平戸島の山々


2005年5月29日  快晴  微風


今日は平戸島の山々に登りに行く事にした。

平戸島は九州の他の地方に比べると、私達の住む地からは天草と共に陸の孤島と呼べる位、そこに行くのは遠い(時間が掛かる)所である。

九州本土と平戸島間に平戸大橋が架かったのは昭和52年4月の事である。

私は平戸大橋が架かったその年に初めて平戸島を訪れてから、今迄に3回その地を訪れているが何れも観光目的で、山登りに来たのは今回が初めてだった。



私達の住む所から平戸島迄はかなりの時間が掛かる。 それでこの地に山登りの為に何回も足を運ぶ訳にはいかない。

それで平戸島を訪れた時には新九州百名山に新しく入った 『志々伎山』 を始めに、平戸島で気になる山は一気に登ってしまおうと以前から思っていた。

以前と言うのは一昨年(2003年春)からである。 その年に山と渓谷社が発行する 『九州百名山』 が、実に4分の1以上(27山)も入れ替わったのである。



私達は5年の歳月を掛けて九州百名山を登り終えてホッ!としているところにこの仕業であった。 私はその本を見た時に本当にムッ!とした事を覚えている。

私達のように一生懸命に百名山を登り終えてホッ!としている者の立場はどうなる!! 百名山から外された山の立場はどうなる!!!・・・と。

大体、九州百名山は誰が決めたのだろうか? 入れ替える事は誰が決めたのだろうか?? 何で27山も入れ替える必要があったのだろうか???

その時はそのような事を始めに、色々な事が頭をよぎった。



そんな事はさて置き、前日から家のバカ息子が泊り掛けで友達の家に遊びに行ったので、私達は朝早くから山歩きに出掛ける事が出来たのである。

それで私は朝4時半に起きた。 オバさんは4時位には起きたのだろう。

ガソリンを満タンにして久留米を出発したのが5時50分だった。 日曜日の早朝は交通量も少なく、快調に飛ばす事が出来た。



私達は山行の時でもほとんど高速道路を走る事は無い。 高速道路を使うのは余程急ぐ時か、時間に間に合わなくなるような時だけである。

私達は高い高速道路料金を払う位なら、その分早起きして出かける。

そして高速道路料金を払った積もりで、各地の観光とか、道の駅等でその地の特産品を買ったり、地方の名物料理や下山後の温泉等に使う。

それに普通の道を行けば各地の色々な行事等に触れ合える機会も多いし、また人との出会いや新しい見聞等も増えるのである。

私達はそのような山行スタイルであるが、その辺りの考え方は人様々だろう。




 途中で道の駅に寄ったりして、写真の平戸大橋の袂にある公園に着いた時は既に9時に近かった。

 この公園でも風景を見たり、写真を撮ったりして10分ほど休憩した。

 平戸島の地図を見て貰えば分かるが、ここは平戸島の入り口である。

 最初に登る予定の 『志々伎山』 は平戸島の先端部分にあり、ここからまだ1時間近く掛かるのである。(フ〜ッ!)








 志々伎山(347m)








 空いている道路を快調に飛ばし、10時前にはガイド本で見覚えのある 『志々伎山』 の山容が見えて来た。

 車を止めて写真に撮る。








 写真の前方に大きな駐車場があり、普通はここから登り始めるらしいが、ガイド本で林道の終点にも駐車場が

 ある事を知っていたので、そこに向かう。 今日は4山を登る予定なので最短距離を登りたいのである。

 写真の標識から5m位下りた所に左折する細い林道がある。 その林道を5分程?走ると上の駐車場に着く。

 その駐車場にも10台位は駐車可能である。 既に1台の車が止まっていたが、私達が身支度をしていると

 中から中年のご夫婦が出てみえ、今から登るんですか?と話し掛けてこられた。

 その旨を答えると、自分達は今下りて来たばかりだが、往復時間は1時間位でしたとの事である。

 私達の見た案内本には往復2時間半〜3時間(バス停からか?)とあったので、

 今後の行動を考えると、凄く嬉しい情報だった。







 上の駐車場から登り始めると直ぐ、下の駐車場から上がって来る道と合流した。















 登山道は狭くて急坂部分が多く、写真のようにロープを張ってある所が多かった。















 山頂近くになると写真のように岩部分が出て来る。












 登り初めてちょうど30分で写真のような山頂に着いた。

 この山頂にもずっと以前に、ある山頂でお会いした事のある方が立てた標識があった。

 この方の立てた標識は九州の山好きならば、色々な山頂で何回もお目に掛かっている筈である。

 私の 『山行記』 の中で紹介している山頂写真にも、今迄に何回か登場している。










 この山頂部からは360度の眺めで、今日は写真のように海と空との区別がつかない程の快晴で、

 周りを見渡すと自分の心まで大きくなったように思え、とても気持ちが良い。

 写真は西方向で、彼方に薄く見えるのは五島列島の宇久島、小値賀島、中通島、辺りであろうか?













 この写真は北西部の眺めであるが、眼前の広がりは東シナ海である。














 この写真は北東部の眺めで、入り江の直ぐ向こう側に見える山が、この後に登る予定の 『屏風岳』 である。

 その 『屏風岳』 の彼方に薄く見えているのが 『佐志岳』 だろう?










 山頂部の直ぐ下は写真のように絶壁になっている。

 写真では見辛いかもしれないが、崖下の上空を2羽のトビが獲物を探してずっと旋回していた。

 時々近付いて交差したり離れたりするので、その様子を写真に撮ろうとするが、今日は天気が良すぎて

 デジカメの液晶画面がハッキリ見えず、勘でそちらの方にカメラを向けて30回位シャッターを切った。

 しかし家に帰ってから見ると、半分もまともに写っていなかった。(またまた自信喪失で涙!)









 そんな事をしばらくしていたら、私の身体の影の上を何かの影がサーッと通りすぎた。

 何か?と思い上空を見上げると、そこには何と下のトビより一回り大きなトビが私達を狙っていた。

 危なかった!(まさかネ!)










 下山中に、佐世保市の中高年ばかりの団体の方達(31人)とすれ違った。 

 この山は人気が高いようである。(新九州百名山に入ったからだろうか?)

 この山の所要時間は登りも下りも30分で、万歩計は4809だった。

 写真は 『屏風岳』 に向かう途中に、今登って来た 『志々伎山』 が綺麗に見えていたので写したものである。








  屏風岳(394m)



次に登る 『屏風岳』 の近くには駐在所があり、その中に警察官の姿が見えたので道順等を聞きにそこに入った。

その警察官も少し山に登るとの事で簡単な地図を貰い、この後に登る予定の各山への要点や注意点を教えて貰った。

しかし教えて貰った道を進むと先の方がトンネルの工事中で、通行止めになっていた。



それでその近くの家の方で私より大分年配と思える方が、ちょうど外に出てあったので尋ねてみた。

そうすると、立ち入り禁止の柵をズラして元に戻しておけば通っても良いよ!との事である。

それでその通りにして少し進んだのだが、その先はとても車が通れるような状態ではない。 それで苦労してバックし、先程の方にまた尋ねた。



そうすると、その方は自分は一昨日にその道を車で通って来たばかりである。

おかしいな〜?と言ってその時ちょうど外に出てこられた奥様と一緒に車に乗られ、その現場を自分も見に行くから後ろを付いて来なさいと言われる。

私もその方の車の後ろに付いて先程の工事現場まで戻る。

その方は現場の状況等を少し見てあったが、その後に奥様と話した後に今日は通れないようなので、トンネルの向こう側の登山口まで案内するから、

自分の車の後を付いて来なさい!と言って車を出された。



私は言われるままにその方の車の後を付いて走ったのであるが、途中では小さな集落や分岐道を幾つも通ってその山裾を一周してトンネルの反対側近くの

登山口まで案内して頂いたのである。 その途中では目指す山頂が見えて来ると、あの山ですよ!と指差しながら大声で教えて頂く。

その間、走行距離にして片道約13Km、時間にして約25分、幾つかあった林道入り口を通り越して、目指す登山口標識のある所まで案内して頂いたのである。

そして、その上にこの場所に駐車した方が良いですよ!とまで教えて頂いたのである。



ここまでの道順等は口頭や簡単な手書きの地図等で説明して頂いても、私が到底理解できるような距離や道順ではなかった。

私は感謝を通り越して少し感動していた。 道を尋ねて来た初対面の者に果たしてこんな事が出来るものだろうか?

私なら手書きの地図で教える位はするかもしれないが、ここまでは到底出来ない! 皆様方は、どうだろうか?



私は駐車場に着く少し前から、この誠意に対してどう応えれば良いか?を考えていた。 お金を渡すのは大変失礼に当ると思っていた。

誠意には誠意で応えるべきである!と思っていた。 私は今日、途中の 『道の駅』 で、今朝採ったばかりの新鮮な夏ミカンとビワを買っていた事を思い出した。

それらは山頂等で食べようと思って買った物だったがそれらを袋に入れ、『こんな物で大変申し訳無いが気持ちです!』 と言って差し出した。

大分辞退されたが最後は気持ちよく受け取って頂き、本当に嬉しかった。

その上に奥様からは、『注意して登って下さい! そしてもし良かったら下山後に家に寄って行きませんか!』 との言葉まで頂いたのである。

私達は帽子を取り丁重にお辞儀をしながら、謝意を伝えてから別れた。



この平戸島は昔からキリスト教信者の多い地である。 もしかしたら、あのご夫婦はクリスチャンではないか?と、今私は思っている。

私は先週に阿蘇山の山行記を書いていたので、今週の平戸島の山行記は最初からパスする積もりでいた。

しかしこの山行記を書く気になったのは、このようなご夫婦もおられると言う事を皆様方にも知って頂きたかったのと、

口頭では伝えられなかった私の感謝の気持ちを表したかったからである。



こうしてこの山行記を書いている今でも、あのご夫婦と出会わなかったら今回の山歩きは予定通りに行かなかったと思っている。

本当にありがとう御座いました。 感謝しています。






 写真の登山標識から直ぐ山道に入る。

 山道は最初は植林の中を歩くが、途中からは雑木林の中を歩くようになる。













 25分で山頂に着いた。

 山頂部にはテレビの中継アンテナや、写真のような石像があった。
















 そして山頂部には写真のような、戦時中に飛行機や船等を見張るための建物が残っていた。


















 その建物の入り口には写真のように大砲の弾の形をした物が置いてあり、お賽銭入れには古銭もあった。














 展望はその建物の後ろ方向が木立ちで見えないが、他の方向は良い。

 写真は先程登ったばかりの 『志々伎山』を、2階部分から写したものである。










 山頂部では5分ほど景色を楽しんだので、下りる事にした。

 写真は下りる途中に目に付いたサルトリイバラであるが、大きな実が生っていたので写真に撮った。

 所要時間は登りが25分で、下りが20分、万歩計は4138だった。

 この山では山頂部でも下りてからも、名前は知らないが大きな真っ黒いチョウが多かった。

 そのチョウは写真に撮ろうと思って少し近付くと直ぐ逃げてしまい、1枚の写真も撮る事は出来なかった。











 写真は下山後に見えた、トンネルの反対側であるが、こちらはかなり出来上がっているようだった。















 写真は下山後に少し走行した所で車の中から写した、今登って来たばかりの 『屏風岳』 の写真である。











  佐志岳(347m)



この山の登山口に着いた時は既に2時を少し過ぎていたが、私達はまだ昼食を食べていなかった。

私は少しお腹が空いていたが、オバさんがこの山から下りて来てから昼食にしよう!と言うので、それに従う事にした。(逆らうと怖いからネ〜!)






 写真は登山口から見た 『佐志岳』 の風景である。

 奥の方に見えるのが山頂だが、この山は写真のような草原の山である。













 登山道は草原の中をジグザグに登って行くが、草原だから一直線に登れない事もない。

 そんなジグザグ登山道の脇には大小の岩と、サルトリイバラ、アザミ、ワラビ等が非常に多く目に付く。













 半分近く登った登山道脇には写真のような水場があったが、地下から湧き出ている訳ではなく、

 上の岩部分を伝って流れ落ちて来ていたので、私は飲む気がしなかった。
















 山頂近くの木陰には 『ヤマツツジ』 がひっそりと咲いていた。


















 登り始めて25分で山頂に着いた。 山頂部は結構広く、見晴らしも360度で大変良かった。















 山頂から南西方向には、先ほど登って来た 『志々伎山』 と 『屏風岳』 が見えていた。















 そしてその反対側の奥には、下山後に登る予定の平戸島で一番高い 『安満岳』 が見えていた。













 山頂からの景色を楽しんでいたら、上空からピーヒョロローと鳴き声が聞こえたので上を見たら

 今度は2羽のトビが私達を狙って上空を旋回していた!

 平戸島は余程トビの生息条件に合うのだろうか? その後もトビの姿を数多く見掛けた。












 山頂部では10分ほど景色を楽しみ、下山に掛かったがその途中には写真の様な 『チガヤ?』 が

 草原の一部に群生していた。













 そんな所の日陰にはまだ綺麗な 『ヤマツツジ』 が咲いていた。

 車に着き万歩計を見ると3604で、所要時間は登り下りとも25分だった。














 写真は登山口から200〜300m下りた所にある、キリシタンのお墓であるが、いずれも綺麗で立派だった。

 尚、登山口はこのお墓の前から左折した所にあるが、2〜3台分の駐車スペースしかなかった。









 安満岳(514m)








 いよいよ本日最後の山で、平戸島の最高峰である 『安満岳=やすまんだけ』 に登る事になった。

 写真は 『安満岳』 の登山口であるが、駐車場は広く数十台は駐車出来るだろう。














 登山道は写真のように落ち葉で覆われていたが、コンクリートで出来ており雑木林の中を歩く。














 上のような道を15分程?歩くと写真のような広場に着き、鳥居があった。

 その広場には写真のように小さな黄色い花が一面に咲いていた。














 上写真の階段の左側には、写真のような 『ユキノシタ』 の花が咲いていた















 鳥居を潜るとそこからは写真のように、大小の石を敷き詰めた登山道(参拝道?)になる。















 そんな石と石の間には写真の様な 『シソバタツナミ』 の花が数ヶ所に咲いていた。














 そんな石の道を10分程?歩くと、鳥居とプレハブ小屋が見えて来た。

 そこが山頂部だった。












 その鳥居から左に少し行った所に見晴らしの良い場所があった。

 そこは絶壁になっており、写真のような展望である。

 尚、展望はこの方向だけで、他の方向は木立ちで景色は望めなかった。












 プレハブ小屋の後ろには写真の様な石で作った小さな祠があった。

 尚、この山頂部で三角点や山頂標識等を探したが、見つける事はできなかった。 無いのだろうか?













 山頂部には5分程いただけで、直ぐ下山する事にした。

 写真は下山時に見つけた 『グミ』 の実であるが、もう色付いていた。














 『サルナシ』 の樹もあった。















 コンクリート道路の脇では写真のような 『ナルコユリ』 を数多く見掛けた。















 『ヤマアジサイ』 の花も咲いていた。














 『ヤマグワ』 の実も沢山生っており、写真のように黒く熟れ始めている物もあった。

 駐車場に着き万歩計を見ると4024で、所要時間は登り下りとも25分だった。










 下 山 後








 安満岳登山口の標識写真のように、そこから2Km先にある 『鯛の鼻自然公園』 を見に行く事にした。

 自然公園の少し前の道路脇には写真のように 『アザミ』 の花が群生していた。












 そして 『鯛の鼻自然公園』 の展望所からは今日登って来た、『志々伎山』、『屏風岳』、『佐志岳』 が全部見えていた。

 ここから見る夕日は凄く綺麗との事で、夕日見物の名所らしい。

 しかしこの時から風が非常に強くなり、寒くなったのでゆっくり見ないで帰る事にした。













 写真は公園からの帰路、先程登った 『安満岳』 が正面に綺麗に見えていたので撮ったものである。















 平戸市に帰り着いたが、まだ時間があったので久しぶりに平戸城を見学(入場料=500円)する事にした。












 写真は城内で見掛けた実であるが、私は初めて見るので名前等を知ってある方は教えて下さい。

 (・・・その後、この文を読んだネットフレンドから情報があり、『ヒイラギナンテン』 である事が分かりました。

   しかし、その実は写真の様にブドウに良く似ていますが、食べられるものかどうか、

   インターネットで調べてみましたが今のところ分かりません。・・・知ってある方は教えて下さい)












 平戸城









平戸城の見学も終え、今日の全ての予定を終了したので帰る事にした。

本日の山歩きをまとめてみようと思う。

朝4時半に起きて自宅に帰り着くまでの行動時間は約17時間。 1日の走行距離は約400Kmで運転時間は約8時間。

登った山が4山で登下山の合計時間が3時間25分、万歩計の合計は16573であった。



今日は何時もに比べるとかなりのハードスケジュールだったが、自分でも知らない内に気合が入っていたのか、疲れ等はまったく感じていなかった。

自分でもまだまだ元気だと思う。 又、自分でも今日は非常に良く頑張ったと思う。

マラソン銀メダリストの有森優子さんではないが、自分で自分を褒めたくなった。

それで自分から自分へのご褒美として、『今晩は何時もよりビールを1本多く飲ませてあげよう!』 と思いながら運転していた。

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