雷山(955m) 〜 井原山(983m)


2005年10月2日  曇り一時雨  微風


今日は脊振山脈の中にある 『雷山=らいざん』 に登り、そこから 『井原山=いはらやま』 に縦走する事にした。

自宅を出発したのが9時40分。 ちょうど50kmの走行距離で、今日の登り口である古場岳に着いたのは11時5分だった。

この古場岳にはキャンプ場があって別荘地にもなっている。 メイン通り(羽金・雷山林道)にはレストラン(古場岳山荘)もある。

この古場岳には登山者の為の駐車場は特別に設けて無いが、メイン通りに広くなった所が数ヶ所あり、登山者は皆そこに駐車して登っている。

今日もその道路脇には既に10台近くの車が駐車していた。 その様な道路脇には合計20〜30台の駐車が出来る様である。(他に私が知らない駐車場があるかも?)



この 『雷山』 から 『井原山』 への縦走は私達のお気に入りの一つである。

両山の稜線は福岡県と佐賀県の県境になっており、両県側からそれぞれの山に対して幾つかの登山ルートがある様である。

尚、『井原山』 は脊振山脈中では 『脊振山』 に次いで第2位の標高(福岡県下では9位、佐賀県下では5位)で、

     『雷山』 は脊振山脈中では第4位の標高(福岡県下では16位、佐賀県下では7位)である。



両山とも人口の多い福岡市から近い勢か、山頂はいつも登山者が多い。

私達がこの山がお気に入りなのは、自宅から割と近い、適度な登山時間と運動量、両山頂とも眺めが良い、自然林や草花が多く、

登山道や縦走路も良く整備されている、等の理由である。

そして私達が特にこの古場岳からの登山口が気に入っているのは、この古場岳の地が扇を開いた時の要(かなめ)の位置に当るからである。

古場岳には両山への登山口がある。 その両山への登山口はメイン通りの両端に有り、700〜800メートル位?離れているが、扇の要の位置からその時の気分で

好きな方の山に登り、その山頂から扇の先端の一番広い部分に当る所をもう一方の山頂まで縦走し、その山頂から扇の要の位置に戻れる様になっている。



私達は今までに古場岳からどちら回りのコースも歩いた事がある。

今回は 『雷山』 から 『井原山』 へ周回する予定で、 『井原山』 登山口に近いメイン通りの広くなった路肩に駐車した。

急いで身支度をし、車から歩き始めたのは11時10分だった。

メイン通りは舗装されているがその両脇は山林が多く、その所々に別荘等が点在している。

最近は利用されていないと一目で分かる家も多いが、新築されたばかりの真新しい家もある。





 そんなメイン通りを左右の山林の縁に注意しながら歩いていると、写真の様に 『ムカゴ』 が沢山生っているのを

 見つけた。 早速折り畳み傘を広げて逆さにし、ツルを揺すって 『ムカゴ』 を落とす。

 そんな所がメイン通りに数ヶ所あった。 他には 『アケビ』 もあった。













 又、ある家の前には、写真の様にグロテスクな 『コブシ』 の実もあった。














 そして、ある山林の縁では写真の様に 『野ぶどう』 が沢山生っているのも見つけた。

 しかし、野ぶどう酒は以前に造ったものがまだ沢山残っているので、採る事はしなかった。











 写真はメイン通りから 『雷山』 への登山口がある布巻林道への入り口であるが、

 ここの広くなった道路脇には大きなマイクロバスが1台駐車していた。

 私達が駐車した所からこの林道入り口までは500〜600メートル位?の距離しかないと思うが、

 前記した様に途中の数ヶ所で 『ムカゴ』 や 『アケビ』 を採ったり、写真を撮ったりして既に30分ほど経過していた。












 布巻林道を10分ほど歩くと左手に写真の様な標識があり、登山道はそこから山道に入る。















 上の写真から直ぐ左の様な丸太橋を渡るが、この丸太橋はかなり老化していた。









そんな山道を5分も歩かぬ内に、登山道脇で下の写真の様な 『アケボノソウ』 を見つけた。

アケボノソウの全体像
アケボノソウのアップ

更に歩いた所には、次の様な実や花があった。

ハダカホウズキ
シロヨメナ(ヤマシロギク)






 登山道は途中から写真の様な植林の中に入るが、間伐や枝打ち等の手入れがされておらず

 昼間と言うのに写真の様に薄暗く、山賊が出そうな気がして薄気味悪い。










 上写真の様な薄暗い登山道を25分ほど歩くと、写真の様な小さな沢に出た。

 今朝の天気予報では昼から30%の降水確率だったが、湿度が高くその上に風がまったく無いので蒸し暑く、

 ここまで歩いて来るのに私はかなり汗を掻いていた。

 汗をタップリ含んだタオルをすすぎ、冷たい沢水で顔等を洗うととても気持ちが良く、

 生き返った様な感じで、また元気が出て来た。










 そんな薄暗い植林の中にある小さな沢の直ぐ横には、写真の様な花が一つだけ咲いていた。

 『ヌマトラノオ』 の様な気がするが、自信は無い。








そんな小さな沢を少し過ぎた辺りから小雨が降って来た。 

しばらくは 『火照った身体を冷やすのにちょうどいいや!』 と思ってそのまま歩いていたが、段々雨足が強くなって来たので傘を差して歩き始めた。

しかし雨足は徐々に強くなり、登山道にも水が流れて来る様な状態になってきて、ズボンの裾が少し濡れてきた。

それでしばらく様子を見てみようと思い、葉が沢山茂っている大きな木の下で雨宿りしていたら、雨具を着た数組の人達(7〜8人)が次々に降りて来た。

私達も下山しようかな?と一瞬思ったが、ここまで来て1山も登らずに帰るのもシャクなので、せめて 『雷山』 だけにでも登り、そこで状況判断しようと言う事になった。



それで雨着を着る事にしたが、しかし上下とも雨着を着るとゴアテックスとは言え暑苦しいので雨着は上だけにし、下はスパッツを着ける事にした。

そしてザックにもザックカバーをして再度登り始めた。 しかしその後、雨は段々小降りになり、しばらくすると止んでしまった。

そんな登りの途中で降りて来る人と少し話したところ、昼食中に雨が降って来たので弁当を身体で覆って食事していたが、

雨が酷くなって弁当がお茶漬け状態になったので、諦めてビニール袋に捨てました〜!と苦笑してあった。



『雷山』〜『井原山』 の縦走路に出る少し前で3人パーティに出会ったのを最後に、後は 『雷山山頂』 まで1人の登山者にも出会う事は無かった。

『雷山頂上』 に着いたのは12時50分で、下の写真はその時の様子である。 

平時であればこの時刻は多くの登山者が昼食を食べている筈だが、山頂広場では大きな岩の上でカラスが1羽鳴いているだけだった。

天気が良ければ福岡市街地や福岡ドーム、福岡タワー、玄界灘等が見えるが、今日の山頂一帯は写真の様に雲に覆われ何も見えない。



この 『雷山山頂』 で、喉を潤したり汗を拭いたりしながらオバさんと 『登山隊サミット会議』 を開いた。

会議の結論は、久し振りに雨具も着けた事だし、途中でまた雨が降り出すのを覚悟で 『井原山まで縦走し、井原山山頂で 昼食にしょう!』 と、直ぐ意見の一致をみた。

『雷山頂上』 には5分程いただけで、直ぐ 『井原山』 に歩き始めた。

雷山山頂に着いた時の様子
雷山山頂の様子


縦走路を少し歩いた所には、次の様な花が咲いていた。

アキノキリンソウ
ヒヨドリバナ


そこから更に歩くと、次の様な花が咲いていた。

シシウドの花は手ボタン花火の様な感じで美しい
オミナエシ


『雷山』〜『井原山』 の縦走路には途中数ヶ所のピークがあり、多少のアップダウンは有るが良く整備されていて危険な所は無い。




 途中で雨着を着ている為に暑くなったが、濡れた雨着をザックに仕舞うのは面倒臭く、又いつ雨が降るか

 分からない様な空模様だったので、雨具を着たままジッパーを外して前を開け、腕まくりして歩く。

 写真はそんな時の縦走路の様子であるが、尾根部分の縦走路には絶えず雲が流れていて周りの景色等は

 まったく見えない。 しかし、その雲はヒンヤリして火照った身体には気持ちが良かった。






そんな『井原山』までの縦走路には、次の様な花の群生地が其々数ヶ所ずつあった。

ヨメナ(ノギク)の群生
ヨメナのアップ


ミズヒキの群生
ミズヒキのアップ


ガンクビソウの群生
ガンクビソウのアップ


タデの群生
タデのアップ








 写真は縦走路の途中、少し開けた所で写した 『井原山』 方向である。















 この花は 『シラヤマギク』 の様な気がするが、自信は無い。















 この花の群生地は無かったが、縦走路で良く見掛けた 『サイヨウシャジン』 である。











 それから雨が降った勢か、縦走路を歩いていると小さな雨ガエルや大きなガマガエルを多く見掛けた。

 雨ガエルを写真に撮ろうと思いカメラを構えるが、ピョーン・ピョーンと大きく跳ねて逃げ、

 とうとう1枚の写真も撮る事は出来なかった。

 しかし手の平位の大きさのガマガエルはドテ・ドテと少しの距離を跳ねては途中で休憩するので、

 その休憩時に撮ったのが左写真である。





そんな縦走路の脇には、次の様な木の実も沢山熟れていた。

一番多く目に付いたのは 『ヤマボウシ』 だった。 途中で良く熟れた大きな 『ヤマボウシ』 を見掛けると1個ずつ採り、食べながら歩いた。 結構甘い。

尚、『ヤマボウシ』 でも果実酒を造る事が出来るが、私はこの果実酒は数年前に造った物がまだ沢山残っているので採取する事はしなかった。

 

良く見掛けたヤマボウシ
ツゲの実

ナツハゼの実
グミの実

縦走路は雨で濡れて滑りそうな坂も多く、また花や木の実の写真を撮りながらゆっくり歩いたので、後で所要時間を見ると通常の2倍近い時間が掛かっていた。

下の写真は 『井原山』 の山頂写真だが、ここに着くまでに縦走路の中間地点付近で井原山から下山する3組(6人)の人達と擦れ違った。

しかしその後は下山するまで誰にも会わなかった。

『井原山』 の山頂に着いたのが3時15分で、写真の様に誰もいない頂上の岩に腰掛けて麦茶を飲みながら遅い昼食を食べた。

しかし、いつ雨が降り出すかも知れない様な空模様なので、今日は食後のコーヒーも飲まずに直ぐ下山に取り掛かった。

井原山山頂の様子
この岩に腰掛けて昼食を食べた








 写真の様な標識のある所から、『ミヤコザサ』 の生い茂る登山道を古場岳へ下りる。









この下山中の登山道にも 『ヤマボウシ』 が大変多かった。

そんな登山道を歩いていると登山道から少し離れた所で次の写真の様に、生い茂ったツルに 『サルナシ』 が沢山生っているのを見つけた。

『サルナシ』 は以前から私が探している実である。 高良山を始め他の場所の 『サルナシ』 は、今年はまだ確認していない。

しかし、こんなに沢山生っている 『サルナシ』 を見たのは初めてだった。 早速、オバさんと手の届く低い所に生っている 『サルナシ』 を採り始めた。

採りながら良く熟れて柔らかい果実を数個食べる。 これも甘酸っぱくて結構美味しい。

手の届かない高い所にもまだ沢山あったが、闇雲に沢山採っても使い道が無いので、目分量で1kg強採ったところで止めることにした。

今日はこの 『サルナシ』 が採れただけでも大収穫だった。

沢山生っていたサルナシの実
サルナシの実のアップ

私は思いもしていなかった 『サルナシ』 が沢山採れたので 『♪ルンルン気分♪』 で歩いていたが、その後の下山中には更に下写真の様な 『アケビ』 と 『ムカゴ』 まで

幾つも見つける事が出来、私は 『雷山』 と 『井原山』 は益々好きな山になった。

アケビ
ムカゴ

また下山途中の林道付近では次の写真の様な 『ナンバンギセル』 も見つける事が出来た。

撮影時には気が付かなかったのだが、こうして後から 『ナンバンギセル』 を正面から写した写真を見てみると、

花の中に 『ノドチンコの様な物』 と、その根元の両側に 『金○の様な物』 が有るのに気付き、それを見ながら私は独りで声を上げて笑ってしまった。

ナンバンギセルの横顔
ナンバンギセルの花の中

舗装林道の所まで下りた所で、今度は次の写真の様に良く熟れた 『ミツバアケビ』 が目に付いたが、

直ぐその近くで写真の様な注意書きも見つけ、書いた人の優しさが伝わって来たので、私はそこの 『ミツバアケビ』 は採らなかった。

良く熟れていたミツバアケビ
近くにぶら下がっていた注意書き








 この花はメイン通りに下りる舗装林道脇で見た小さな木に咲いていた花であるが、花名は分からなかった。















 メイン通りまで下りてきたが、この写真がメイン通りから 『井原山』 に登る時の入り口である。















 上の写真の林道やメイン通りの両脇には花の盛りは少し過ぎていたが、『ツリフネソウ』 の群生地が多かった。















 又、メイン通りには写真の様な 『ミゾソバ』 の花も沢山咲いていた。









他には次の写真の様な 『アケボノソウ』 もかなり目に付いた。 この花は写真の様に蕾の方がまだ多かったので今から咲き誇るのだろう。

蕾の多いアケボノソウ
アケボノソウのアップ

そんなメイン道路でも、花を見つけたり写真に撮ったりしながらゆっくり歩き、メイン通りの広い路肩部に駐車していた車に辿り着いた時は4時50分になっていた。


今日の山歩きをまとめてみると、登りが 車〜(30分)〜雷山林道入り口〜(10分)〜登山道入り口〜(25分)〜沢〜(35分)〜雷山頂上 で合計1時間40分、

                     縦走時間が 雷山頂上〜(2時間15分)〜井原山頂上 で、

                    下山時は 井原山頂上〜(1時間10分)〜車 で、万歩計は18656だった。


尚、この所要時間には途中で写真を撮ったり果実等を採取している時間も含むので、それぞれ通常の2倍位の時間が掛かっていると思う。

と、言う事で結局今日の山行で雨に降られたのは 『雷山』 へ登る途中の短時間だけだった。 

しかし、その短時間の雨のお陰で私達は静かな山歩きを楽しむ事が出来た。 それで、雨には思いもよらない良い一面がある事が分かった。

それから今回紹介した様に山は今、色とりどりの秋の花々や 『山の幸』、『山の恵み』 で溢れています。 皆様もそんな秋山をどうぞ十分に楽しまれて下さい。










 この写真は自宅に帰り、風呂から上がってビールのつまみにして食べた、

 今日採ったばかりのムカゴの一部です。 今年は初物で、とても美味しかったですよ〜♪








 この写真は今年採った 『ギンナン』 です。 『ギンナン』 は二人とも好きで、酒のつまみ・茶碗蒸し・鍋物等に入れて食べています。

 尚、私流の 『ギンナン』 の造り方を紹介しますと、まず拾ってきた実を蓋の付いたバケツに入れ、水を入れて密閉し外に置きます。

 密閉して外に置かないと酷い悪臭がしますので堪りません。 1週間位そのままにしておくと外の果肉部が柔らかくなります。

 そうしたら長いゴム手袋をして果肉部を握りつぶすと、簡単に中の種を取り出せます。

 そして種だけを集めてもみ洗いしながら果肉部を綺麗に取り去り、天日で乾燥させたら完成です。

 尚、『ギンナン』 を密閉容器に入れて保存するとカビが生える事がありますので、私はミカン等が入っているネットに入れて風通しの

 良い日陰にぶら提げています。 残った果肉部は水分を良く絞り出してから、ビニール袋で2〜3重に包み生ゴミに出しています。

 それからこの作業をした後は身体や衣服にギンナンの臭いが滲み込みますので、風呂に入って着替える事をお薦めします。



次の写真は井原山で採った 『サルナシ』 です。 翌日、良く水洗いして大粒で綺麗な実だけを1kg選択し、写真の様にホワイトリカーに漬けました。

              

次の写真も井原山等で採った 『アケビ』 です。 これも翌日、写真の様に果実酒にしました。


尚、上記2種類の果実酒の造り方等は、本HPの 『山の果実酒』 コーナーを参考にされて下さい。

それから、これら2種類の果実酒の仕込み期間は3ヶ月です。今度の正月には飲み頃を迎えますので、皆様どうぞその頃に 『ごましお山荘』 に遊びにお出で下さい。

他にも色々な果実酒や山海の珍味を取り揃えてお待ちしておりますので、一緒に飲み明かそうではありませんか! 貴方のお越しをお待ちしていま〜す♪

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