大根地山(652m)


2005年1月3日


今日は今年最初の山登りに行く事にした。 本当は初日の出登山に行きたかったのである。

しかし12月31日の夜になってもテレビの天気予報は 『明朝は雨か雪で初日の出は拝めないでしょう!』 と言うので、酒を飲んで寝てしまったのである。

ところが、ところがである。 元日の朝目覚めると、辺り一面銀世界に成ってはいるが、雨でも雪でも無く、陽が射しているのである。

テレビを点けると、ニュースで近くの山から見えた初日の出の映像を放送しているではないか!

元日早々ムッと来た。(気象庁はもっとしっかり頑張って欲しい!・・・怒!)



そう言う事で今年最初の山登りが、今日になったのである。

しかし、どの山に登るか決めないまま車をスタートさせた。

実はオバさんが少し体調が悪く(風邪気味)、余り体力の要る山は控えようと話していたのである。

それで、九千部山か宝満山に登ろうと言う事で出発した。

車の中でどちらの山が楽かなー?と検討を始める。

九千部山は大谷コースを登れば1時間ぐらいで登れるが、七曲コースだと2時間ぐらい掛かる。

それで、九千部山は時間の掛からない大谷コースが第一候補に上がった。

しかし、大谷コースの登山口へは殆んど車の通らない林道を大分走らなくてはいけない。

この2〜3日の天気ではまだ林道が凍り付いている恐れがあり、チェーンを着けなければ危険だろうと言う事になった。

その点、宝満山への道路は交通量が多いので、道路凍結の心配は要らず、宝満山にしようと言う事に決定した。

それで、途中で急きょ右折し大宰府天満宮の方に向かう道路を走り始めた。



道路は正月のせいか平日に比べて交通量が非常に少なく、スイスイと気持ち良く走れた。

宝満山に大分近くなり、山がハッキリ見える様になると、下・左写真の様に宝満山全体が白く雪化粧している。

しかし、宝満山の前に見える標高の低い大根地山(おおねちやま)は白くない。

それでオバさんの体調を考え、急きょ一転して大根地山に最終決定する。(ファイナル アンサー!)



大根地山の登山口である 『竜岩自然の家』 へは何の問題も無く直ぐに着いた。 広い駐車場には一台の車も駐車していない。

身支度をし、歩き始める前に駐車場から今から登る 『大根地山』 の写真を撮る。(下・右写真)

宝満山    大根地山
↓        ↓
手前の斜面の奥に
薄く少し見えているのが大根地山


ここの駐車場に着くまでの道路には雪などは全く無かったが、『竜岩自然の家』 から先の道路には5cm程の雪が残っていた。

林道に入ると、積雪は段々深くなってきた。 しかし、下・左写真の様に今日車が通ったわだちの跡が残っている。

その林道を歩いている途中で、軽4輪トラックが後ろの荷台に小学校の高学年ぐらいの男児二人乗せて追い越して行った。

そんな林道を30分ほど歩くと、山道に入る前に少し広い広場が有り、そこには下・右写真の様な大きな雪ダルマが3体作ってあった。


雪の林道風景
一番良く出来ていて、
『ムンクの叫び』 に少し似ていた雪ダルマ


その雪ダルマの前からは下・左写真の様な山道に入った。 写真の様に今日登った足跡がかなり有るが、みんな車をどこに駐車してるのだろう?

私達が停めた駐車場には1台も停まっていなかったし、先程の軽4輪トラックが1台、広場の少し手前の路肩に駐車しているだけだった。



上を見ると、下・右写真の様に樹の枝に積もっている雪が、風や温度の上昇によりかなり落ちてくる。

林道は広いので樹が無い方の道端を歩いてそれを避けていたが、山道に入れば歩く所を選択する事が出来ない。

かなりの頻度で 『ザザザザァーーー』 と言う音と共に雪が落ちて来る。

山道への入り口
頭上の枝に積もっている雪


1度は下・左写真の様にかなり大きなつららが私の目の前にドスンと落ちて来た。 危なかった。

毛糸の帽子を被っているとは言え、まともに頭に当たればかなり大きなタンコブが出来るところであった。 (ラッキ〜♪)



私の積雪時山歩きに於ける楽しみの1つは、その山に住む動物達の足跡を見つける事である。

今回も林と道との間にかなりの数の動物達の足跡を見つける事が出来た。

下・右写真は足跡も小さく間隔も短いので、テンかイタチの様な小動物ではないかと思われる?

目の前に落ちて来たつらら
テンかイタチ?と思われる小動物の足跡


下・左写真の足跡も小さいが足跡の間に引きずった様な跡が有るので、鳥の様に少し飛び跳ねる動物ではないかと思う。

そして途中で二手に別れているので、数匹が追っ掛けこ等をして遊んでいたのでは?等と思いを馳せる。

そして下・右写真の様にヌタ場で何回も見た事があり、偶蹄目である猪独特の大きな足跡も見つける事が出来た。

以前には鳥の羽や動物の毛等が散乱し、血などが残っている所に出会った事も有り、色々な動物達の生活ぶりに思いを巡らせる事が出来るのである。

この様に動物達の足跡を雪の上に見つけ、それがどんな動物でどんな状況であったか等を想像すると、とても楽しいのである。

しかし今回は鳥達の足跡を見つける事が出来なかった。

?の足跡
猪と思われる足跡

『大根地山』 は山頂の少し下に 『大根地神社』 が有り、そこまでは他の場所(冷水峠)から分岐する車道があり、神社の横には駐車場も有る。

しかし今日は積雪のため、その車道は通行止めになっている筈だ。





 大根地神社近くになると写真の様に階段が多くなるが、雪が凍っていて何度も滑って転びそうになり、ゆっくり歩く。


 今日は一応軽アイゼンを用意して来ているが、装着するのが面倒くさくそのまま登る。








           祈祷中の様子

 『大根地神社』 に着くと、写真の様に3人の祈祷依頼者が室内に上がり、

 その奥で神主さんが両手にバチを持ち、タイコをドンドン叩きながら祈祷中のところだった。

 オバさんが代表して目の前のお賽銭箱にお金を入れ、頭上の鈴を鳴らす。

 タイミング良く神主さんの祈祷中に参拝できたのだから、その祈祷中に念じれば普通より御利益が有るかも知れないな〜?と思い、

 神主さんの祈祷が終わるまで便乗して拝む事にした。 が、今年はこれと言って特別にお願いする様な事は無い。

 それで取り敢えず、『家族の無病息災』、『家内安全』、『厄除招福』、『交通安全』、『安全登山』 等が思い浮かび、祈念する。




しかし、神主さんの祈祷の声とタイコのドンドンの音は引き続き聞こえて来る。

それで途中で祈念を止めては御利益が薄まるのでは?と思い、新しく祈念する事を考え始めた。

『学力向上』、『延命長寿』、『競技必勝』、『自然の安泰』、『震災被災者の早期復帰』 等が頭に浮かび、祈念する。

しかし、神主さんの祈祷とタイコのドンドンはまだ聞こえる。



今度は、『世界の平和』、『旅行の安全』、『五穀豊穣』、『豊魚大漁』、『景気の早期回復』 等を思い出して拝む。

しかし、神主さんの声とドンドンはまだ続く。



今度は、『2年先の合格』、『血圧の安定』、『良縁』、『子宝』、『安産』 等をやっとの事で思い出す。



しかし、神主さんの声とドンドンはまだ終わらない。 (ぐるし〜い!、お願いだから早く終わって〜〜〜、少し位、途中を省略してもいいよ〜!)



今度は暫らく考えて今迄に祈念してない事で思い出したのは、『水難避け』 と 『女難避け』 だった。 (ん!、、、女難は少し位、有ってもいいかな〜!?)



次は大分考えてようやく思い当たったのが、『金運向上』 だった。 (ん!?、、、アッ!、、、年末ジャンボ宝くじ!、、、まだ当選番号を見てない!、、、家に帰ったら

直ぐ新聞で確かめよう!、、、1等に当たってたらどうしよう!) 等と本当は煩悩を捨てて無心になって祈念しなくていけないのに、雑念が入り始めた。

そしてこの様な邪念が入ったら、神様に願い事を受け付けて貰えないかも知れないな〜?と、少し不安になる。



大体ここの 『大根地神社』 は何の神様を祀ってあるのだろう?

私は思いつくままに色々な事をお願いしたが、もしかしたらここの神様の専門外で、門前払いの事柄も有るかも知れないな〜?と思ったりもした。
                             こうべ
ふと横のオバさんを見るとオバさんも手を合わせ頭を垂れて、神様にお願いしている。

オバさんの事だからきっと私以上にお願いした上に どんな神様にでも受け付けて貰えないであろう、『脚をもっと長く!』 とか 『小じわが取れます様に!』 等と

厚かましいお願いをしているな〜!と、私は睨んだ。



そんな事を思いながら祈念を続けていると、突然ドンドンが止んだ。

頭を上げ薄眼を明けて神主さんを見ると、タイコのバチを置いて御神体に拝礼している。 祈祷は終わったのだ。(ホッ!)

しかし次の祈祷依頼者が隣の部屋に控えていて、神主さんが直ぐ次の祈祷を始める様な事にでもなれば大変だ!と思い、

『さっきお願いした事は万事よろしく!』 と、最後のお願いをしてから頭を下げ、私は急いでその場を離れた。



神社から山頂までは10分も掛からない位の距離であるが、坂道も積雪のために滑りそうでゆっくりしか歩けない。

それに結構登山者が下りて来るので、すれ違うのにどちらかが通路脇に立ち止まらなくてはいけない。

下りて来る登山者の一人の方と少し話をしてみた。

その人は昨日は宝満山に登り三郡山まで縦走したが、積雪が膝まであり苦労しましたと言われる。

オバさんの体調を考えると、今日は 『宝満山』 ではなく 『大根地山』 に登って正解だった。






 山頂には12時少し前に着いた。


 山頂は写真の様な積雪で、ストックを雪に突き刺して測ってみると、平均で30cm、多い所では50cm位あった。







       麓のゴルフ場の雪景色
 山頂の展望は南側が開けている。 麓のゴルフ場も写真の様な積雪状態で、数日間は閉鎖だろう。

 他方向の展望は樹木が大きくなっていて、その樹間から少しづつ景色が見える程度である。

 この山でいつも私達がシートを広げて休む場所も積雪で、それが出来ない。

 それに少し風も出て来て、時々雪煙が上がる状態になって来た。

 それで昼食を食べる場所を探しに、神社まで下りる事にした。

 私達が下りる時も、登って来る数人の登山者とすれ違う。

 今まではこの山では殆んど人に出会わなかったのだが、正月は登山者が多い事が分かった。



下りる途中で私が風景写真を撮っていると、オバさんが私を追い越して前を歩き始めた。

止せば良いのに〜!と思っていると案の定、歩き始めて少ししか経たない内に私の目の前で滑って尻餅を付いた。

しかしそのままの体勢で登山道に尻餅を着けば泥んこになる所であったが、お尻が着地する寸前にオバさんはお尻を横の雪の方に振った。

そのお陰でお尻もザックも少し雪が付いただけで泥んこになるのを免れた。

オバさんは転び慣れしていて、身体が自然に反応する様になっている様である。 感心した! オバさんは今だに進化しているのである。(???)

    昼食を食べた縁台(一番奥)とタル酒
 神社まで下りると、写真の様に庇の下の縁台が空いているのが目に付いた。

 ちょうど神社関係の方が外に出てあったので、その場所で昼食を食べて良いか?を尋ねた。

 『どうぞ!、どうぞ!』 との返事だったので、一番奥の縁台にシートを敷き、腰掛けながら昼食を食べる事にした。

 そこでお湯を沸かし、インスタント味噌汁をすすりながら昼食を食べ始める。

 しかし、その前は写真の様に神社への参道で、参拝者が結構前を通る。

 その前を通る人達は、これから参拝に行く人もその帰りの人も、かなりの割合で破魔矢を持っている。

 そして参道を通る殆んどの人達が私達に 『おめでとう御座いま〜す』 と声を掛けていくのである。



私達も黙ったまま頭だけを下げる訳にはいかず、『おめでとう御座いま〜す』 と返事をする。



しかし、ご飯等をパクッと口の中に入れてモグモグしている時等は、言葉がハッキリ出せない。

『パクッ・・・モグモグモグ・・・おめでとう御座いま〜す・・・モグモグモグ・・・ゴックン』

又は 『パクッ・・・モグモグモグ・・・ゴックン・・・おめでとう御座いま〜す』 と言うパターンになる。

途中からは少し慣れて来て、参道に人が見えると、挨拶に備えて食べ物を口の中に入れない様にした。

そして、左右に人が見えなく無くなった時に急いで食べるようにした。 気ぜわしい! この場所を選択した事を後悔したが、今更どう仕様も無い。



一度はお婆さんが私達に新年の挨拶をしてから 『ところで今、何時でしょうか?』 と、尋ねて来た。

私が 『今、12時40分ですよ』 と教えると、そのお婆さんは連れのお爺さんに向かって 『もう12時40分にもなるそうだよ〜 ワタシャ腹減ったよ〜!』 と

大きな声で文句を言っているのが聞こえ、可笑しかった。

しかし、今年ほど初対面の人と新年の挨拶を交わした事は初めてだった。

     ドスの効いた低音で吠える
     大きなセントバーナード犬
 参道から少し離れた樹に、写真の様に図体の割にはユーモラスな表情をしたセントバーナード犬が紐で繋がれていた。

 その犬は良く躾がされている様で、人が近づいてもシッポを振りながら吠える程度で、飛び掛かる様な事はしない。

 しかしその鳴き声は低音で大きく、ドスが効いている。

 ここから見ていると、そこに大きな犬がいる事に気付かずに参道を通り、横から急にドスの効いた低音で吠えられると

 大概の人がビックリしてのけ反る。

 中には慌てて逃げたり、驚きの余りにバランスを崩して滑り、転びそうになる人もいる。

 そんな様子を私達は笑いを堪えながら見ていた。



私達の横には二つ上の写真の様に、ある住宅会社が提供している樽入りの振る舞い酒が置いてあり、時々人が飲みに来る。

私も少しだけご馳走になったが、帰りは滑り易い雪の坂道を歩かなくてはいけない事が分かっているので、多くを飲めないのが残念だった。






 参道の奥に手等を清める手水舎(ちょうずしゃ)が有る。 そこに手水の作法が書いてあった。


 それは以前にフィルムカメラで写真に収めていたが、デジカメでは初めてなので写真に撮った。







じっとしていると寒いし、あまりにも多くの参拝者が目の前を通るので、食後のコーヒーを一杯飲んだら早速下山する事にした。

下り始めて10分位した所に小さな滝が有り、その横の岩穴に小さな社が有る。

その社前の広場で10人近い登山者の団体が車座になって、昼食を取っていた。 寒そうである。

今日は昼食を食べる場所で、皆苦労している様である。 お互いに新年の挨拶を交わす。



下りは雪で滑り易く、スピードが上がらない。 二人とも注意してゆっくり歩くので時間は掛かるが、滑って転ぶ様な事は無かった。

それよりも上から落ちて来る雪の方が大変だった。

登る時よりも温度が上がっているのか、かなりの頻度で樹の枝に積もっている雪が落ちて来る。

大体20〜30m位歩けば、1回は頭上に落ちて来る様な頻度である。 

前後左右でも雪が落ちるのを入れれば、ほとんど何時もその何処かで雪が落ちている様な状況である。

落ちる時には 『ザザザザァーーー』 の音と一緒に落ちて来るのであるが、狭い登山道の中なので避ける事が出来ず、頭からまともに雪を被る事になる。

何回か首筋から背中に雪が入り、気持ちが悪い。

オバさんが後ろから 『帽子や肩やザックが真っ白だよー』 と、叩き落としてくれる。 オバさんも真っ白である。

そんな道を40分ほど歩くと広い林道に出た。 そこからは落ちて来る雪を避けて、樹のない方の道端を通れる様になった。



それで私は先程から気になっている事をオバさんに尋ねた。

私が気になっていた事は、神社にお参りする時にお賽銭をいくら入れたか?だった。

そうするとオバさんの返事は 『5円』 だったのでビックリした。



今時5円と言う事は無いだろうと思う。 小学生に千円やっても余り喜ばない御時世で、10円玉が落ちていても拾わない人がいる位である。

それなのに5円とは驚いた。 私でも20以上のお願い事をしている。 オバさんはきっとそれ以上にしている筈だ。 二人合わせれば50位になるだろう。

5円を50で割れば、1つの願い事にしたら10銭の単価ではないか! 今は銭の単位は使わない時代である。 せめて円の単価にして欲しいと思った。

何だか神様に対して申し訳無い様な気になった。 しかし又登り返してまでお賽銭を追加する気は無い。 私は今度登った時に気が向けば追加しようと思った。



しかし一方で神様がお賽銭の多寡によって願い事に差を付ける筈は無い!と言う気もして来た。

神様は私達俗人と違って物欲等が無いから神様であって、神様に物欲等が有ったら神様では無い様な気がする。

しかし神様にはその気は無くても、神様の取り巻きの中にはそうで無い人がいるかもしれないな〜?と、思ったりもする。

神様は良いかも知れないが、神様の周りの人達はカスミだけを食べている訳にはいかないからな〜!等と、変に自分を納得させる。

そんな事を笑いながらオバさんに話すと、オバさんも声を出して笑い始め、話が盛り上がる。

ちなみにオバさんは 『ご縁が有ります様に!』 との思いで 『5円』 入れたそうである。

そんなバカ話をして笑いながら歩いていたら、直ぐに 『竜岩自然の家』 に着いた。






 そこの広場横の道を歩いていると道沿いに植えて有る桜の木の中で、

 写真の様に何故か?、或る1本の樹の一枝だけに桜の花が咲いていた。








駐車場に着き、車にタッチし万歩計を見ると15263で、所要時間は登りが山頂まで1時間40分、下りは神社から1時間10分だった。

所要時間の割には普段に比べ、万歩計の数値が多い様な気がする。 多分雪道のため、歩幅を狭くして歩いている勢だろう?

     帰り際に写した大根地山方面


 帰り際に大根地山方面を見ると、写真の様に山の中腹以上は雨か雪になっており 、大根地山は見えなかった。


 私達が車に帰り着くまで雨や雪が降らなかった事は、今日お参りした 『大根地神社』 の御利益の様な気がして、

 私はそちらの方向に頭を下げ、感謝の意を表してから帰路に着いた。






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