米山(590m)


2004年12月14日


この山への登山口は先日確認していた。 先日と言うのは1番最初の山行記である、針目山の帰りの事である。

その日(10月5日)、針目山の山頂で昼食にしようと思っていたが、そこで食べ損ねた私達は針目山を下りてから弁当を食べる場所を探していた。

県道52号線に出て10分も走らぬ内に、道脇に 『大手山2000年公園』 の大きな立て看板が目に付いた。 急きょ右折する。

『大手山2000年公園』 の有る山頂までは5km程あり、途中狭い所も有るが全体的に結構広いつづら折りの道路を登って行く。

人家が途切れると、道路両脇の斜面は一面柿畑ばかりである。 そしてその時期は柿が色付き、収穫の真っ最中だった。


こんな柿畑ばかりの所は始めてだったので、写真に撮りたいなー!と思いながら車を進めていた。

そうすると、ある広い曲がり角に軽トラックを止めて柿の収穫をしてある、ご年配のご夫婦がおられた。

その広い曲がり角に私も車を止め、そのご夫婦に柿畑の写真を撮らせて欲しい旨尋ねる。

ご主人が快諾された。 オバさんは奥様と話している。 私はご主人から柿畑の中に案内された。 そこで撮ったのが次の写真である。


数ヶ所で写真を撮りながら話を伺うと、今年は台風の被害が甚大だったそうである。 台風で実が大量に落ちたとの事だった。

台風で樹の幹や枝が折れたり、柿の実同士がぶつかって傷になり、現在生っている柿の実の中にも商品にならない物が多いとの事だった。

下を見るとあちこちで大きな柿の実が無造作に集められている。 畑の数ヶ所には結構大きな穴を掘り、その中にも柿の実が大量に捨てられていた。

私達は山に良く登るので、台風による風倒木被害は良く目にしていた。 しかし台風による農産物の被害を見るのは初めてだった。

柿の実の被害の大きさを目の当たりにして、台風があらゆる物に被害を及ぼすその大きさを改めて実感した。



この地域一帯は柿の他にも、梨、巨峰ぶどう等の一大産地でもある。

以前テレビのニュースでこの地方の台風による農産物の被害総額が何億円とか言っていたが、この畑だけでもこれだけの被害である。
               さ
全体を合わせたら、然も有りなん と思った。

写真を撮り終えたのでお礼を言って帰ろうとしたら、柿を持って行け!と言われる。

たった今被害の大きさを見たばかりでもあり、私には初めから柿を貰いたい等の気持ちはサラサラ無い。

と言うのも、直ぐ近くに農産物等を安く売る道の駅 『バサロ』 があり、今朝針目山に登る前にそこに立ち寄り、柿を始めとする農産物をかなり買っていた。

柿はリンゴと共に私の大好物であり、余りの安さに硬そうな物を1箱買っていたのである。

それでかなり辞退したのだが、どうせ商品にならない物だから良かったらどうぞ!と言われる。

それで、折角のご好意を無にしては・・・と思い、少しだけ頂き丁重にお礼を言って後にした。


その後も道の両脇は柿畑ばかりである。 山頂近くにはオーナー柿園として柿の樹1本を一万円〜から提供している畑もあった。

山頂の 『2000年公園』 に着くと、そこは広い草地でフィールド・アスレチック遊戯もあり、幼い子供を連れた数組の家族がそれらの遊戯で遊んでいた。

私達は広場の一角にある東屋で昼食を食べる事にした。 その広場の直ぐ下の段は貸し農園で50区画近くあり、一組のご夫婦が農作業中だった。

私は食後のコーヒーを飲みながらその辺りを歩き回り、『2000年公園』 からの眺めを堪能する。

右手の方には耳納連山が横たわり、その左手後方には黒木町、星野村、矢部村、津江の山々が波の様に見える。

展望案内板を見ると、左手の方には先日撤退した針目山や土師山等が見える。 くじゅう連山や由布岳も見えるそうだが、今日は霞んでいてそこまでは見えない。

眼下には筑後川が流れ、杷木町や原鶴温泉が良く見える。 筑後川を下流まで辿れば久留米市街も見えそうだが、その方面は霞んでいて見えない。

土師山 と 針目山
筑後川と原鶴温泉(別の日の写真)

そんな事をしているとオバさんが突然思い出したらしく、この公園の直ぐ近くに 『福岡県無名山301』 の一つである 『米山』 がある筈だと言い出した。

それでは早速下見に行ってみよう!と言う事になり、右手の甘木方面へ向かう舗装林道を走り始めた。

1km位?走ると道路脇・右側に下写真の様な、『米山』 の案内板を見つけた。 直ぐ先の広い曲がり角に駐車する。

その案内板から1本目の樹に 『福岡やぶこぎ探検隊』 が取り付けた標識が有った。(下・右写真)


短時間で登れるとの事だったので、その時一気に登ろうかとも思ったが、午前中の針目山の事を思い出し、その日のチャレンジは自重していた。

そう言う事で前置きが大分長くなったが、『米山』 の登山口はその時に承知していたのである。


この山は登頂したら直ぐに下りて来て、昼食は 『2000年公園』 で食べる積もりだったので、麦茶を入れたナップサックとポシェットだけの軽身で行く事にした。

登山道はかなり広くてなだらかで、軽トラックが通れる様な林道に、車のわだちの跡も付いている。

4WD車であれば行けない事は無いだろうが、下写真の様に枝打ちが良くされておらず、車体にかなりの擦り傷が付くだろうから行かない方が良いと思う。


そんな林道を10分ほど歩くと、下写真の様な猪のヌタ場(猪がダニ等を取るために横たわって、身体を泥に擦り付ける場所)があった。

水溜りの周りには猪のひずめの跡がかなりの数、付いている。 しかし水溜りの水が澄んでいるので、ここで暴れてかなり時間が経っていると思われた。(右写真)


さらに林道を進むと右にほぼ直角に曲がり、今までより少し急坂の登りになった所に差し掛かった。

そこを少し(50m程)登るが、どうも雰囲気がおかしい。 『なんだかおかしいなー』 と、オバさんに話し掛ける。

そうすると、オバさんが少し下の樹に赤いテープがあった様な気がすると言う。(そんな事は早く言って貰いたい!・・・怒!)



少し引き返すと曲がり角から10m位先の左側で、小さな樹の下部に下写真の様な赤テープが有った。

そこから山中に20〜30m入った樹にも赤いテープが見える。 それで、ここから山中に入り込む事が分かった。

山中への進入口がもっとハッキリ分かる様に赤テープを付けたいと思ったが、今はザックを担いでいない。

いつもは赤テープ1巻きをザックの腹帯部分のポケットに入れている。

しかし今はザックは車に置いてきており、ナップサックを担いでいる。 しまったー!と思ったが今更テープを取りに車まで戻る気は無い。

仕方がないので、そのまま山中に入り込む事にした。


その後は二人して赤テープを探しながら山中を進む。

少し歩くと大体次の赤いテープを見つける事が出来たが、2、3度ほどテープを見つける事が出来ず、前に見つけた赤テープまで戻った事があった。

そんな事を繰り返しながら少しづつ進むと、また次の写真の様な猪のヌタ場が有った。

ここの水溜りは先程のヌタ場とは違って、写真の様に水が濁っている。 猪がここで暴れて余り時間が経っていない証拠である。 少し緊張する。


そんな所を過ぎると、10分もしない内に山頂に着いた。

山頂部には三角点と写真の様な 『やぶこぎ探検隊』 の山頂標識と、他にも周りの樹に2、3の私標が有った。

下・右写真は同じ山頂部で見つけた花(タツナミソウ?)である。 一株だけ花を付けていた。(私は花には疎い、もしかしたら違っているかも?)

山頂部の少し先まで行けたが、そこも山頂部と同じく樹間から少しだけ耳納連山の一部や山裾が見える程度だった。

山頂標識
タツナミソウ?

山頂部には10分位いた程度で、直ぐ下山に入った。

下山時は視界が広がるせいか?、それとも登りの時より心に余裕が有るせいか?、登りの時より赤テープが良く目に付いて歩き易い。

一度も道を迷う事は無かった。 『やぶこぎ探検隊』 に感謝!である。



下の方に林道が見え始め、あと40〜50m位で林道に出ると言う時、目の前20〜30mの所で突然猪が飛び上がった。

それは本当に突然で、二人とも声を上げる暇も、驚く暇も無かった。

猪は最初は真上にジャンプした様に見えた。 そして着地すると同時に猛然と左の山中に駆け上がって行った。 その様子は文字通り猪突猛進だった。

大きさは私達より少し大きい位に見えた。 色は水浴びをした後なのか?、濡れた様に光り、限りなく黒に近い暗褐色だった。

私は今までに何度も猪の写真を撮り逃がしている。 それで咄嗟に胸ポケットからデジカメを取り出し、カメラをその方向に向けたが、もう影も形も無かった。



真っ直ぐ進むと猪が潜んで居た場所を通る事になり、もしかしたらまだ他にも猪が隠れているかもしれないと思った私達は10m位迂回して下りる事にした。

しかしその横ぐらいに差し掛かると、動物園などで嗅いだ事の有る、あの独特の何とも言えないもの凄い臭いがする。

潜んでいた場所で糞か尿をしたのだろうか?、それともイタチと同じくサイゴッペをしていったのだろうか?

『臭かったな〜』 とか 『こっちに向かって来なくて良かったな〜』 等と話しながら林道を歩き始めた。

そして直ぐに林道の中に有る最初のヌタ場に差し掛かったが、そのヌタ場の水はまだ澄んだままだったので、他にもヌタ場が有るのだろう。

林道をゆっくり歩いていると下写真の様な花が目に付いた。

季節はずれのアザミの花とつぼみ


そこから、少し歩くと車に着いた。 車にタッチし万歩計を見ると5417。 登りの所要時間は35分、下りが25分だった。

昼食を見晴らしの良い 『2000年公園』 で食べ、午後からは土師山に登る予定である。

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