熊渡山 カラ迫岳


2006年4月30日  晴  中風


今回の山は私が大変気に入っている山である。 なぜ気に入っているかと言うと、山野草や山菜や野鳥が多く、その上に登山者が少ないからである。

熊渡山には今までに2回、カラ迫岳には1回登っているが、3回とも下山するまで他の登山者と出会った事は無い。

それにこの時期のこの山域は山菜が多いので、私はここ3年間連続でこの山に登りに来ている。

私は近年、この山でかなり山菜を調達しているので、本心を言えばこの山の存在は他の人にはあまり教えたく無いのである。

しかし今回は特別に、この山行記を読んだ方だけにこの山の魅力をお知らせしようと思っている。



 今日は割と朝早く出発出来たので、写真のような水場のある登山口に着いたのは9時10分だった。

 水場の前で林道がヘアピンカーブ状に分岐しており、その部分が広くなっているので、その付近に5台ぐらいは駐車出来るだろう。

 最初にこの山に登りに来た時は林道工事中で、途中でダンプカーと出合ったら離合出来ないかも知れない?と聞き

 『エノハ荘』 前の林道に駐車して、この登山口までの林道を30分ほど歩いた事があった。

 しかし、林道を歩いたお陰でタラの芽等の山菜が沢山採れた事等を思い出す。










 水場の直ぐ横からもう1つの林道が始まっているが、写真のように鎖がしてあり車は進入出来ない。

 ここが熊渡山登山口である。 この場所を歩き始めたのは9時20分だった。








その林道は下写真のように広く、林道に沿って直ぐ横を 『熊渡川』 が流れている。

林道景色1
林道景色2

林道脇には下写真のように誰も採らなくて大きくなった 『タラの芽』 や、『フキ』 や 『ゼンマイ』 が目に付いた。

去年来た時は近くに住んである主婦の方が2人で 『フキ』 を採取中だった。

大きくなったタラの芽
フキ
ゼンマイ

それら以外にも林道脇には下写真のように 『キツネノカミソリ?』 の群落や 『ムラサキケマン』 や 『マムシグサ』 等が多く目に付いた。

キツネノカミソリ?の群落
ムラサキケマン
マムシグサ







 そんな林道を写真を撮りながら30分程ゆっくり歩くと、写真のような林道終点に着いた。









林道終点以降は下写真のような山道になるが、そこにも山菜や花等が多かった。

山道風景
フキ
ミズタビラコ?

ヨモギ
キツネノカミソリ?
アズキナ?

スミレ
ネコノメソウ?の群生
ハルトラノオ

そして私の大好きな 『ウド』 もいつもの場所に出ていた。 私は山菜の中では 『ウド』 が1番好きである。 独特の風味があり、生でも天麩羅にしてもとても美味しい。







 それからもう今年はもう食べられないだろうと思っていた写真のような食べ頃の

 『タラの芽』 を何本も見付け、思わず顔がほころぶ。








『ウド』 や 『タラの芽』 の採取にかなりの時間を要したが、下写真のような標識のある 『熊渡山』〜『カラ迫岳』 の従走路に出たのは、林道終点から45分後だった。




 上掲の従走路を左へ行けば 『熊渡山』 で、右へ行けば 『カラ迫岳』 である。

 私達はまず 『熊渡山』 に登って来る事にした。

 『熊渡山』 に登った後はまたこの場所に戻って来るので、ザックはこの場所にデポする事にした。

 しかしザックを地面に置いておくと動物から荒らされるかも知れないので、

 写真のようにザックを樹に吊るし、ストックだけの空身で登って来る事にした。








 歩き始めると直ぐ写真のように境界石を赤く塗り、紅白の長いリボンがあちこちで目に付き、

 オカルト教団の祈祷等があったのでは?と、一瞬ギョ!となった。

 しかし、途中の杭に 『’06/4/24 巡検』 との記入を見付け、測量か国境石の調査の為だと分かりホッ!とする。

 6日前に調査が行われたらしい。












 『熊渡山』 への登山道は植林と雑木林が半々位の中を歩くが、かなりのアップダウンが数ヶ所ある。












 登山道の途中では写真のように、江戸時代に旧久留米藩と天領日田の領土を分ける国境石があった。

 現在この付近は八女郡星野村になっているが、当時はこんな遠い地まで久留米藩の領土だったのか〜!、

 我が先祖の力は大きかったんだナ〜!(笑)と、妙に感心したりした。

 当時はこの近くにあった金山をめぐっての利権争いが、旧久留米藩と幕府との間に有ったようである。












 『熊渡山』 近くの急坂部では写真のようにミツバツツジが満開だった。













 『カラ迫岳』 との分岐地点より20分で写真のような 『熊渡山=くまとやま=960m』 の山頂に着いた。

 山頂は20畳位?で、3等三角点があり、眺望は木々の隙間から周りの山が少し見えるだけである。

 ここでは写真を1枚撮っただけで直ぐ下りる事にした。












 この写真はザックをデポした近くの地点から見えた風景だが、

 彼方の中央に見えている尖った山が、高さや形からカラ迫岳では?と思った。








熊渡山山頂から分岐点までは約15分で戻った。

『カラ迫岳』 への従走路にも6日前に付けられた長いリボン、及び赤テープや国境石がずっとあるので、迷うような事は無いと思う。

縦走路は写真のようにかなり広いが、勾配がかなり有り疲れる。 急勾配の所は40度近く有るのではなかろうか?と思えるような所が数ヶ所あった。








 其々の小ピークには写真のような国境石や測量柱や長いリボンがあった。















 そんな急勾配の幾つか目の小ピークに、写真のような道標があった。









その後も下写真のように急勾配ばかりの登山道が続く。 この従走路にはほとんど平坦な所は無かったように思う?

従走路は写真のように植林と雑木林が半々位だった。

この日は結構風が強く、周りの木々がかなり揺れていたが、林の中に吹く風は適当に弱まっており、火照った身体に当たるその風はとても気持ちが良かった。

また雑木林が多い勢かウグイスを始めとする小鳥の鳴き声が何時も聞こえていた。 

そんな小鳥の鳴き声とは別にフクロウかミミズクかは分からないが、ホーホーと言う低い泣き声が遠くから聞こえていた。

また或る所では樹を叩くようなリズミカルな音が何回も聴こえて来たので、キツツキが樹を叩く音かな〜?と、オバさんと話しながら歩いていた。


そんな従走路には下写真のように、台風の勢と思われる大木の倒木が多かった。


『熊渡山』〜『カラ迫岳』の縦走路では、下・左写真のようにツバキの花が落ちているのが多く目に付いた。

そんなところで上を見上げるとツバキの花が満開だった。


ツバキの花以外に良く目についた花としては、下写真のような 『ミヤマシキミ』 と 『イチゴ』 が多かった。

ミヤマシキミの花
ミヤマシキミの花と実
イチゴ

上掲以外の樹木の花としては下写真のような 『シキミ』 と 『ゴヨウアケビ』 を数ヶ所で見掛けた

シキミには全体に毒が有るとの事だが、特に実は毒素が強いとの事なのでご注意下さい。 尚、『悪しき実』 が省略されて 『シキミ』 の名称になったようである。

シキミの蕾と花
ゴヨウアケビの葉と花

下写真は縦走中に見掛けた江戸時代の国境石だが、これ以外にも沢山あった。(縦走路付近の約5km間に約70本の国境石があるらしい)

それから最後の写真の 『図根○』 は、現在では 『図根点』 と書き表すと思うが、その漢字からいつ頃の物で誰がどう利用してたのかな〜?等とオバさんと話していた。



急勾配の小ピークを10ヶ所位?通り過ぎると写真のように開けた場所に出た。 縦走路中ではこの部分だけが写真のようにブッシュ化していた。

しかし、この場所からは左手に 『御前岳』 や 『釈迦岳』 の山並みを見ながら歩けた。


このブッシュ部分を登り切ったところが 『カラ迫岳=からさこだけ=1006m』 の山頂だった。

縦走中は国境石や花等の写真を撮りながらゆっくり歩いたので、分岐点から1時間40分掛かっていた。 標準より多分2〜3割多く掛かっているのではなかろうか?

『カラ迫岳』 の山頂は細長い(3m×10m位?)が、岩の上に立てば360度の展望である。

 しかしここの岩の上で風景写真を撮っていると、まっすぐ立っていられない位風が強かった。

 以前来た時には登山記念帳はお菓子箱のような物に重しの石を乗せて岩陰に隠してあったが、

 今回は登山記念帳を入れるBOXが出来ていた。 その記念帳を見ると、午前中に単独行の男性が登頂していた。

 前日(29日)は2組の団体名があり、『福岡県無名山301山』 で紹介されてからは登山者が多くなったようである。

 また山頂にはそこから見えるパノラマ図があり、それを見ると、阿蘇、九重、由布岳なども見えるそうだが、

 今日は写真のように霞んでいてそこまでは良く見えなかった。

 尚、『カラ迫岳』 の山名は公募により命名されたの事で、星野村では最高峰らしい。



南東方向で 『御前岳』 や 『釈迦岳』 の山並
西方向(星野村方面)の景色
東方向(くじゅう方面)の景色

山頂は風が強いので、お昼は山頂の少し下の風の弱い木漏れ日の下で食べる事にした。

お湯を沸かしインスタント味噌汁をすすりながら、ウグイスの鳴き声を聴きながら、写真のようなミツバツツジと新緑を見ながら、そよ風に当たりながら弁当を食べた。

弁当が実に旨かった。 山登りして良かった〜!と思う、至福のひと時だった。

山頂部のミツバツツジは写真のようにその殆んどが蕾で、開花しているのは2本位しか見当たらずで、これから登られる方は楽しみが増すのでは?と思う。


食後のコーヒーを飲んでいると、アブがミツバツツジに飛んで来て蜜を吸い始めたので写真に撮った。

蝶の写真は縦走中に他の場所で撮ったものだが、近づいても逃げずにゆっくり撮影に応じてくれた。

とても撮影慣れしていたので、もしかしたら蝶界の女優かファッションモデルかも知れない?(笑)


今日は下山後に寄りたい所があるので、山頂では35分程の昼食休憩しただけで下山する事にした。

復路も往路と同じ道を歩いたが、同じ道なのに目線が違うのか?、往路では見えなかったものが復路では新しく見えたりしたので、それらを写真に撮りながら歩いた。

アマドコロの新芽(食べられるそうである)
左の新芽が少し成長したもの

ナルコユリの新芽
左の新芽が少し成長したもの
もっと成長したもの

下写真はいずれもスミレだと思うが、これも縦走中に見掛けたものである。(名前は知らない)

スミレ1
スミレ2

スミレ3
スミレ4

復路も急勾配のアップダウンが続く縦走路を写真を撮りながらゆっくり歩いたので、下写真のような分岐点までは1時間25分掛かっていた。(往路時は1時間40分)


その後の下山時も登山道脇を注意しながら歩いていると、登山時には見えなかった花やウドやタラの芽等を新しく見つけ、それらを写したり採取しながら歩いた。

下写真の花は今回の山行中に見掛けた花達だが、この山でも悲しい事に方々で盗掘の跡を見掛けたので、

盗掘防止の為にそれらの場所を特定せずにまとめて掲載する事にした。 こんな穏やかな山でも盗掘が行われている事を私は大変残念に思う。

それから山菜の採取に付いても、山菜採りのマナーを良く守り、節度ある採取をお願いしたいと思っている。

イチリンソウ
ニリンソウ

ギンリョウソウ
ジロボウエンゴサク

キランソウ
ラショウモンカズラ
フデリンドウ?

?1
ミヤマハコベ?

ウンゼンカンアオイ?の葉と花
ヘビイチゴ

ミズタネツケバナ?
ミズタビラコ?

下の花は私は初めて見たので、帰宅して手持ちの図鑑などで調べてみたところ、『ハシリドコロ』 の名称で毒草だった。

しかし深山に稀との説明があり、その説明書きを読んだ時は、そんな珍しい花を写真に撮っていたのか〜!と、私は何だか嬉しくなった。


今日も新緑や可憐な花達に沢山出合え、また素晴らしい景色を見る事ができ、目の保養が出来たと思う。

そして小鳥達の可愛い鳴き声や気持ちの良い沢水のせせらぎの音も何度も聞く事ができ、耳の保養にもなったと思う。(笑)

それから先日テレビで言っていたが、森林浴をすると大変リラックスして、ストレスの解消や血圧降下や抗がん作用物質の増加などの効果があるそうである。

私は森の中を歩く時は綺麗な空気やフィトンチッドが全身の細胞に行き渡るように何度も深呼吸をする。

そうすると全身の細胞が生き生きとして若返るような気がしてならない。 多分今日だけで私は心身ともに5歳は若返ったように思う。(笑)

そのような事が山登りをすると、『皆タダ!』 で出来るのである。 そして今日はその 『タダ!』 の上に私の大好きな山菜のお土産まで付いて来たのである。

私は何だか気分が爽快になって、下写真のような林道をルンルン気分♪で歩いていた。

私は気分が良い時に緩やかな山道等を歩いていると、自分でも知らない内に歌を唄ったり、メロディをハミングしたりしている。

その歌やメロディはその時によって色々違うが、今日は自分でも知らない内にハミングしていたメロディは 『スミレの花咲く頃』 と 『夢見る人』 だった。

 私はパソコンで自分のHPを更新したり、ネットフレンドのHPを訪れたり、ネット検索等をする時等は

 CDやFM放送で音楽を聴いている事が多い。 そんな時間は現在の私のお気に入りの時間でもある。

 そんな風にして聴くとは無しに聴いている曲が、どうもこのように気分の良い時に出て来るようである。

 だから自然に出て来る曲もタンゴ、ワルツ、シャンソン、カンツォーネ、ジャズ、ロシア民謡、映画主題曲、

 童謡、歌謡曲、フォークソング等と本当に多彩である。

 しかし自分でハミングしながら何の曲名か思い出せない時もあるので、

 この曲名は何だっけ?と、私は時々オバさんに聞いたりしている。



水場のある熊渡山登山口に帰り着いた時は4時を少し過ぎていた。 今日も下山するまでとうとう1人の登山者にも出会う事は無かった。



今日の山行をまとめると

         熊渡山登山口〜30分〜林道終点〜45分〜従走路分岐点〜20分〜熊渡山山頂〜15分〜従走路分岐点〜55分〜カラ迫岳・熊渡山標識

                  〜45分〜カラ迫岳山頂〜40分〜カラ迫岳・熊渡山標識〜50分〜従走路分岐点〜25分〜林道終点〜50分〜熊渡山登山口

         合計所要時間は6時間15分(昼食休憩は含まず)で、万歩計は21802だった。



今回の所要時間は山菜を採ったり、かなりの枚数の花の写真を撮ったりしたので、区間によっては通常の倍近い所要時間が掛かっているかも知れない。





 下 山 後



今日の下山後の予定は 『カラ迫岳』 の山頂からも西方向に見えていたが、帰路の道路から少し入った所にある 『石割岳』 に行ってみようと思っていた。

『石割岳』 は九州北部では山桜の名所として有名である。 それで、もしかしたらまだ咲いているかも知れない?と思っていたので、寄る予定にしていたのである。

 左写真は 『石割岳』 に向かう途中で見掛けた野鳥の夫婦?だが、道路をゆっくり横断していたので

 車を停めて撮影したものである。 鳩ぐらいの大きさだったが名前は分からない。

 それからこの鳥と出合う前に、熊渡山登山口から熊渡川沿いの林道を走行中に、

 直ぐ下の川原から大きな鳥が飛び立ったのを見ていた。

 その飛んだ姿を下から見上げると、羽を広げた大きさは1m以上あり、色は白と黒の2色で首が長かった。

 その鳥の大きさや色や首の長さから、私は鶴の越冬地で有名な出水市で見た鶴ではないか?と思っているが、

 直ぐどこかに飛んで行き、写真に撮るチャンスが無かったので大変残念に思っている。






 石割岳の登山口に行ってみたが全部葉桜だったので、次に石割岳の展望所に行ってみた。

 ここでは辛うじて1本の樹に山桜の花が残っていた。

 その代わりにツツジとシャクナゲが満開だった。

 左写真はそれらの花をまとめて写したものである。






石割岳を後にしたが、まだ時間に余裕があったので今度は黒木町にある 『黒木の大藤』 を見に行く事にした。

私は黒木町付近には良く山登りに行くので、その時にその場所で休憩したりする。 しかし藤の花が満開の時に訪れたのは何十年振りだろうか?

私が小学生の頃に家族で見物に来たような記憶があるが、それ以来ではなかろうか?

そこに到着すると黒木町主催の 『大藤祭り』 が行われていて、今日がその祭りの最終日らしく大変な人で賑わっていた。

駐車場からの通り道にはテント村や屋台も出来ていて、そこも沢山の人達で賑わっていた。

『黒木の大藤』 に付いては下の写真を見て頂ければ、その説明は不要と思うので省略する。

『大藤祭り』 は4月30日で終わるらしいが、藤の花自体はまだしばらくの間は見ごろではないだろうか?と思う。

尚、この黒木町は女優の 『黒木瞳さん』 の出身地で、黒木瞳さんの写真展も開催されていたが、開館時間が4時までの為に見れずに残念だった。

係りの人と少し話したが、黒木瞳さんは高校生の頃までこの付近を自転車で良く走ってありましたよ!と言ってあった。



下の写真は帰宅して入浴後に酒のツマミとして食べた、今日採ったばかりのウドの生と天麩羅である。

尚、ウドの料理法はこれ以外にも色々あるようですので、それについては本HPの 『山の果実 木の実 山菜』 のレシピを参考にして下さい。


それにしても、上の写真のウドの生も天麩羅もこの世の物とは思えないほど美味しくて、当夜は普段よりグ〜ン!と酒が行けた事は言うまでも無いだろう!(笑)

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