地元の里山巡り


2005年1月11日


今日は地元の里山に登る事にした。 

これらの山は自宅からもその一部が見えるが、良く登る耳納連山からは綺麗に見る事が出来る。

何年も前から何時の日にか、それらの山に登ろうとずっと思っていた。

しかし地元にあると言う事で、その気になれば何時でも登れるという気や、標高が低い勢もあって中々その気にならず、

何とは無しに登る切っ掛けが無くて、延ばし延ばしになっていたのである。

しかし今日はどう言う訳か?それらの山に登ってみようと言う気になったので、まとめて登ってしまう事にした。


白金山(357m)


『ゴットン館』 の名前だけは平成7年3月にそれが出来た時から新聞やテレビで知っていた。

又その名前はそこに行く途中の幹線道路の道路標識にも数ヶ所に記載してあり、何十回ともなく目にしていた。

しかし何時も他所への行き帰りの途中であり、素通りしていた。 だからそこに行くまでの道は良く承知していた。

タイトルに地元の山としたが、これらの山は正確には私達が住む隣の町(広川町)に有る。 が、同じ筑後地方に間違いはない。

この山は自宅から見えており、直線距離にすれば大した事は無いのだが、登山口のある 『ゴットン館』 に着くまでは5角形の4辺を通って行く感じで

道がずっと迂回しており、時間にすると30分ほど掛かった。



『ゴットン館』 は毎週火曜日が定休日との事であり、今日は火曜日で物産直売所は閉まっており、一台の車も停まっていない。

福岡県下では最大級であると言う直径7mの水車だけが、水しぶきを上げながら独りでに回っていた。(下・左写真)

『福岡県無名山301』 によると、『ゴットン館』 から山頂までは50分位との事であり、そこから歩く気で身支度をしていた。

ちょうどそこに地元の人が運転する軽4輪トラックが来たので、情報を仕入れる。



『白金山』 の山頂近くまで舗装林道がずっと続いているそうである。

そして 『ゴットン館』 の前で道が3本に分かれているが、右の道を行くと 『高根山』 に行けるとの事である。

それで今日は予定に無かった 『高根山』 にも急きょ登る気になった。



それなら 『高根山』 に登る時間を作らなくてはいけないのと、舗装林道を歩くのは味気ないとの両方から、舗装林道を車で行ける所まで進む事にした。

『ゴットン館』 前の左の舗装林道をゆっくり進み始める。 頂上近くまでは車で行けるとの事なので、狭い道をグングン進む。

しかし上の方でUターン出来るか心配になって来て15分位?進んだ大分上の方に、広くなった曲がり角が有ったのでそこに駐車して歩く事にした。



そこで登山靴に履き替え、麦茶をナップサックに入れポシェットだけの軽身で歩き始める。

そこからは今までより少し急坂になり、道の両サイドは茶畑で小屋が所々に有る。

5分ぐらい歩いた所が林道の終点で、そこにも小屋があった。 そしてその小屋の前は少し広くなっており、車のUターンは軽であれば何とか出来る広さがあった。

小屋の後ろに少し踏み跡が有るのでそれを辿る。 しかしその踏み跡は直ぐに無くなり、段々畑状になった所にはクヌギの樹?が枯れた様になっている。

その段々畑状になった所をとにかく高い所に向かって次の段に上る。 その途中の段で下・右写真の様な、野ウサギと思われる糞を見つけた。

直径7mの水車が回る 『ゴットン館』
登る途中で見かけた野ウサギの糞?


又その直ぐ近くには下・左写真の様なスミレの花?が一輪だけ咲いていた。

段々畑状の所を5段位?、時間にして5分ぐらい登った所が山頂だった。 そこには三等三角点と小さな頂上標識が2つ、樹にくくり付けてあった。

一つは 『津留(214) 2003.4.6』 で、もう一つは 『花の里山会 2004.5.8』 と記入してあった。

『花の里山会』 の方達とは去年の5月 『国見山』 で一度会った事がある。 メンバーは不惑前後の綺麗な御婦人ばかりで、4人パーティで有る。

私達がなぜ知っているかと言うと、その方達が 『国見山』 で同じ標識を付けたのを見て覚えていたのである。

その方達とは、登る途中に追い越す時と、山頂でほんの少し会話した事が有った。

一輪だけ咲いていたスミレの花?
山頂の状況


山頂からの展望は下・左写真の様に南方向が180度近く開けているが、他の方向は手入れのされていない植林で展望はまったく無い。

目の前にはこの後に登る予定の 『高根山』 が見えている。

山頂にはほんの5分程いただけで直ぐ下山した。 下る時も道無き所を小屋の方向目指して下りて行く。

登る時に小屋の少し後ろの方に猪の罠が有るのを見掛けていたので、それを見にいったら下・右写真の様に猪が罠に入っていた。

猪はまだ子供で私達が近寄ってもほとんど動かない。 近寄っても今までの猪の様な強烈な臭いは全然しない。 子供の内は臭いがしないのだろうか?

そしてオリの中で暴れるだけ暴れて疲れているのか?、それとも諦めてしまったのか?、あるいは何日も前に罠に嵌まってお腹が空いて力が出ないのか?、

とに角じっとしていて凄く大人しく、何とは無く悲しそうな表情をしている様に見えた。

可哀想に思い一瞬逃がしてやろうかなと思ったが、大きくなったら里に出て畑等を荒らすだろうなー?と思い直し、そのままにして下山した。

所要時間は登りも下りも15分で、万歩計は1555だった。

白金山の目の前に見える『高根山』
罠に掛かっていた猪の子供


  

高根山(370m)


『ゴットン館』 まで戻り、今度は右の広い林道を車で登り始める。

こちらの林道は途中に有る薬師如来堂の少し先までは対向車と余裕を持って行き交える広さがある。

しかし薬師如来堂の少し先からは急に林道が細くなり、1車線の林道になる。

その林道を終点まで行く。 その林道の先に踏み付け道が有るので、少し登ってみるが何とは無しに登山道とは違う様に思えた。

それで少し苦労して車をUターンさせ、登って来た道脇を注意しながらゆっくり下り始める。



そうすると下・左写真の様な所に、登山口案内板が草むらの中に倒れているのをオバさんが見つけた。

登山口案内板は古くなって台風で倒れたのだろう。 文字も消えかかっている。 下・左写真は写真撮影のために私が苦労して一時的に立てたものである。

そこから登り始める時には、時間は既に12時を過ぎていた。 歩き始めて10分もしない内に所々が舗装されている林道に出た。

その林道を少し歩いていると、右の藪の中に 『高良山』 で国の天然記念物に指定されている 『モウソウキンメイチク=孟宗金明竹』 を数本見つけた。

この国の天然記念物に指定されている竹林は全国でも 『高良山』 と 宮崎県北川町の 『祝子川=ほうりがわ』 の2ヶ所だけである。

草むらの中にに倒れていた登山口案内板
孟宗金明竹


そんな林道を10分も歩かない内に、割合と広い山頂に着いた。

山頂には下・左写真の様な標識が有り、その標識には 『白金山』 と同じ日付けで 『津留(215)』 と 『花の里山会』 の記念板がくくり付けて有った。

それで誰でも考える事や行動パターンは一緒だなーと少し可笑しくなった。



山頂からの展望は南西方向を中心に180度近く開け、真正面の眼下には筑後平野と八女市街が見える。 他の方向は藪で展望はまったく無い。

山頂下のなだらかな広い丘陵地も伐採されて明るくなっており、ここは少し手入れすれば素晴らしい公園か、格好の町民の憩いの広場が出来ると思う。

尚、ここの山名は 『高根山』 と書いて 『たこねやま』 と読むそうである。

山頂標識
筑後平野と八女市街の展望


この山頂で時間は12時30分を過ぎていた。 しかし今日はもう一つ登る予定が有り、昼食は全部登った後にゆっくり食べようと言う事でオバさんと意見が一致する。

それでオバさんがオヤツにと用意していた、小さな饅頭を4個づつ食べてお腹をなだめ、下山した。

所要時間は 『白金山』 と偶然同じで、登りも下りも15分。 万歩計は2566だった。

帰り道に薬師如来堂に寄る事にした。 曲がり角の広い所に駐車し、細い舗装道を2〜3分歩くと、下・左写真の様な薬師如来堂に着く。

薬師如来堂
薬師如来の功力


ここの薬師水は約260年前の江戸時代から飲み続けられていて美味しく、そして特に皮膚病に効き目が有るそうである。(下・右写真)

お堂前の張り紙によると、一昨日(1月9日=第2日曜日)がぜんざい会だったそうで、大鍋等その跡が少し残っており残念に思った。

尚、奥の方はブランコや鉄棒等の遊具が有る、小さな公園になっていた。

薬師水の水場
薬師水の由来



赤藪山(402m)


『ゴットン館』 まで戻り、前を通り過ごしてゴットン館案内板の有る分岐を左に曲がる。(幹線道路からはゴットン館の方に左折せずに直進となる)

5分ほどで小椎尾集落の変則4差路に着き、右にUターンする様に曲がって登る大きな舗装林道が有る。(曲がり角部分には未満神社が有る)

その大きな舗装道路を進むと徐々に視界が開けて来た。 途中で茶畑や景色が余りにも綺麗なので車を路肩に停め、風景写真を撮る。

そんな林道を5分程進んだ所で道脇の畑で作業をしてある親子の方達が目に付いた。

林道は広くて綺麗なのであるが先程から1台の車も通らない。 ここで聞かなければ今度はいつ人に出会えるか分からない。

それで私が車を降り、男性の方に 『赤藪山』 を尋ねる。



そうするとその畑の斜め後ろに見える山が 『赤藪山』 だった。

駐車する所と登り口を教えて貰う。 道路の一番高い所で、下段が柿畑になっている林道の広い場所の路肩に駐車する。 そこで身支度をする。

駐車した所から50mほど進むと道路は少しづつ下って行くが、その途中に左に鋭角に曲がって登る細い舗装路がある。

軽4輪でもやっと通る位の細さの所も有る。

その上、道の左右は段々畑になっているので少しでも車輪がはみ出せば、間違い無く下の段に転落する様な所の連続である。

こんな道に入り込んだら車輪をはみ出さずにバックだけで戻る自信はとても無い。 駐車する場所を教えて貰って本当に良かった。(感謝!)



そんな道を5分程歩くと、道横に農機具を格納する小屋が有る。 その前から上の方を見ると下・左写真の様に小屋が2つ見える。

茶畑を横切りその小屋の前まで行くと、踏み付けた様な道が上に続いていた。 しかしその道を50m位歩いたら直ぐに踏み跡も無くなってしまった。

仕方なく適当な所から下・右写真の様な草むらの中に入り込む。



とにかく上の方を目指してかなりの急坂を草や潅木の枝を掴みながら身体を持ち上げて行く。

その斜面一帯は数年前にそこに生えていた雑木を切り倒したらしく、斜面のあちこちに無造作にそれらの木が集められており、非常に歩き難い。

その上イチゴの様なトゲのある蔓が方々に有り、ズボン等に引っ掛かって歩き辛い。

しかし今の季節はヌスビトハギ(盗人萩)やキンミズヒキ(金水引)、ヤエムグラ(八重葎)等、衣服等にビッシリくっつく草が無いのがせめての慰めであった。
                                                   

上の方に見える小屋の横を通る
この様な所の連続を登って行く


そんな所を苦労して登っていると、下・左写真の様に樹の枝にまだ比較的新しい赤色のテープが目に付いた。

登っているルートが正しいかどうか誰にも分からないが、とにかくここを通った人がいる事が分かったので、少し安心する。

そこを通り過ぎて少し平らな所に出たら、下・右写真の様な大きなテレビアンテナ?が立っていた。

どんなにして設置したのだろう? 近くまで他所からの林道があるのだろうか?

登る途中に有った赤い綿テープ
突然現われたテレビアンテナ?


その近くには下・左写真の様に近頃良く見掛けるスミレの花?があった。 又付近には下・右写真の様な黒い実を付けた草もあった。

この実の名前も知らないが子供の頃は良く見掛け、この実を潰して 『黒インク』 を作って遊んでいた様な気がする。

そんな所の先にも踏み跡やケモノ道も見当たらないので、とにかく高い所を目指して藪こぎしながら進んで行く。

スミレの花?
黒インクの実?


そこから5分位?登ると一番高いと思われる所に付いた。 その付近の木には赤の古いビニールテープと、先程見たのと同じ赤いテープが有った。

それから先は今までよりもっと凄い藪になっており、徐々に下っている。 それでここが山頂だろうと思い、二人で付近を捜すが何も無い。

『福岡やぶこぎ探検隊』 や 『筑後岳友』、『津留さん』、『花の里山会』 の標識も三角点も何も無いのである。

それで仕方なく 『高根山』 で食べた饅頭の容器がナップサックの中に有ったので、それに油性マーカーで山名を書き、近くの樹に蔓でくくり付けた。

しかしそれだけでは風で直ぐ取れそうな気がしたのでテープを近くの枝から剥がし、枝で釘を作り、幹に打ち込んでおいた。(下・左写真)



山頂の展望は南西方向を中心に150度位が良く、先程 『高根山』 で見えた筑後平野と八女市街が見える。

その向こうには薄っすらと山川町の 『清水山』 や 『御牧山』、立花町の 『飛形山』、黒木町の 『男岳』、『女岳』 等の山並が見える。 他の方向は藪で、まったく展望は無かった。

山頂部分?に付けた標識
筑後平野と八女市街の展望


山頂部分では三角点や標識を探し、立ち樹に上の写真の様な標識を取り付け、風景写真を撮ったりして30分程いたと思う。

登る時は大分遠回りをした様な気がしていたので、下山時は何処を通っても大した違いは無いと思い、傾斜等には関係なく最短距離と思われる所を下り始める。

しかしトゲの有る蔓や色々な蔓が枝に絡まっていて、そんな所に突き当たると身体に力を入れてそれらを引き千切ろうとしてもとても無理で、バックしたり迂回したりして大変だった。



それでも夏場であれば草がもっと茂っていて、蛇や虫等の心配をしなくてはならず、今の時期はそれらの心配が要らないだけマシである。

苦労して下りる途中には下写真の様に猪が?土を掘り起こした跡が方々にあった。

中には右写真の様に掘り起して根をかじった跡もあった。

猪達も相当、食料難なのだろう?

猪が?掘り起こした所
猪が?かじった根


大変苦労して下りた所は登り始めた所より大分奥の方で、放置されている茶畑だった。 その茶畑の横を通り過ぎると、登る時に通った古い踏み付け道に出た。

小屋の前を通り過ぎ、茶畑の中を歩くが下写真の様に目の前に広がる風景がとても綺麗である。 向こうに見える山の斜面も全面茶畑である。



現在、八女茶ブランドは全国的にも知られていると思うが、私はそれらの主産地は旧八女郡の黒木町や星野村辺りの山間部だろうと思っていた。

しかし広川町も八女茶の一大産地だったのである。 こんな事は山歩きをしないと中々分からない事の一つである。

そしてこの様に綺麗な風景が見れる事は、山歩きを趣味にする者の特権の一つでもある。

私達も山歩きをしていなければ自宅からこんなに近くで、この様に綺麗な風景に出合う事は一生無かっただろう?と思った。

山歩きを趣味にして本当に良かったーと思う一つであり、ひと時であった。

綺麗な茶畑風景(1)
綺麗な茶畑風景(2)


車に戻り万歩計を見ると3742で、登りの時間は30分、下りが25分だった。

今日登った3つの山の時間等を合計してみた。 そうすると登りの時間が60分で、下りが55分。 万歩計が7863で全く大した事は無かった。

しかしたったそれだけの労力で3つの頂から其々異なった風景を見られて非常に嬉しかった。

今まではその近くを車で通る度に山頂を見ながら、何処からどんな所を登って行くのだろう? 山頂はどうなっているのだろう?

山頂からの景色はどんなだろう? 等と思いを馳せ、何時の日か登らなくてはいけないなー!と思っていた。

しかしこれからは山頂を見ても今日登った事を思い出すだけで良くなり、何だか胸のつかえが一つ取れた様な気になった。 私に取ってこの違いは大きい。



帰り始めると、先程道を聞いた親子の方達がまだ畑作業中だった。 車から降り、登頂の報告とお礼を言ってから、ここから見える山等を教えて貰った。

今日は雲っていて見晴らしが効かないが、天気の良い日は有明海がキラキラ光り、その向こうには雲仙普賢岳も見え、とても綺麗で有る!との事だった。



時計を見ると15時半を過ぎていた。 しかし今日はまだ昼食を取っていない事を思い出した。

弁当を食べる場所を探して車を動かし始めたが、これから食べる食事は何食になるのだろう? 今日の夕食は何時ごろ食べる事になるのだろうか?等と考え始めた。

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