緩木山(1045m) 越敷岳(1061m)


2005年 6月5日  快晴  微風


今日は祖母山系の中にある、緩木山(ゆるぎさん)と越敷岳(こしきだけ)に登りに行く事にした。

この山は 『新版 九州百名山』 で新しく選定された山である。

自宅を出発出来たのが7時20分で、下写真の登山口に到着したのが10時25分、走行距離は139Kmを表示していた。




 この登山口からは写真の案内図の様に緩木山、祖母山、越敷岳を自分の体力、持ち時間、好み等に応じて

 縦走コースを選択して歩ける様になっている。

 今回、私達は 『緩木山』 〜『越敷岳』 への周回コースを歩く事にした。

 身支度をして案内図の前を出発したのが10時35分だった。










 林道を1〜2分も歩くとT字路が現れ、写真の様な標識があった。

 そのT字路部分の広くなった場所には3〜4台の駐車が可能である。

 そのT字路を右に曲がると 『越敷岳』 に行けるが、私達は直進して 『緩木山』 から先に登る事にする。








 そこから林道を5分位歩いた所で写真の様に、噴水みたいに勢いよく水が噴出している所があった

 『何だ〜?』 と思って見ると、山水を下の方まで引いている黒いゴムホースに小さな穴が開いていて、

 そこから水が勢い良く噴出していた。 凄い水圧である。

 その噴水の下を通る時にホースの噴出口をほんの少しの時間だけ覘いたら、顔がすっかり濡れてしまい、

 『水も滴るイイ男』 に成ってしまった。

 『この歳になって今更これ以上イイ男になっても仕方が無いな〜!』 等と思い、苦笑しながら歩き始める。





 そんな林道の両サイドには写真の様な木イチゴ(ナガバモミジイチゴ)が沢山生っていた。

 幾つか採り、口にほお張りながら歩く。

 甘酸っぱい懐かしい味がして、初恋の人を思い出す。(今頃どうしてるかな〜?)

 尚、この山行記をお読みの方にだけ特別にコッソリお教えするが、この木イチゴの実で作る果実酒は絶品で

 色は果実酒には珍しく、綺麗な黄色で透明に仕上がり、風味・香りとも大変良いので、

 機会があれば作ってみて下さい。 尚、作り方等は本HPの 『山の果実酒』 を参考にされて下さい。









 歩き始めて15分足らずの所に写真の様な標識があり、そこから左折して急坂を登り始める。

 急坂を登り切った所に砂防ダムがあり、その横から山道に入った。













 登山道は杉林の中を歩く事が多いが、写真の様に至る所で間伐された杉が放置されていた。

 登山道は結構急坂の部分が多く、小さな枯れ沢を幾つも横切った。













 そんな登山道の両脇には写真の様なコガクウツギが沢山咲いていて、

 写真に撮ったり水分を補給したりして、小休憩をする。













 登り始めて1時間15分で 『緩木山』 の山頂に着いた。

 山頂部は写真の様に結構広い裸地で、3等三角点があった。












 『緩木山』の山頂部は周りを樹木に囲まれており、景色は写真の様に東方向の枝の隙間から

 倉木山、障子岩、大障子岩等の尾根が部分的に見える程度で、展望は殆んど無い。

 『緩木山』 の山頂部では10分近く休憩し、『越敷岳』へと向かう。













 『越敷岳』に向かう縦走路は写真の様に、左側に祖母山系の稜線を見ながら平行して進む。









 『緩木山』の山頂から10分程?歩いた所の少し開けた所で後ろを振り返ったら、

 写真の様な 『緩木山』 の山頂が見えていた。 何気なしに前の木を見たら、本山椒だったので

 若葉部分を数本採り、オバさんにも分けてやる。 そして何本かを胸ポケットに入れる。

 そうすると本山椒の良い香りがしばらくの間は鼻に匂って来て、少し爽やかな気分になれるのである。

 私はムグラ等の良い香りの植物等を見掛けた時も、そんな風に胸ポケットに入れて歩く事が多い。

 この辺には排気ガス等も無いので綺麗と思い、本山椒の若葉をムシャムシャと食べながら歩く。

 しばらくすると胃の辺りが少し熱くなってきたので、『山椒が胃内の毒をヤッツケてくれているのかなー?』 等と、

 良い方に解釈しながら歩いていた。






 縦走路は多少のアップダウンは有るものの、左側に祖母山系の稜線を樹間に見ながら

 写真の様に快適な所を歩いて行く。














 縦走路の開けた所からは、彼方に大障子岩等の稜線も見えていた。













 そんな縦走路の途中には写真の様に大きな羽が落ちていた。

 長さは手の指を広げて2回分あったので40cm位。

 羽の色や長さから推察して、日本国鳥のキジかな〜?と思った。











 又、そんな縦走路の脇には写真の様な境界石があった。

 刻まれている字体を見ながら、いつ頃の物だろうか?、 

 その時代の村の名前は何と言っていたのだろうか?等と往時に思いを馳せる。











 『緩木山』 の頂上から約1時間で、写真の様に開けた所に突き当たった。

 『越敷岳』〜『祖母山』 の縦走路である。

 ここで左折すると 『祖母山』 へ縦走できる。 機会があれば私達もその縦走路も歩いてみたいと思った。







           阿蘇山 越敷岳
             ↓    ↓





 写真はその開けた所から写した北西方向の景色であるが、彼方に薄く見えているのが『阿蘇山』で、

 その右手前に見えている山が目指す 『越敷岳』 である。










 上写真の分岐から20分近く近く歩いた所に、写真の様な4等三角点があった。

 しかし、この場所が 『越敷岳』 の山頂ではない。 尚、本等によると 『越敷岳山頂』 には三角点は無いらしい。

 この辺の縦走路は樹林帯の中ではなく、草地や潅木ばかりなので木陰が無い。

 今日の天気は写真の様に快晴で日差しも結構強く、又この時期は紫外線が強い事等を思い出し、

 色白で餅肌がウリの私は日焼け等が心配になり、UVカットの日傘を差して歩く。(日傘だけウソ!)






 そんな所の少し先からは登山道はグングン下って行く。 下ると又登り返さなくてはいけないので、

 『もうこれ以上下らないでも良いのに〜!』 等と思う。 少し疲れていたのかも知れない?

 しかし、もうここが鞍部だろうと思っていると、その少し先ではまた下る!の連続であった。

 そんな所の登山道には、エゴノキの小さな白い花びらが沢山落ちていた。

 又、そんな坂道では写真の様に、ヤマツツジの赤とヤマボウシの白のコントラストの鮮やかさが目に付き、

 立ち止まって写真に撮ったり喉を潤したりして小休憩を取る。






 上の4等三角点から10分程で写真の様な分岐点に辿り着いた。 そこが最低鞍部だった。

 私達は登山口から 『緩木山』 → 『越敷岳』 の順に周回したが、それを逆に登るとまずこの稜線に突き当たる。

 標識を見るとテッペンまで20分とあり、ホッ!とする。

 しかし、『ホッ!とする気持ちが早過ぎた!』 のが分かるのは、そのあと直ぐだった。

 それから10分位は急登の連続で、緩んだ気持ちでの急登は心身に堪えた。












 上の標識から15分位で写真の様な大きな岩場の下に出た。 高さは20m位だろうか?

 直径50m位?の大きな岩場の上が山頂らしく、左右どちらからも登れるとの標識があった。

 私達は反時計回りで登る事にした。















 この山は昔は修行の山だったようで、写真の様な行者堂跡があったが、とても小さな洞窟だった。











 行者堂跡の直ぐ近くには修行僧が飲んだと思われる御神水があり、飲むと知恵が授かると書いてあるので

 飲んでみようかな〜!と思って中を見に行った。

 洞窟の中には小さな水溜りがあり、上から水滴がしたたり落ちてるのか?、

 下から染み出しているのか?は分からないが、その小さな水溜りには枯れ木や枯葉等が浮いていたので

 私にはとても飲む勇気は出なかった。(それに、今更頭が良くなっても仕方がないしネ!)





 山頂部はそんなに広くなく、写真の様に岩部分の上には小さな石の社があったが、三角点は無かった。 

 そしてその山頂部は、写真の様に周りは樹木で囲まれていた。 それらの樹木は今のところは

 そんなに背丈が高くなく枝も張り出していないので、なんとか周りの景色が見渡せるが、もう暫らくすれば

 それらの樹木が生長して、見晴らしが利かなくなるかも知れないな〜?等と思う。

 このまま放置して置けば、近い内に 『緩木山』 の山頂展望と同じになるだろう。 折角の展望が惜しい!

 しかし夏場等には日陰も欲しいので、展望を妨げずに木陰を作る(ある程度背丈があって、上部だけに枝葉を付け根を深く張って

 台風などの強風にも強い)その様な条件を満たす樹木はないのだろうか?、関係者には知恵を絞り出して欲しいところである!









 写真は上写真の社の前から真正面(南東方向)に見える、『祖母山』 である。















 上写真の左側(東方向)の景色で、彼方の山影は大障子岩、障子岩辺りの稜線である。











 写真は社の裏側から写した阿蘇山で、中岳の噴煙も見えていた。 手前の山は根子岳である。

 北の方向に見えていたくじゅう連山も写したのだが、後から間違ってメモリから消してしまった(ドジな私・・・切腹!)

 くじゅう連山を見ながら今日は山開きである事を思い出し、

 今、あの山の中には凄い人数の人達が居るんだろうな〜!等と、オバさんと話しながら見ていた。

 翌日の新聞報道によると、『山開きは3万人の登山者で賑わった!』 とあり、ビックリ!だった。






 誰もいない山頂の木陰に傘布シートを敷き、湯を沸かしてインスタント味噌汁をすすりながら、

 ゆっくりと昼食を食べる。 時間は2時を少し過ぎていた。

 食後のコーヒーを飲みながら山頂部を探索していたら、少し下りた所にも小さな石の社があり、

 そこからは南方向の見晴らしが良かった。

 写真はそこから写した、祖母山や傾山方向の景色である。

 誰もいない山頂で1時間ほどゆっくりして景色等も堪能したので、下山する事にした。








 山頂からの下りは、登って来たのとは反対側に下りる事にした。

 その途中には写真の様に結構広い岩の隙間があり、山賊の住み家?等と名前が付いていたが、

 昔は修行僧の人達がここで寝泊りしていたのかも知れないな〜?等と思ったりした。












 岩場を下りた所では写真の様に、花を咲かせる事もなく蕾のまま枯れかかっているヤマツツジが目に付き、

 何とは無しに 『○○○○○』 の言葉なんぞが頭に浮かび、可憐に思う。













 テッペンまで20分の標識のあった所から 『越敷岳』 への登山口に下り始める。

 10分程?下りた所に、写真の様な標識があったので見に行った。











 『挟み岩』とは大きな岩の隙間を通れれば 『善』 で、通れなければ 『悪』 の様であるが?

 これでは不公平だと思った。

 私達夫婦の様にスマートな者は難なく通る事が出来るが、太った人は全員悪人になってしまう!

 それでは可愛そうである!!(本当は悪人が通ると、両岩で挟むそうである)










 そこから少し下りた所には、また修行跡があった。

 その奥の方には滝があるとの案内板があり、水の落ちる音が聞こえていたので、

 写真に撮ろうと思って進んだが、足場が悪くて近付けなかった。













 そんな所にはヤブレガサが多かったが、花が咲いた後であった。(花を見た事がないので残念!)













 少し下りた所に又、写真の様な説明板があったが、説得にはちょっと無理があるなー!と思ったりした。

 尚、読者の皆様〜、写真の左手の方向をご覧下さいませ〜!

 左角に見えますのが〜私の綺麗な指の一部で御座いま〜す。(良くやってしまうんですよね〜!、ポリポリ!)











 『越敷岳』 の頂上から下り始めて40分で、写真の様な林道終点に出た。

 『越敷岳』 に単独で登る時や、『祖母山』 に縦走する場合は、この場所まで車で来れる様である。

 私達は林道ではなく、杉林の中を通る登山道を歩く。







 登山道をしばらく歩くと先程の林道に出る。 そこからは林道歩きになるが、そんな脇には写真の様な

 綺麗なドクダミがあった。 私達はドクダミ茶を作ろうと思い、少し採取した。

 上の林道終点から25分で車に辿り着いた。 時間は3時55分だった。

 今日の登山をまとめてみよう。

 『登山口』 〜1時間15分〜 『緩木山山頂』 〜1時間〜 『祖母山・越敷岳分岐』 

 〜1時間〜『越敷岳山頂』〜1時間5分〜『登山口』 で、万歩計は19526だった。

 全登山時間は5時間20分でその間誰にも会わず、私達夫婦だけの貸切りの山だった。 大変満足していた。



 登山口から少し下りた道路脇に、『緩木鎮守の名水』 との案内板がある写真の様な水汲み場があった。

 私達は山行の時にはいつも水を入れる空容器を数本、車の中に入れている。

 大概の山の麓には、水汲み場がある。

 私達は山行の帰りに水汲み場を見掛けた時には、その空容器に水を汲んで帰る。

 そして、その水で毎朝コーヒーを点てるし、ウイスキーや焼酎も割る。 味噌汁や麦茶や料理にも使う。

 水道水と違ってカルキ臭く無く、とても美味しく感じる。 身体にも良いのではないかと思っている。

 その他にはトイレや風呂等にも使うので、自宅の水道代は毎月1円も要らない。(まさかネ〜!)







 水汲み場から少し走った橋の上から、今日登った山が右横に綺麗に見えていた。

 奥に高く見えているのが 『祖母山』 で、その前の小高い山が 『緩木山』 、

 その稜線の右の方にある尖った山が 『越敷岳』 である。













 そして上写真の左側には、大障子岩、障子岩、倉木山等の稜線が見えていた。











 帰りはミルクロードを通る事にした。 ミルクロードとは阿蘇外輪山の尾根部分を通る道路の俗称である。

 ミルクロードの両サイドは牧草地で、牛等が放牧されている。

 そのミルクロードを走っていると、前方彼方の真正面に涅槃像(阿蘇五岳)の上部が見えている所で、

 牧草を刈り取り、それを白いビニールで包んだ 『乾草ロール』 と呼ばれる物が、

 牧草地に沢山置かれているのが目に飛び込んで来た。 早速、車を降りて写真に撮る。











 上の写真から少し近付いた所で、また写真に撮る。















 更に進んだ所で、また撮る。















 今度は我慢できずに、牧場の中に入って撮る。














 これは上写真と同じ場所から写した、反対方向の風景である。 遠くに風力発電の羽が見えている。

 こんな様子が阿蘇周辺の初夏の風物詩となっている、牧草地の風景である。










 そしてその様なミルクロードの北方向には、写真の様に九重連山の全体像が綺麗に見えていた。

 この様にミルクロードは南方向に阿蘇山を、北方向には九重連山を眺めながらドライブが出来るのである。

 九州の山々を代表する様な、2つの山群の雄大な景色を同時に見れる道路でもある。

 山好きで無くとも堪えられない景色で、山好きであれば随喜の涙が出る様な場所である。

 全国の山好きの皆様方が九州に来られた時には、是非見て頂きたい風景の1つである。





ところで今日初めて登った 『緩木山』〜『越敷岳』 は、縦走路の快適さ、『越敷岳』 からの素晴らしい展望、適度な所要時間、そして登山者が少ない静かな山と、

私達にとっては3拍子も4拍子も揃っていて、大変気に入った山の1つになった。

この山は 『新版 九州百名山』 で新しく紹介された山である。 この本で紹介されなければ、私達はこの山には登る事はなかったかも知れない。

そう言う意味で 『新版 九州百名山』 でこの山を紹介頂いた、五十嵐賢氏を始めとする執筆者の方々に感謝したい気持ちになった。



家に帰り着いて風呂から上がり、今日の縦走路、『越敷岳』からの景色、ミルクロードでの雄大な風景等を思い出しながらオバさんと乾杯し、

キーンと良く冷えたビールをグーッと一気に飲み干した。(ア〜!堪えられないな〜! 生きてて良かった〜!)

今日も元気だ! ビールが美味い!(アレ〜? どこかで聞いたような気がするな〜!)

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