時は、二人とも笑顔で話しながら歩いて来ていた。

 あのような奥さんの性格は思った事を隠さずにズバッ!と言うタイプで、腹の中を全部吐き出してスッキリ!したら、

 その後は根に持つような性格では無いのでは?と思う。 普段はアッサリして素敵な奥さんなのかも知れない?

 それに、近くから見ると童顔の美人だった。(本当に人は見掛けによらぬものである!・・・笑)

 多分、素晴らしいミヤマキリシマの大群生や雄大な景色を見ながら、爽快な汗を掻いて歩いたので、心の中は充実感で溢れ、
 
 夫婦喧嘩の原因になった取るに足らない くだらない小さな事は何処かに吹っ飛んでしまったのだろう!と思う。

 靴を洗い終わってから、そっと!後ろを見たら、何時の間にかあの喧嘩夫婦はいなくなっていた。(ホッ!・・・笑)



私達は 『長者原』 の、新緑の林の中にあるテーブルで遅い昼食を食べてから、

帰りの道筋にある 『筋湯温泉』 で疲れた身体を 『打たせ湯』 で癒し、暫らく休憩してから帰路に着いた。

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