飯豊本山−1日目


2015年(平成27年)7月20日(月曜日)  早朝は雨・その後は曇りのち晴れ  弱風


当日は深夜から大雨が降り始め、私達は車の屋根を叩き付ける強い雨音で何度か起こされた。

4時位には目覚めていたが、私達は原則として雨降りの登山はしない事にしているので、今日はこの登山口で停滞かな〜?等と思いながら、5時位?に起床した。

そして今日の天気予報を聴こうと思い、AM放送・FM放送・テレビ等の周波数を試してみたが、この駐車場は山に囲まれているのか?電波が全く入らなかった。

車外に出ると雨は昨夜のような大雨ではなく、小雨になっていた。

私達が空模様を見ていると、熊本県玉名市のA氏も車外に出て来て、『今日はどうしましょうかね〜?』 等と話しながらお互いに悩んでいた。


兎に角、今日の天気が分らない限り、今日の行動が決められない。

それで私は6時半位?に大日杉小屋へ、今日の天気予報を訊きに行った。

そうすると、管理人さんは管理人室にあるテレビでBSデータ放送にチャンネルを合わせ、当地方の天気予報を映し出してくれた。(感謝!)

テレビ画面に映し出された3時間毎の予報を観ると、6〜9時は1mmの降雨、9〜12時も1mmの降雨、12時以降は曇りのち晴れ、明日は晴れ、との予報だった。

私はその予報を観て、『今日は登ろう!』 と決めた。


早速、その情報をA氏とオバさんに伝えると、A氏もその天気予報なら登る!との事であった。

A氏は小雨でも登る積もりだったのか?、既に準備は殆んど完了していたようで、素早く上下のレインウェアーを着ると、7時前?には小雨の中を出発して行かれた。

1/2万5千 地形図上でのGPS軌跡
白色の点線は10秒間隔緯線10秒間の距離=約310m、経線10秒間の距離=約250m)、青色の線は1分間隔、水色の斜線は磁北線


 .

緯  度  .
37°52′00″













37°51′00″














37°50′00″







         139°             139°             139°            139°              139°
            43′              44′              45′              46′               47′
 度         00″              00″              00″             00″               00″




 私達はまだ朝食も食べてなかったので準備に時間が掛かり、登山口を出発した時刻は8時10分だった。

 ラッキーな事にその時刻には雨は完全に止み、私達はレインウェアーを着らずにスパッツだけで出発できた。


 写真が駐車場から50m位奥にある 『大日杉小屋』 である。

 尚、右側に写っている小さな建物内に登山届BOXが設置されていた。





上の写真から50mほど?進むと林内に入るが、そこには下写真のような 『大日杉跡』 があった。

大日杉跡の全景
大日杉跡の説明






 林内に入り、登山道を20分ほど進むと、長い鎖が設置された急坂が現れた。


 地図を見ると、地蔵岳までの坂には 『ザンゲ坂』 との名称が付いているようである。













 上の急坂を登り切って5分ほど進むと少し展望が開け、

 そこからは昨夜からの雨が、地面や樹木から水蒸気と成って立ち昇る光景が見えていた。













 この写真は更に20分ほど登った所で、下の方に写っている山吹色の 『山ツツジ』 を写したものであるが、

 周囲の樹木からもまだ盛んに水蒸気が立ち昇っていた。













 またその付近の登山道脇にはダケカンバの樹が多かったが、

 その幹は写真のように積雪の為か?、大きく湾曲していた。












 この写真は登山口から1時間25分ほど登った所にあった、『長之助清水』 との分岐地点である。


 標識地点から左方向に下りて行く道があったが、私達は水は十分に持っていたので、そこには行かなかった。












 上の 『長之助清水』 分岐から10分ほど登ると、『御田』 と書かれた道標のある場所に出た。


 この標識の前は少しぬかるんでいて、写真には撮り損ねたが、大きなガマガエルがいて飛び跳ねて行った。







下写真は登山口から 『御田』 までの区間に見掛けた花や木の実である。 尚、以下の花名等には全く自信は有りませんので、あらかじめ御承知置き下さい。

タマガワホトトギス
イブキトラノオ
?1

?2
コブシ
ナツハゼ?

ガマズミ
ナナカマド







 これは 『御田』 から1時間位登った付近の坂部分にあった、大きなシシウドを撮ったものであるが、

 その後方に写っている様に、この時刻は更に気温が上がったのか?、水蒸気(雲)が盛んに上昇していた。







またその付近では、昨日山小屋泊まりして下山して来る数人(数組)の人達と擦れ違った。

擦れ違った下山者−1
擦れ違った下山者−2







 更に30分ほど登ると尾根道になり、その時刻になると時々陽も射して来たので気温が高く成ったのか?、

 かなり暑く感じるように成って来た。(フ〜ッ!)













 下写真の 『地蔵岳山頂』 近くになると急坂が多く成り、その急坂部分では下山して来る十数人の団体2組と

 立て続けに擦れ違った。









 これが 『地蔵岳=1539m』 の山頂標識である。

 到着時刻が11時50だったので、登山口から3時間40分の所要時間であった。

 この山頂では私より少し若い男性二人が昼食中だった。

 私達も木陰に腰掛けて昼食を食べながら、そのお二人と話しをしていた。

 そのお二人は大学時代の友人らしく?、お一人は新潟在住で、もうお一人は香川県出身の東京在住で、

 博多にも3年間、単身赴任してました〜!と言ってあった。



私達は今日が東北一周山旅の1山目である事を伝えると、そのお二人は、退職したら自分もその様にしたいと思っている!、そして私達夫婦の事を、数年後の自分達

夫婦の姿を見ているいる様で理想的だ!等とおだてられたが、今回はザックの重量を軽くする為にお菓子等は入れてなかったので何も上げなかった。(笑)

それから、そのお二人からはこのあと 『切合小屋』 までの間に出て来る3つの雪渓についての説明や巻き道等を教えて貰った。(感謝!)

尚、下写真は 『御田〜地蔵岳』 間で見掛けた花達である。

ツルアリドオシ
ミヤマコウゾリナ
ノリウツギ

?3
ミヤマクルマバナ

?4
センジュガンビ



 地蔵岳で35分程の昼食休憩後は下山するお二人と挨拶を交わし、私達は目指す 『切合小屋』 に向けて出発した。

 地蔵岳から下り始めると、登山道の直ぐ横に小さな雪渓があったが、その向こうに見える稜線が 『ダイグラ尾根』 で

 ある事をお二人から教えて貰っていた。

 私は飯豊連峰の登山を検討し始めた時に、最初は2泊3日での周回コース(飯豊山荘〜梶川尾根〜梅花皮小屋〜

 大日岳〜本山小屋〜ダイグラ尾根〜飯豊山荘 ・・・ 又はその逆コース)を考えていた。

 しかし詳しく調べると、ダイグラ尾根はとんでもない難コースである事が分り、オバさんの強い反対で断念していた。



それで今回は 『大日杉登山口〜飯豊本山〜御西小屋〜大日岳〜飯豊本山〜大日杉登山口』 の1泊2日に変更していた。

しかしその予定も今朝の雨で出発が計画より4時間ほど遅れた為に、とても 『御西小屋』 迄は行けそうもなく、途中で1番手前の 『切合小屋』 泊まりに変更していた。

その様に予定を変更した時点で、飯豊連峰の最高峰である 『大日岳=2128m』 への登頂は諦めていた。(残念無念!)








 地蔵岳以降は中小のアップダウンのある、写真のような尾根道を進んで行った。








そんな尾根道にはトンボが大変多く、そのトンボ達はどうも私達に付いて回っているように感じた。

ツバメが蛇などの天敵から身を護る為に人間の近くに巣を作るのと同様に、トンボもまた鳥などの天敵から身を護る為に人間の近くにいるのかな?等と私は思った。

尾根道とトンボ
近くに止ったトンボ

その付近の尾根道では下写真のような花が所々に咲いていた。

ヒメサユリ
ニッコウキスゲ
シロバナクモニガナ

尾根道は時々陽が射して蒸し暑く、私達は地蔵岳から1時間ほど進んだ下左写真の様な見晴らしの良い岩場に腰掛けて休憩する事にした。

尚、下の方に白い道の様に見えているのは雪渓で、私達の腰掛けた直ぐ後ろには、右写真の様なアカモノが群生していた。

休憩した場所からの風景
アカモノ







 上写真の場所で10分ほど休憩後も尾根道を進んで行ったが、

 そこには写真の様なヒメサユリやニッコウキスゲ等の花が多かった。







そしてその後の尾根道では、下写真の様な花や実を見掛けた。

ミヤマクルマバナ
ギボウシ
シャクナゲ

イワイチョウ?
イチゴ
シラネニンジン or カワラボウフウ?





 前回休憩した場所から1時間ほど進むと、写真の様な広場があり、そこに3本の立ち樹があって日陰になっており

 休憩するのにちょうど良い場所であった。


 私達は樹の根に腰掛け、行動食を食べたりして10分ほど休憩した。











 上の休憩場所からほんの少し進むと、写真の様な標識があり、それには 『御坪』 との文字があった。


 その場所には写真に写っている小さな石祠があったので、私は 『安全登山』 を祈願してから通り過ぎた。







その後の登山道では下写真の様な花を見掛けた。

クルマユリ
白色のサイヨウシャジン
マツムシソウ








 その後も尾根道を進んで行くと、前方に雪渓を多く見掛けるようになって来た。















 上写真のような尾根道を暫らく進むと、今度は樹の根の階段が多い急坂が現われて来た。








その急坂付近には下写真のような花が咲いていた。

?5
シオガマ

                          切合小屋
                            ↓








 急坂部分が15分位続き、再び尾根道を5分位進むと、少し開けた場所があり、

 そこからは目指す 『切合小屋』 が初めて見えて来た。


 『切合小屋』 の直ぐ下には、凄い段差のある雪渓も見えていた。










 切合小屋                           飯豊本山
   ↓                                ↓










 上写真から5分ほど進むと、今度は明日登る予定の 『飯豊本山』 の山頂も見え始めた。













その後の登山道脇では下写真の様な花を見掛けた。

シモツケソウ
イワカガミ
チングルマ






 上掲の風景写真から10分ほど進むと、下の方に最初の雪渓が見えて来た。


 雪渓上を歩くのは右下部分で10m位しかなく、大した事はないな〜!と思いながら下りて行った。












 この写真は雪渓まで下りて、雪渓の上の方を写したものである。


 雪渓の更に上の方からは、雪融け水がゴウ!ゴウ!と大きな音を立てて雪渓の下に流れ落ちていた。









 この雪渓の空洞は、2つ前の写真で、左下に写っている空洞である。

 この空洞からもゴウ!ゴウ!と水の流れる音がするので中を覗くと、上写真の雪融け水がこの中を流れていた。

 要するに、この雪渓は下からは水の流れに因って削られ、上からは太陽熱で融けて薄く成り、

 何時かは崩壊する運命にある訳である。

 私達はその上を歩かなければいけないので、私はそこを渡る時は 『神様、仏様、キリスト様、御先祖様』 等に

 『どうか私達が下山するまでは崩壊しませんように!』 とお願いしながら早足で歩いて行った。(笑)



その付近の登山道では下写真のような花達を見掛けた。

イワイチョウ?
ゴゼンタチバナ
?6





 最初の雪渓は御先祖様等のお陰で無事に渡ったが、10分ほど進むと2番目の雪渓が現れた。


 この雪渓は雪渓部の最上部を渡るが、皆がその場所を渡っているので表面がツル!ツル!して滑り易く、

 私は靴を蹴り込んでステップを作りながら、1歩1歩慎重に歩いて行った。













 写真は私がステップを付けた跡を慎重に歩いて来るオバさんです。








その付近では下・左写真の様なゼンマイが多く生えていて、右写真の様なショウジョウバカマは少しだけ見掛けた。

ゼンマイ
ショウジョウバカマ





 2番目の雪渓を渡ってから10分ほど進むと、今度は3番目の雪渓が目の前に現れた。


 この雪渓は斜度が30度位?あって、長さは100m位?あるので、滑ればピッケルが無い限り止める事は出来ない。


 もし滑ったら、手足1〜2本の骨折で済めばラッキーな方だろう?









 地蔵岳で会ったお二人から、この雪渓は危険だから渡らずに直ぐ横を登って行くように!との

 アドバイスを頂いていた。(改めて感謝!)


 それで雪渓の直ぐ横の、写真の様な灌木の中や草地の中を登って行った。













 雪渓の直ぐ横には何の芽か分らないが、写真の様な芽が沢山出ていた。















 10分強、雪渓の横を登ると雪渓の上部に出た。








           切合小屋
              ↓







 雪渓の上部に出てからは、切合小屋を下に見ながら下りて行った。








切合小屋への登山道には下写真の様な花が咲いていた。

トラノオ
ホソバノヤマハハコ






 そしてこれが今夜の宿泊地である 『切合小屋=きりあい小屋、又は、きりあわせ小屋』 の入口である。


 到着時刻が16時15分だったので、大日杉登山口から休憩も入れて8時間5分の所要時間だった。










 今日の山歩きをまとめると、

     登山口(8:10)〜長之助清水分岐((9:25)〜御田(9:35)〜地蔵岳で昼食休憩(11:50〜12:25)〜

     御坪(14:40)〜最初の雪渓(15:35)〜2番目の雪渓(15:45)〜3番目の雪渓(15:55)〜

     切合小屋(16:15)、

     総所要時間は8時間5分、GPSの積算距離は約7.9km、万歩計は22907であった。






 私達に指定された部屋は1階の大部屋で、1階には他に小部屋が幾つかあるようだった?

 当日(21日)は祭日(海の日)だったが、翌日が平日(火曜日)の為に宿泊客はそんなに多くは無く、

 20人前後だったのではなかろうか?

 私達の大部屋は一畳を一人が使う位の人数だった。(10人強位)

 二階への階段が見えるが、2階は食事客用で、素泊まり客(2500円)は1階との説明だった。

 ちなみに食事客の料金は、米3合を持参すれば3700円で、米無しの場合は4700円との事であった。






 素泊まり客が食事をする部屋は、3つ前の小屋入口写真で、右側の青いドアを開けた部屋で、

 室内はこの様になっていた。


 小屋の前にはテーブルとベンチがあったが、そこでは先客の小団体が夕食を食べていたので、

 私達はこの部屋で夕食を食べる事にした。









 水場は小屋の斜め前にあり、常時ホースから冷たい水が流れ落ちていた。


 翌日、管理人さんに尋ねると、水源は小屋の左奥に見える山で、その麓からホースが伸びているとの事だった。


 尚、かなり昔に水が涸れた事が1度だけあったが、最近は涸れた事が無い!との事であった。





       宿泊棟           トイレ
         ↓              ↓







 トイレは宿泊棟後ろの少し高い所にあり、100円/1回のチップ制になっていた。












 今回はザックの重量を軽くする為、私はアルコール類は一切ザックに入れていなかった。


 しかし私は夕食前にどうしてもビールが飲みたかったので、小屋で良く冷えた缶ビールを購入した。


 350mL缶が800円もしたので、私はチビリ!チビリ!と良く味わいながら飲んでいた。(笑)






 今日の夕食はマジックライスの牛飯と味噌汁だった。

 缶ビールを飲む前にお湯を沸かして注ぎ、飲み終わる頃には牛飯が出来上がっていた。(15分間)

 この牛飯は 『NHKグレートトラバース』 の田中陽希さんが放送の中でこれが1番好き!と言っていたので

 購入したのだが、牛肉の様な味と香りが何となくして、マァ〜!マァ〜!美味しかったですね〜!

 しかし上品で小食の私達にとっては(笑)、少し多過ぎる位の量でした。
                し ば た し 
 私達が食べ終わる頃に新発田市在住のFさん御夫婦(アラヒフ位?)がやって来て、夕食を作り始めたが、

 その時に自家製と云うトマトとキュウリを頂いた。(美味しかった〜!、ご馳走様でした〜!)


夕食後に私は一人で小屋の周りを散策してみた。

そうすると、小屋の裏側にテントサイトがあり、その入口部分に500円/1人との看板があった。

そのテントサイトには、当日は1張りだけのテントがあった。

小屋の側面
小屋の裏にあったテント場








 テントサイトから戻る時に、写真の様な黒い実を見掛けたが、何の実だろう?(ナツハゼ?)








                  蔵王連峰
                     ↓





 私は小屋の周りを散策したあとは、小屋からは聞こえない位の離れた場所に行き、

 持って来ていたハーモニカを吹く事にした。


 この飯豊山を下りて次に登る予定にしている、暮れゆく蔵王連峰の夕景を東方向の彼方に

 見ながら、私は思い出すままに 『浜辺の歌、赤とんぼ、琵琶湖周航の歌、北の国から、

 いつか或る日、故郷の人々、ロンドンデリーの歌』 等、数曲を吹いてから小屋に戻った。

 気持ちの良いひと時であった。







小屋に戻ってヘッドランプを付けながら寝る準備や荷物の整理等をしていると、小さな虫が光に反応して私達の周りを飛び回り、凄くうるさかった。

それで私はその虫を手で追い払いながら、普段使っている通りに 『ア〜!モ〜!、この虫たちゃせからしかネ〜!』 等とオバさんに話し掛けていた。

そうすると隣で寝ていた同年代の男性が笑いながら 『せからしか〜!の言葉を久し振りに耳にしましたが、九州のどちらですか?』 と尋ねられた。

私が久留米と答えると、その方は現在は東京に住んでいるが、小学生まで熊本に住んでいた!との事であった。

あの様な状況下で自分の気持ちを言い表す場合、『せからしか〜!』 は実にピッタリな言葉である!と私は思うが、九州でしか使わない方言なのでしょうね〜。(笑)

当夜、私達は20時前にはシュラフの中に入って寝た?と思う。


このあとは7月21日の 『飯豊本山−2日目』 に続きます。

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