金の水

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2012年5月23日







 写真の本は去年の4月に福岡市の海鳥社から発行された、『祈りの山 宝満山』 である。

 私は去年この本を図書館から借りて読み、『金の水』 の洞窟内に年に1度だけ光が射し込む現象が有る事を初めて知った。



 その本には 『年に1度だけ天井の穴から光が射し込み、水が金色に輝く』 との記述が有ったが、

 『何時その現象が生じるか?』 の説明は無かった。







それでインターネットで調べたところ数年前の記録がヒットし、その現象は毎年5月20日〜22日位に見た人が多い事が分かった。

それで今年はその3日間の中で1番天気の良い日に 『金の水に行こう!』 と、私達は天気予報に注意していた。

そうすると20日は曇りだったので、その日は違う山に行った。

21日は1日中雨予報だったが、22日は逆に1日中晴れ予報だったので当日に行く事にした。







 写真が 『シラハゲ登山口』 からちょうど1時間で到着した 『金の水』 である。



 この場所は今迄に何度も通っているが、何時も大きな岩の中から水が流れ落ちている。



 既に数人の登山者が来ているのでは?と思っていたが、予想に反し誰も居なかった。












 写真は上写真の洞窟内を写したものである。


 洞窟内に少し入って天井を見上げると、天井部分には写真のように小さな穴が見え、

 その小さな穴からは外の光がユラユラ!と少し揺れるような感じで見えていた。


 インターネット情報では洞窟内に光が射し込む時間は12時半から5分間位との事だったので、

 私達は余裕を持って 『金の水』 に到着し、その現象が起きるのを期待しながら待っていた。


 私は12時25分位から天井の穴を見上げながら陽が射し込む瞬間を待った。

 12時半になり私はワクワク!しながらカメラを構え、何時でもシャッターが押せる状態で待っていた。

 しかし穴から見える光が 『今迄より少し強く成ったかなー?』 と思える時でも、洞窟内に陽が射し込む事は無かった。


 私は今日は最終日?なので、もしかしたら時間が少しズレルかも?と思い、更に5分間ほど待機したが

 その時間も本の写真のように、洞窟内が陽に照らされる事はとうとう無かった。(涙)










 それで遂に諦めて洞窟の外に出たが、写真はその時に 『金の水』 上部を写したものである。


 上空には雲は全く無く、岩の上部には強い陽射しが照りつけていた。


 しかし岩の上には写真のような樹木が有って葉が生い茂っていた。

 洞窟内から穴を見上げた時に光がユラユラ!と少し揺れるように見えたのは、

 岩上に生い茂る葉っぱからの木漏れ日だったようである。








その後、帰り仕度をしているとそこに登山者の方が通り掛かり、『金の水』 をペットボトルに汲みにやって来た。

その方と会話すると宝満山の常連さんのようで?、洞窟内に光が射し込む現象は今迄に何度か見た事が有るが、近年はその現象は起きていない!との事だった。

どうやら岩上の樹木が大きく成り、葉が生い茂って日光が洞窟内に届かなく成った!ようである。



『祈りの山 宝満山』 に掲載されている、洞窟内に光が射し込んでいる写真(136ページ)は何年前に撮影されたものか?分からないが、

その写真と見比べると天井の穴も随分小さく成っているように見える。

これは落ち葉等が堆積して穴を塞いでいるのでは?と思われる。



私は出来れば以前のように陽の光が洞窟内に届くように成れば良いなー!と思ったが、何とか出来ないものだろうか?

岩上の樹木を根元から伐採して欲しい!とまでは言わないが、せめて天井穴に覆い被さっている枝部分だけでも切断する事は出来ないのだろうか?

今のままでは、太古から続いていた神秘的でロマンチックな現象が2度と起きなくなるのでは?と残念でならない。

そんな事を思いながら私は 『金の水』 を後にしたが、出来れば名称の謂われと成った 『金色に輝く水』 を1度だけでも見てみたい!ものである。





2013年5月23日


昨日(22日)、 『金の水』 に行った方から私の掲示板にその現象写真の投稿があった。

その写真を拝見し、そして翌日の天気予報が快晴だったので 『次は何時見れる分からない!?』 と思った私は居ても立ってもいられず、翌朝から 『金の水』 に行く事にした。

運の悪い事に私は5月6日に右脚を痛め、当日もまだ完全には治っていなかった。

それで 『普段の1.5倍位の時間を見ておけば良いだろう!?』 と思い、早めにシラハケ登山口を出発した。





 しかしやはり右脚に痛みが走るのでゆっくりとしか歩けず、写真の 『金の水』 に着いた時刻は11時55分だった。


 その時、洞窟の上部には写真のように強い陽射しが照り付けていた。

















 早速 洞窟内部を写したがこの時の時刻は11時58分で、直射日光はまだ洞窟内には届いていなかった。


















 上写真から1分経った11時59分になると、1段目の岩に直射日光が当たり始めた。(下部の小さな明るい点)














 最初は上写真の様に小さな点だった直射日光は、12時8分には照射面積も大きく成り1段目岩の中央を照らしていた。

















 直射日光は太陽の動きと共に少しずつ洞窟の入口側に移動し、12時29分には2段目岩の中央を照らしていた。




















 そしてこの写真が上写真から4分経った12時33分に写したものだが、

 後から洞窟内を写した全ての写真を見てもこの直射日光の光線が1番強く写っていたので、

 この時刻に太陽は穴面と直角の位置にあったのではなかろうか?



















 12時49分になると光線は更に入口側に移動し、写真の様に2段目〜3段目〜4段目の岩を同時に照らしていた。


 洞窟奥から少量の水が流れているが、その水はチョロチョロ!と2段目〜3段目〜4段目の岩肌を伝って流れている。


 その岩肌を流れる水を光線が照らすと、その水は日光を反射してキラキラ!と金色に輝く様に見えた。


 『金の水』 とはこの時の様子を言い表したのではなかろうか?



















 13時2分になると光線は更に移動し、4段目の中央を照らしていた。


















 13時35分になると、光線は洞窟の入口にある大きな岩の内側を照らすようになった。

















 13時51分には大きな岩の尾根を越え始めた。

















 大きな岩の尾根を越えた光線は1〜2分間位?葉っぱが風にユラ!ユラ!と揺らぐ薄い影を岩肌に写していたが

 その影も段々小さくなり、13時54分には完全に消え 『金の水ショー』 の終演を告げた。







以上が2013年5月23日に 『金の水』 洞窟内で繰り広げられた約2時間にも及ぶ光ページェントの一部始終である。

その間は誰も来ず私達だけの貸切りだったので、私達は岩に腰掛けて洞窟内を見ながら弁当を食べたり、コーヒーを飲みながら撮影をしていた。

但し、このように2時間近くもこの様な現象を見れたのは、どなたかが岩上の堆積物を除いて穴を最大限に大きくしたばかりで、

且つその後に福岡市のS氏が岩上に生い茂る藤を払い除けた直後だったからだ!と思う。(感謝!)



『祈りの山 宝満山』 の本には 『年に1度だけ天井の穴から光が射し込み、水が金色に輝く』 との記述が有るが、実際はかなりの期間で見れるような気がする。

しかし今後はまた岩上に少しずつ堆積物が溜まって徐々に穴が小さく成り、そして岩上の樹木や藤が大きく成って直射日光が洞窟内に届かなくなるかも知れません?

今は絶好のチャンスですので、『金の水』 現象に興味のある方は近日中に行ってみて下さい。



尚、下写真は 『金の水』 の直ぐ近くに咲いていた花達です。

ツクシタニギキョウ?
ヒメレンゲ


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